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海外BtoBデジタルマーケティングお悩みランキングとその解決策
- 2025.07.31
- 海外BtoB

日本国内で確固たる地位を築いたBtoB企業が次なる成長を目指すとき、海外市場への展開は非常に魅力的な選択肢です。しかし、意欲的に海外向けWebサイトを立ち上げたものの、「期待していた問い合わせが全く来ない」「自社が海外市場でどう戦えば良いのか分からない」といった深刻な課題に直面する企業様は少なくありません。
この記事では、多くのBtoB企業が抱える海外デジタルマーケティングに関する4つの具体的な悩みをランキング形式で取り上げ、それぞれに対する実践的な解決策(ソリューション)を詳しく解説します。
この記事で解決する悩み
- 海外向けサイトはあるけど問い合わせが来ない
- 自分たちがどんなポジションで海外のマーケットシェアを取れるか分からない
- どのように、どこへPRしていけば良いか分からない
- 企業内のマンパワーが限られている
一つずつ、課題の深掘りと解決への道筋を見ていきましょう。
悩み1:海外向けサイトはあるけど問い合わせが来ない
これは、海外展開を目指す企業が最初につまずく最も一般的な課題で、最もご相談が多い課題です。Webサイトは「24時間働く営業担当」と言われますが、それは見込み客がサイトを訪れて初めて機能します。問い合わせがない場合、その原因は大きく分けて「集客の問題」と「サイト内部の問題」の2つにあります。
原因分析
市場理解の不足
ターゲット市場の規模、競合の強み・弱み、顧客のニーズや購買プロセスに関する情報が不足しているために、ウェブサイト内の情報が足りていなかったり、ユーザーニーズに合っていない訴求がされている可能性があります。
集客の問題
そもそも海外の見込み客が、あなたのWebサイトの存在を知らない、あるいは検索しても見つけられない状態です。日本語サイトをただ翻訳しただけでは、海外の検索エンジン(Googleなど)で上位に表示されることはほとんどありません。また、自動翻訳ツールを導入していて、設定ができていないと各言語でGoogleにインデックス(登録)されないという問題が起こります。
サイト内部の問題(成約の問題)
サイトにはアクセスがあるものの、訪問者が問い合わせに至らずに離脱している状態です。デザインが古かったり、情報が不足していたり、信頼性が感じられなかったり、問い合わせフォームが使いにくかったりすることが原因として考えられます。
ソリューション:検索エンジンに見つけてもらい、信頼されるサイトを作る
1. 調査・戦略立案の実施
弊社では、施策の前に調査を行うことを強くお勧めしております。顧客像や競合、市場トレンドを知らずにいきなり施策から入ってしまうと、ニーズと施策のずれが生じることが多く、成果が出ずに予算だけが消化されてしまうことが起こるからです。まずは、現地の市場を徹底的に調査します。また、自社リソースについても調査を行い、何が原因で検索結果の順位が低いのか? 検索キーワードに齟齬がないか? といったことも調べます。 弊社の場合は、3C分析(顧客(市場)、競合、自社の分析)を行い、必要によって、他のフレームワークも行い、USPの抽出や戦略立案に役立てます。
3C分析
現地の顧客・競合・自社について調べ、市場環境を把握します。
- 顧客・市場 (Customer):市場規模、成長性、顧客のニーズや購買行動などを分析します。
- 競合 (Competitor):競合他社の強み・弱み、市場シェア、戦略などを分析し、業界での立ち位置を把握します。
- 自社 (Company):自社の強み・弱み、リソース、企業理念などを客観的に評価します。
戦略立案
戦略立案では、3C分析等から得た内容をもとに、具体的なユーザー像であるペルソナの設定や、ユーザーがどのような経路で貴社ウェブサイトにたどり着き、問い合わせを行うのかを視覚化し(カスタマージャーニーマップ)、それぞれのステージでの具体的な施策を立案します。そして、成約の可能性が高くなる施策順に優先度を設定して、施策のロードマップを作成します。
2. 海外向けSEO(検索エンジン最適化)の実施
Webサイトへの流入を増やす基本はSEOです。ターゲットとする国の顧客が、どのようなキーワードで情報を探しているかを徹底的に調査し、そのキーワードをサイト内の各ページ(トップページ、製品ページ、ブログ記事など)に適切に配置します。
キーワード調査
まず、自社の検索エンジンでの登録状況や、どのようなキーワードで流入があるか?どの国からの流入があるかなどを、Google Search Consoleで確認します。 次に、現地の競合サイトがどのようなキーワードで上位表示されているかを分析を行います。これには、ツール(Semrush, Ahrefsなど)を活用します。
コンテンツへの反映
調査したキーワードを使い、現地の顧客が抱える課題を解決するような専門性の高いコンテンツ(ブログ記事、導入事例など)を作成・公開します。
テクニカルSEO
サイトの表示速度の改善、モバイル対応、多言語サイトの構造を検索エンジンに正しく伝えるためのhreflangタグの設定など、技術的な最適化も必須です。自動翻訳ツールを導入している場合は、各言語でGoogleへのインデックスが進んでいるかを確認します。
※hreflangタグとは、Webページが特定の言語や地域を対象としていることを検索エンジンに正確に伝え、国際的なユーザーに対して適切なバージョンを検索結果に表示させるための技術的シグナルです。
3. 海外ウェブサイト改善と信頼性の構築
サイトを訪れたユーザーが安心して問い合わせできるよう、サイト内部を改善します。
「問い合わせボタン」の最適化
サイトには、お客様に問い合わせや行動を誘導するCTA(Call to Action)を配します。 しかし、多くの企業様がそれを目立たない場所においていたり、意図しておかない場合があります。また、問い合わせしたいような文章をボタンの周りに置くと反応率が上がることがあります。「資料請求」「見積もり依頼」「問い合わせ」などのボタンを目立たせ、分かりやすい場所に配置します。
社会的証明(Social Proof)の提示
初めて貴社サイトを訪問した海外のユーザーは、貴社のことを知らない状態です。そのようなお客様から信頼を勝ち取るためには、様々な情報を提供しなければなりません。「お客様の声(Testimonials)」「導入事例(Case Studies)」「取得認証・受賞歴」などを掲載し、第三者からの評価を示すことで信頼性を高めます。
ローカライズ
単なる翻訳ではなく、その国の文化や商習慣に合わせた表現やデザインに調整します。例えば、問い合わせフォームの項目は必要最低限に絞り、入力のハードルを下げます。知って欲しい訴求内容を端的で心に残る短いフレーズで記述します。ただ、これは単に地域的なローカライズでは不十分です。言語的、文化的な英語の知識のほかに、マーケティングやセールスの知識も必要であることに注目してください。
ケーススタディ A社の場合
課題
電子部品を扱うA社は、多言語翻訳アプリを利用してウェブサイトを構築、しかし、リードが取れずにご相談に来られました。 弊社の調査戦略立案サービスをご利用いただいた後、使用している多言語翻訳翻訳アプリの問題で、Googleへのインデックス化ができていませんでした。そのために、海外の検索エンジンからの自然流入がない状態でした。
ソリューション
いろいろと改善を試みましたが、解決が難しいため、海外で販売している製品に限って、特設サイトを構築し、問い合わせへの導線を設計しました。また、伴走支援サービスも開始し、KPIの分析に従い、ウェブサイトのコンテンツも改善や広告運用も行いました。
結果
その結果、1年目では今までなかった特設サイトへの自然流入が一定数起きて、問い合わせが生じました。更に2年間で問い合わせ数が4倍に増え、その多くが有効リードでした。
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悩み2:自分たちがどんなポジションで海外のマーケットシェアを取れるか分からない
このタイプのお客様は、まったく海外が初めてというゼロ・スタートのお客様、あるいは、大企業ですでに海外展開をしていても、新規事業や、新しく海外を狙う商材で顧客像があまりわかっていないようなケースがあります。自社の製品や技術に自信はあっても、それが海外市場でどのように評価されるのか、どの顧客層に響くのかを把握するのは困難です。市場での立ち位置(ポジショニング)が不明確なままでは、マーケティング活動が曖昧になり、誰にも響かないメッセージを発信し続けることになります。
原因分析
市場理解の不足
ターゲット市場の規模、競合の強み・弱み、顧客のニーズや購買プロセスに関する情報が不足しています。
自社の強みの客観的評価の欠如
国内での成功体験が、海外で通用するとは限りません。逆に、自社の「当たり前」が、海外では独自の強み(USP: Unique Selling Proposition)になる可能性を見過ごしている場合があります。
ソリューション:徹底した市場分析と自社の提供価値の明確化
1. 3C分析(顧客(市場)・競合・市場分析)の実施
まずは、現地の市場を徹底的に調査します。弊社の場合は、3C分析(顧客(市場)、競合、自社の分析)を行い、必要によって、SWOT分析などを行います。悩み1で述べた通りですが、ここではもう少し詳しく、私たちが行うことを具体的にご紹介します。
顧客分析(市場分析)
- 顧客に詳細なインタビューを行い、顧客がなぜ購入しているのか? どのような経緯で購入を決めたのか? などを聞き取り、より深いユーザー像の理解に役立てます。
- ソーシャルリスニング(SNSやレビューサイトなどの投稿から、顧客の不満や満足感を調査)を行い、ユーザーニーズの理解に役立てます。
- ターゲット市場の調査では、規模や成長率を調査したり、業界キーマンの発言から業界のトレンドを調査します。
- 価格帯調査では、DigikeyやAlibabaなどのBtoBマーケットプレイスでの価格帯を調査します。
- キーワードの需要調査では、国別のキーワード需要や、関連キーワードの調査、競合の多さや、トラフィックの多い流入先ドメインなどを調査します。
競合分析
- 競合サイト調査では、ターゲット市場の主要な競合企業を3–5社リストアップし、彼らのウェブサイトの構造、製品、コンテンツやマーケティング手法を分析します。「なぜ彼らが顧客に選ばれているのか」を解明します。
- 競合トラフィック調査では、調査ツールを使い、競合の流入トラフィックをチャネルごとに調べたり、キーワードや広告の利用状況などを調査します。
- 競合SNS調査では、競合のSNS利用状況(フォロワー数や投稿頻度、登校内容等)を調べ、どのように顧客とコミュニティーを形成しているかを調査します。
自社分析
自社のリソースを客観的に分析します。競合分析で得た結果と照らし合わせると、自社の強みや弱みの把握が楽になります。
- サイト調査ではウェブサイトの構造、製品、コンテンツやマーケティング手法を競合と比較します。
- トラフィック調査では、競合のトラフィックと比較し、弱点や優位性を把握します。
- SNS調査でも、競合と比較を行い、弱点や優位性を把握します。
SWOT分析
3C分析などを通して得た自社の「強み (Strengths)」「弱み (Weaknesses)」、市場の「機会 (Opportunities)」「脅威 (Threats)」を客観的に整理し、自社が攻めるべき領域と避けるべき領域を明確にします。
2. ユーザー像の定義
上記の調査を元に、セグメントごとに具体的なユーザー像であるペルソナの設定を行います。 そこから、ユーザーのニーズや、ステークホルダーごとの説得コンテンツが必要性が明らかになります。また、ユーザーがどのような経路で貴社ウェブサイトにたどり着き、問い合わせを行うのかを視覚化するカスタマージャーニーマップも作成して、ユーザーの【認知】→【検索】→【比較検討】→【問い合わせ」という、それぞれのステージでの具体的な施策も視覚化されます。
3. USP(独自の強み)の再定義とターゲット顧客の設定
分析結果を基に、自社のポジショニングを定めます。
USPの言語化
「私たちは、[ターゲット顧客]に対して、[競合にはない独自の価値]を提供することで、[顧客の課題]を解決します」という形で、自社の提供価値を簡潔に言語化します。例えば、「品質」が強みなら、「10年間の長期運用でも性能が劣化しない高耐久性」のように具体的に表現します。
ICP(Ideal Customer Profile)の作成
どのような業界の、どの役職の、どんな課題を抱えた人物が理想の顧客かを具体的に定義します。これにより、マーケティングメッセージがよりシャープになります。
4. 戦略立案
ユーザー像とUSPが定まった後は、カスタマージャーニーマップに基づき、それぞれのステージで、ユーザーが次のステージに進むような施策を考え、成約に近い順に優先度を設定して、施策ロードマップを作成します。
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悩み3:どのように、どこへPRしていけば良いか分からない
ポジショニングが明確になっても、次はそのメッセージを「誰に」「どこで」「どのように」届けるかという課題が待っています。特にBtoBでは、適切なチャネル選びが成功を大きく左右します。
原因分析
チャネルの知識不足
海外のBtoBマーケティングで有効なチャネル(プラットフォームやメディア)を知らない。
コンテンツの不足
PRするための魅力的なコンテンツ(記事、動画、事例など)が十分に用意できていない。
ソリューション:ターゲットが集まる場所で、価値ある情報を提供する
やみくもに広告を出すのではなく、ターゲット顧客が集まる
1. BtoBに有効なデジタルチャネルの活用
場所に集中してアプローチします。
海外、特に欧米のBtoBマーケティングにおいて最も重要なプラットフォームです。企業の公式ページでの情報発信、ターゲット役職への広告配信、営業担当者による個別のアプローチなど、多様な活用法があります。
コンテンツマーケティング
専門性の高いブログ記事や導入事例そのものが、最高のPRコンテンツです。SEOと組み合わせることで、能動的に情報を探している質の高い見込み客を集めることができます。ただし、ブログ記事には、読了後に成約につながる記事と、まったく買う意思のないお客様ばかり集まるような記事がありますので、注意が必要です。さらに、最近はAI生成の記事が多くなったため、貴社しか知りえないような情報(CEOや社内キーマンの最新の知見やお客様事例など)を積極的に打ち出す必要があります。
業界特化型メディアへの露出
ターゲット業界のオンラインマガジンやニュースサイトにプレスリリースを配信したり、記事を寄稿したりすることで、専門分野での認知度と権威性を高めることができます。
2. リードナーチャリングの仕組み作り
すぐには受注に至らない見込み客とも継続的に関係を築き、将来の顧客へと育成(ナーチャリング)します。ただ、これは、来たお客様を丁寧に「教育」することを考えるよりも、お客様の課題の深刻度に合わせたコンテンツを準備することが重要かもしれません。なぜなら、訪問者の課題の深刻度はお客様毎に違い、「今すぐ客」といわれるような方が訪問する場合もあるからです。
- Ebook/ホワイトペーパーの作成:顧客の課題解決に役立つ詳細な資料(Ebookなど)を作成し、Webサイトからダウンロードできるようにします。ダウンロード時にメールアドレスを取得することで、見込み客リストを構築できます。
- メールマーケティング:取得したリストに対し、定期的に役立つ情報やセミナーの案内などを送り、自社への関心を維持・向上させます。
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悩み4:企業内のマンパワーが限られている
上記のような本格的なマーケティング活動を、限られた人員で遂行するのは極めて困難です。特に、専任の海外マーケティング担当者がいない場合、担当者は通常業務と兼務することになり、全てが中途半端に終わってしまうリスクがあります。 特に、海外事業部を立ち上げたばかりだった場合、人員は限られ、多忙なためにデジタルな施策は後回しにされがちです。
原因分析
リソース不足
時間、人材、ノウハウといった、マーケティング活動に必要なリソースが絶対的に不足している状態のことが多いです。とくに、BtoBのデジタルマーケティング人材は雇用市場になかなかおらず、大企業でも雇うこと自体が難しい状況です。さらに、海外向けとなるとなおさら難しくなります。
非効率な業務プロセス
多くの作業を手動で行っており、時間がかかりすぎている。
ソリューション:選択と集中、そして外部リソースの活用
1. 「やらないこと」を決める
限られたリソースを最大限に活かすため、「選択と集中」を徹底します。
チャネルを絞る
最初から全てのチャネルに手を出すのではなく、「まずはSEOとコンテンツマーケティングに集中する」「LinkedInの運用を徹底的に行う」など、最も効果が見込めそうな1–2つのチャネルにリソースを集中させます。
小さく始めて改善する
完璧な計画を待つのではなく、まずは最低限の施策からスタートし、データを分析しながら改善を繰り返すアプローチ(リーンスタートアップの考え方)を取ります。
2. オートメーションツールの導入
本格的なMAツールは、リードが一定数無いと宝の持ち腐れです。しかし、自動メール配信、SNS投稿の予約等、比較的手軽に定型業務を自動化し、人の手が必要な創造的な業務に時間を割けるようなツールを利用できます。 リソースが少ない際に大規模なツールを導入することは難しいため、リーンスタートアップな展開ではまず、日常業務の簡単な自動化から始めると効果が出やすくなります。
3. 外部の専門家の活用
全てを自社で抱え込む必要はありません。専門知識を持つ外部パートナーと協力することで、効率的かつ高品質なマーケティングが実現できます。
専門領域での外部委託
SEO、広告運用、コンテンツ作成など、特定の領域をフリーランスや専門の代理店に委託します。
BtoB海外マーケティング支援会社への相談
戦略立案から実行までをワンストップで支援してくれるパートナー企業に相談するのも有効な手段です。彼らは多くの企業の成功・失敗事例を知っており、最短距離での成功をサポートしてくれます。
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まとめ:海外BtoBマーケティング成功へのロードマップ
海外BtoBデジタルマーケティングの成功は、個別の施策を断片的に行うのではなく、一連の流れとして捉えることが重要です。
- 市場と自社を理解し(ポジショニング)
- その立ち位置を基に、信頼されるWebサイトを作り(SEO・CRO)
- ターゲットが集まる場所で価値を提供し(チャネル戦略・コンテンツ)
- 限られたリソースで効率的に実行する(選択と集中・外部活用)
このプロセスを着実に進めることで、海外サイトからの問い合わせは着実に増え始め、グローバル市場での確かな一歩を刻むことができるでしょう。最初から大きな成果を求めず、まずは自社の課題に合ったソリューションから一つずつ試してみてはいかがでしょうか。
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