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海外マーケティングブログ

Meta広告の「インクリメンタルアトリビューション」とは?

執筆者

佐藤 雄真 / Yuma Sato

プロフィール詳細

大学時代にフィリピン留学を経験し、異文化理解とコミュニケーション能力を磨く。卒業後は営業職や飲食業界での勤務を経て、ウェブマーケティングの世界に転身。現在は世界へボカンの広告運用チームに所属し、海外市場を対象としたGoogle、Meta、Pinterestなどの広告運用を担当している。大小さまざまな事業の広告運用を手掛け、事業者の視点に寄り添った戦略的なサポートを提供。異なる業界や市場ニーズに対応し、クライアントの成長を共に実現することに情熱を注いでいる。

近年、Meta広告(Facebook・Instagram広告)における「効果測定」の考え方が変化しています。

従来は、クリック数やコンバージョン数といった“目に見える行動”が評価指標の中心でした。

しかし、ユーザーの購買行動が多様化し、Cookie規制やプライバシー強化が進む中で、これまでの指標だけでは広告の真の価値を測ることが難しくなっています。

そこで注目されているのが、「インクリメンタルアトリビューション」です。

これは、広告が本当はどれだけ成果に貢献したのかを可視化する分析手法です。

本記事では、Meta広告におけるインクリメンタルアトリビューションの基本概念から、他のアトリビューションモデルとの違い、実践的な活用方法までを詳しく解説していきます。

インクリメンタルアトリビューションとは何か?基礎から理解する

インクリメンタルアトリビューションとは、「広告を配信しなかった場合と比べて、どれだけの成果(例:購入や問い合わせ)を生み出したか」を測定する手法です。
この「差分(インクリメント)」こそが、広告の真の貢献度だとする考え方です。

たとえば、ある商品が10件売れたとして、そのうち広告を見たユーザーによる購入が6件だった場合、それが「広告による貢献」かどうかは明確ではありません。
広告を見なくても、その商品を買うつもりだったかもしれないからです。

  • 標準アトリビューション:成果を「どの広告が関わったか」で割り振るだけ。広告がなくても買ったかも?という視点はない。

  • インクリメンタルアトリビューション:「広告を見なかったら、その成果は起きなかった」成果をカウントしない。

インクリメンタルアトリビューションでは、「広告がなければ起こらなかった成果」を明らかにします。

インクリメンタルアトリビューションを活用するための実践ポイント

インクリメンタルアトリビューションを効果的に活用するには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

1. 明確なテスト設計

テストとコントロールグループの設定は、できるだけランダムに。意図的な偏りがあると、正確な結果が出ません。

2. 十分なサンプルサイズ

母数が少ないと誤差が大きくなります。少なくとも数千人規模での検証が望ましいです。

3. 中長期的な視点で評価

1回のテスト結果に依存せず、複数回の実施や期間を設けて効果を分析しましょう。

4. 他チャネルとの連携

Google広告やメールマーケティングなど、他チャネルも含めてトータルで見た効果を意識することが、広告戦略の最適化につながります。

こうした取り組みを継続することで、Meta広告の真の費用対効果を明らかにし、運用の質を高めていくことができます。

インクリメンタルアトリビューションを試すべき主なシチュエーション

1. 広告成果が良いのに売上が増えていないとき

Meta広告では「CV数が好調・CPAも安い」
しかし実際の売上(GAやShopifyなど)と連動していない。

Meta広告が「実は広告なしでも買っていた人」を成果にカウントしている可能性あり。

→ 広告の「インクリメンタルな効果」は少ないかもしれない。

2.リターゲティング広告の成果が異常に良いとき

リターゲティング広告のCVRが非常に高いが新規ユーザー広告はイマイチ。
元々購入意欲が高いユーザーが多いため、広告がなくても買っていた可能性が高い。

→ 「リターゲティングは本当に必要なのか?」を見極めたいとき、インクリメンタル効果の検証が有効。

3. ブランド認知目的の広告を出しているとき

ブランド動画・カルーセル・ストーリーなど表示重視の広告を配信している。
クリックやCVは少ないが、将来的な影響を期待している。

通常のアトリビューションでは成果として見えづらい。

→ 本当にブランド広告が売上につながっているのか?を見るには「インクリメンタリティテスト」が必要。

4.広告費を大きく増やす判断をする前

広告のCPAが良く、配信量を2倍・3倍にしたいと考えている。
いくらCPAが良くても、インクリメンタル効果がなければムダな出費になる可能性が高い。

→ 拡大前に「本当に広告が売上を増やしているのか?」を確認すべき。

まとめ:インクリメンタルアトリビューションは広告運用の新しい分析軸

Meta広告の効果測定は、クリック数やCV数だけでは見えない“真の貢献度”を把握するフェーズに進化しています。その中心となるのが、「インクリメンタルアトリビューション」という考え方です。

この手法を使えば、「広告がなかったら成果はどうだったか?」という視点から、より客観的に広告効果を測定できます。従来のアトリビューションモデルでは捉えきれなかった間接的な効果も明らかになり、費用対効果の最適化が実現しやすくなります。

Metaが提供するConversion Liftなどの機能を活用すれば、初心者でも比較的簡単にインクリメンタルな効果を検証可能です。

明確なテスト設計、中長期的な視点、多チャネルとの連携などを意識して取り組むことで、広告運用の質をさらに高められるでしょう。

効果測定に行き詰まりを感じている方は、ぜひこの手法を取り入れてみてください。

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