商談につながらない本当の理由とは?
こんにちは!世界へボカンのかわさきです。
普段は越境ECやBtoBの海外マーケティングを支援しながら、ボカンYouTubeでの対談撮影や記事執筆を通じて、現場での学びを発信しています。
前回の記事では、BtoB購買プロセスが「直線」ではなく「往復運動」になっている背景を解説しました。
👉 前編はこちら:商談が前に進まないのは営業力不足ではない?
今回はその続編として、商談につながるメールマーケティングをテーマにお届けします。
ゲストは前回に引き続き、合同会社クロスコムの本田さん。実際の調査データや海外事例をもとに、成果を出す7つの型を徹底解説いただきました。
この記事はこんな方におすすめ
- BtoBのメールマーケティングをやっているが、商談につながらず悩んでいる方
- メルマガ以外のメール施策(セグメントやトリガー)を学びたい方
- 顧客の購買ステージごとに、どんなコンテンツを用意すべきか知りたい方
この記事でわかること
- メールマーケティング=メルマガではない、多様な手法
- セグメント・トリガーメールが成果を出す理由
- 購買ステージごとに必要なコンテンツ設計
- 海外BtoBでの最新動向(ハイパーパーソナライゼーション、AMPメールなど)
本編動画
1. メールマーケティング=メルマガではない
本田さんが最初に強調したのは、「メールマーケティング=メルマガではない」という点です。
実際には以下のような手法があります。
- メルマガ: 全リストへ定期的に一斉一斉配信
- トリガーメール: 顧客の特定の行動やイベントをトリガーとして、自動配信
- セグメントメール: 顧客の属性・行動データなど特定のセグメントごとに配信
- リターゲティングメール: 過去に配信したユーザーに対して設定した条件に基づき自動的に配信
- ステップメール: あらかじめ設定したシナリオに基づき一定の感覚で配信
- シナリオメール: 契約更新やフォローアップ
海外の統計データでは、もっとも高い成果が出やすいのはセグメント配信(改善効果:55%)。
開封率・返信率・商談化率の改善幅が他手法より大きいことが示されています。
2. 成果につながる3つのセグメント切り口
セグメント配信にはさまざまな切り口がありますが、
本田さんは特に「行動履歴」「興味関心」「ライフサイクルステージ」の3つが成果につながりやすいと指摘しています。
① 行動履歴ベースのセグメント
Web閲覧、資料請求、メール開封などの行動データに基づいて配信。
直近で行動した=ニーズが高い タイミングを逃さず情報を届けることで、商談化につながりやすくなります。
② 興味関心テーマ別のセグメント
顧客がクリックしたテーマや請求した資料ごとに配信を最適化。
「資料ダウンロード=潜在的ニーズのサイン」と捉え、関連する解決策を提示することで一歩踏み込んだ提案が可能になります。
③ ライフサイクルステージごとのセグメント
潜在層・準顕在層・顕在層といった購買段階に合わせて情報を提供。
気づきを与える記事から比較表や導入事例といった最終検討向けコンテンツまで、フェーズに応じたアプローチが検討を前進させます。
👉 セグメント配信は切り口次第で成果が大きく変わります。
まずはこの3つを重点的に取り入れることが、効率的に成果を出す第一歩です。
実際には8つの切り口が存在
本田さんが示したフレームワークでは、上記3つを含め合計8つの切り口があります。
「担当属性」「企業属性」「購入履歴」など多様な切り口も存在します。
3. 配信解除の理由と頻度設計
「自分に関係ない情報(回答割合:21%)」という声もありますが、調査データでは解除理由のトップは「メールが多すぎるから解除される(回答割合:26%)」でした。
つまり興味がない・過配信メールを送ってしまうことが問題です。
ポイントは「売り込み」ではなく、意思決定を助ける学習コンテンツを届けることです。
4. 購買ステージ別に必要なコンテンツ
顧客は購買プロセスの進行度によって求める情報が異なります。
購買ステージごとで価値を感じるコンテンツは違う
- 最終段階フェーズ: デモ、ユーザーレビュー、評価、ROI計算ツール、
- 中間段階フェーズ: ケーススタディ、ウェビナー、ユーザーレビュー、アナリストレポート
- 初期段階フェーズ: ブログ投稿/ニュース記事、ウェビナー、研究報告、インフォグラフィックス
顧客の目的から逆算してコンテンツを企画する
「これを問い合わせする理由 発注する理由というふうに
2つに分けた場合にこの顕在ニーズ 潜在ニーズというふうに分けて考えることはできるんじゃないかなと思っております。
顕在ニーズのところはもう表面化している、いわゆるお客さんがもう言語化できているものとしてニーズが上げられます」ー本田さん
特に潜在ニーズを顕在化させるコンテンツはブランド想起にもつながり、競合との差別化ポイントになります。
5. 海外の最新動向と事例から学ぶ
ここからは、実際に海外で成果を上げているメールマーケティングの事例と、最新動向について紹介します。
事例① セグメントメールで決裁者にリーチ
ある海外企業では「決裁者にリーチできていない」という課題に対し、属性ごとにセグメントしたメールを配信。
その結果、商談や営業パイプラインの創出につながりました。
「リードは取れていても商談につながらない」「意思決定者につながらない」という課題は日本でもよくあります。
この事例は、単なる配信ではなく“誰に届けるか”の視点が重要だと示しています。」ー本田さん
事例② ステップメールでナーチャリング
海外では、解決策を探している段階の見込み客に対して、ステップメールを活用。
継続的に情報提供することで開封率・返信率が向上し、リードが増加したという結果が出ています。
事例③ トリガーメールと営業連携
ホワイトペーパーをダウンロードした直後に営業へ通知を送り、
その後の競合比較やROIシミュレーションを営業が対面で説明する事例もあります。
マーケティングと営業の連携が成果を生む好例です。
海外の最新トレンド
- ハイパーパーソナライゼーション: 件名や本文、画像をリアルタイムに最適化
- データ保護強化: 個人データ保護の規制がさらに加速
- 送信者認証: SPF/DKIM/DMARCに加え、BIMI・VMCでロゴ認証が普及
- AMPメール: メール内で双方向コミュニケーションを完結させる試み
- セグメント/トリガー活用: 個別最適化された配信が主流に
- 意思決定支援コンテンツ: ROI計算ツールやシミュレーションなど
まとめると、メールマーケティング=メルマガではないということ。
海外ではセグメントやトリガーを活用した個別最適化が進み、
購買ステージごとに価値を感じるコンテンツを提供することが成果に直結しています。
まとめ
- メールマーケティングはメルマガだけでなく多様な手法がある
- 特にセグメントメールとトリガーメールは商談獲得に有効
- 購買ステージごとに必要なコンテンツを用意することが重要
- 成果を出す7つのコンテンツで、購買における意思決定を支援する:
- 計算コンテンツ(ROIシミュレーター)、助言コンテンツ(意思決定チェックリスト)、診断コンテンツ(パフォーマンス診断)、比較コンテンツ(機能比較表)、共有コンテンツ(社内プレゼン用ガイド)、実験コンテンツ(ワークブック)、推奨コンテンツ(課題解決ロードマップ)。
BtoBのメールマーケティングで「成果が出ない」と悩んでいる方は、ぜひ今回の7つの型と最新事例を参考に、自社の施策を見直してみてください。
編集後記
今回の対談を整理しながら、私自身も「顧客の状況に合わせてメールを設計すること」の大切さを改めて実感しました。
BtoBマーケティングは記事ひとつ読んで解決するものではなく、地道に知識を積み重ね、実務に落とし込む取り組みが必要です。
だからこそ、今回のような対談からヒントを得て、自分の現場にどう活かせるかを考えることが重要だと思います。
皆さんの会社では、顧客はどの購買ステージで立ち止まっているとお考えでしょうか?
一度社内で整理し、次の打ち手を考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです!