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インドネシア市場での海外リスティング広告成功ガイド:戦略と実践ポイント
- 2026.01.27
- 海外リスティング広告
- インドネシアは、人口約2.7億人を抱えるASEAN最大の巨大市場です。平均年齢が若く、豊富な労働力と消費意欲を持つ「デジタルネイティブ世代」が経済を牽引しています。 親日度は極めて高く、日本製品への信頼も厚いですが、シンガポールやマレーシアと比べて「言語の壁」が高く、法規制や物流のハードルも複雑なため、参入障壁が高い市場でもあります。この記事では、インドネシア市場に広告を配信するべき理由と、巨大市場ならではの難所を攻略するための実践的なポイントについて解説していきたいと思います。
- 目次
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- インドネシアのデジタル広告市場の特徴
- インドネシアで活用すべき主要広告チャネル
- 海外リスティング広告の戦略設計ポイント
- インドネシア広告配信の注意点
- 日本企業の成功・失敗事例
こんな人におすすめ
- ASEAN最大の人口ボーナス市場で先行者利益を狙いたい方
- ジャカルタ首都圏の巨大な消費マーケットを開拓したい方
- 自社サイトだけでなく、現地のECモール活用も視野に入れている方
インドネシアのデジタル広告市場の特徴
- 圧倒的なモバイルファースト: インターネット利用者の98%以上がスマートフォン経由です。PCサイトの閲覧はB2Bなど一部に限られるため、モバイルでの表示速度とUI/UXが全てを決めます。
- 世界トップクラスのSNS大国: 国民の多くがSNS中毒と言えるほど長時間利用しており、情報収集から購買までSNS内で完結する傾向が強いです。特にTikTokやInstagramの影響力は絶大です。
言語の壁と「話し言葉」の文化: 公用語はインドネシア語です。英語はジャカルタの一部ビジネス層を除き、ほとんど通じません。また、広告テキストは、教科書的な「書き言葉」よりも、親しみやすい「話し言葉(口語)」が好まれる傾向があります。
越境ECで狙うべき「購入可能層」のリアル:富裕層と英語利用者の実態
インドネシアの人口は2.7億人ですが、越境ECで日本の高品質な商品を販売する場合、その全員がターゲットになるわけではありません。ターゲティングの精度を高めるために、現実的な「購入可能層(Addressable Market)」の規模感を把握しておく必要があります。
1. 実質的なターゲットとなる「消費階級」の規模
世界銀行やボストン・コンサルティング・グループなどの調査によると、インドネシアで安定した購買力を持つ「中流・富裕層(MAC: Middle and Affluent Class)」は、人口の約20%〜25%程度と言われています。
- 規模感: 全人口の2割とはいえ、数にすれば約5,000万人〜6,000万人に達します。これは韓国の総人口、あるいは日本の関東地方の人口に匹敵する巨大なマーケットです。
- ターゲット属性: ジャカルタ首都圏などの大都市に居住し、外資系企業勤務や経営者層、華僑系財閥に関連する層などが中心です。彼らは価格よりも「品質」や「ステータス」を重視し、日本の化粧品、健康食品、ベビー用品、ガジェットなどを好んで購入します。
2. 「英語のECサイト」で買い物をしてくれる層は?
「英語サイトのままで売れるか?」という点は、多くの日本企業が悩むポイントです。結論から言えば、「英語のみでの展開は、市場を上位数%の超富裕層に限定してしまう」リスクがあります。
- 英語能力の現状: インドネシアの英語能力指数(EF EPI)はアジア内でも低位グループに属します。日常的に英語を使いこなすのは、ジャカルタのビジネスエリートや海外留学経験者などの「トップティア」に限られます。
- 購買心理の壁: たとえ英語が読める層であっても、「母国語(インドネシア語)の方が安心して購入ボタンを押せる」という心理が働きます。特に越境ECは「本当に届くのか?」「偽物ではないか?」という不安がつきまとうため、英語だけのサイトは離脱率(カゴ落ち)が高くなる傾向があります。
- 結論: 英語サイトでリーチできるのは、本当にコアな親日富裕層(数百万〜1千万人規模)に限られます。5,000万人規模の「消費階級」全体を取りに行くなら、ランディングページ(LP)やクリエイティブのインドネシア語化(ローカライズ)は必須投資と言えます。
3. 狙い目は「都市部のミレニアル・Z世代」
富裕層に加え、可処分所得が増加している都市部の若年層も有望なターゲットです。彼らは「自分への投資」を惜しまない傾向があります。
- 特徴: デジタルネイティブであり、日本のトレンドにも敏感です。
- 購買行動: 給与水準は日本より低いですが、「Kredivo」などの「後払い決済(BNPL)」を利用して、高単価な日本のスキンケアやファッションアイテムを購入するケースが急増しています。
インドネシアで活用すべき主要広告チャネル
Meta広告(Facebook/Instagram) 国民的な情報インフラです。Facebookは幅広い層に、Instagramは都市部の若年層や女性に強い影響力を持ちます。ビジュアル重視の商材と相性が良く、詳細なターゲティングが可能です。
TikTok Ads 若年層だけでなく、幅広い世代で利用が急増しています。エンタメ性の高い動画広告が好まれ、「TikTok Shop」との連動で爆発的な売上を記録するケースも多いです。
Google広告 検索ボリュームは巨大ですが、大半はインドネシア語での検索です。顕在層を狙うには必須ですが、キーワード選定には現地のネイティブの知見が不可欠です。
Tokopedia / Shopee(マーケットプレイス内広告) インドネシア人は、何か欲しいものがある時、GoogleではなくまずECモール(TokopediaやShopee)で検索する習慣があります。EC展開の場合、自社サイトへの集客よりも、モール内の検索連動型広告を活用する方が効率的な場合があります。
海外リスティング広告の戦略設計ポイント
巨大なインドネシア市場で成果を出すためには、「広げすぎない」ことと「ローカライズの徹底」が重要です。
- エリアとターゲットの集中投下 全土に配信すると予算がいくらあっても足りません。まずは経済活動が集中する「ジャカルタ首都圏(Jabodetabek)」にエリアを絞り、ターゲットも明確にセグメント化して集中投下するのが鉄則です。
- クリエイティブの徹底的な現地化 単なる翻訳では心に響きません。現地のインフルエンサー(KOL)を起用した動画や、現地の生活様式に合わせた画像を使用します。テキストは親しみやすい口語体を採用し、「自分たちのための商品だ」と感じさせる工夫が必要です。
- 「チャット(WhatsApp)」を接客に組み込む インドネシア人は「Webフォームでの問い合わせ」を嫌い、「チャットですぐ聞く」ことを好みます。広告のリンク先をWhatsApp Businessに設定し、購入前の疑問をチャットで即座に解消する体制を作ると、コンバージョン率(CVR)が劇的に改善します。
インドネシア広告配信の注意点
- BPOM(国家食品医薬品監督庁)認証の壁: 化粧品、食品、サプリメントなどを販売する場合、BPOMへの登録は必須かつ非常に厳格です。未認証の商品を広告で大々的に宣伝すると、販売停止などのリスクがあります(越境ECの個人輸入枠でも注意が必要です)。
- 決済手段の多様性: クレジットカード普及率は低いです。GoPay、OVO、DANAといった「E-wallet」や、コンビニ払い、銀行振込(バーチャルアカウント)への対応が不可欠です。
- ハラル対応(宗教上の配慮): 世界最大のイスラム人口を抱える国です。豚由来成分やアルコールの有無に関する情報開示は必須であり、ハラル認証があれば大きな強みになります。
物流と通関の難しさ: インドネシアの税関は検査が厳しく、通関トラブルが頻発します。関税込み(DDP)での配送手配や、信頼できる物流パートナーの選定が重要です。
日本企業の成功・失敗事例
成功事例 ある日本の美容家電メーカーの事例です。ターゲットを「ジャカルタ在住の美容関心層」に絞り込み、現地の美容系マイクロインフルエンサー(KOL)を複数起用。彼女たちが実際に製品を使って効果を実感する様子をTikTokとInstagramのリール動画で拡散しました。広告のリンク先には、Shopeeの公式ストアとWhatsAppの相談窓口を設置。KOLの信頼性とチャットでの丁寧な接客が相まって、発売初月に目標の3倍の売上を達成しました。
【参照記事】AnyMind Group secures exclusive distribution rights for Japanese cosmetics brand THREE in Indonesia
失敗事例 ある健康食品メーカーが、BPOM認証を取得しないまま、日本の成功事例を元に大規模なFacebook広告を展開しました。クリエイティブは日本語を直訳したもので、決済はクレジットカードのみ。結果、広告の審査落ちが頻発しただけでなく、クレジットカードのみの決済方法のみだったため、カート落ちが発生。さらに、配送した商品が税関で止まり、受取人(顧客)が高額な関税を請求されるトラブルが続出しました。認証、決済、物流という「インドネシアの三大障壁」を軽視した結果、撤退を余儀なくされました。
弊社がインドネシア向け支援を行う際は、広告運用の前にまず「販売スキーム(許認可、決済、物流)」の確認から入ります。広告はあくまで集客の手段であり、受け皿がザルでは意味がないからです。
【参照記事】5 Biggest Challenges in Indonesia’s E-Commerce Market
【参照記事】Indonesia E-commerce Market: Growth Insights, Challenges, and Prospect
まとめ
インドネシアはASEAN最大の魅力的な市場ですが、参入障壁の高さもASEAN随一です。この記事では、インドネシア市場での広告戦略や、BPOM、決済、物流といった独自の注意点を紹介しました。成功の鍵は、市場の特殊性を理解し、現地の商習慣に徹底的に合わせたローカライズ戦略にあります。
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