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Google広告編:顕在層、準顕在層を確実に成果につなげる方法
- 2026.01.31
- 海外リスティング広告
この記事では越境ECを含むD2C・EC領域で成果を出し続けるためのGoogle広告運用を、戦略設計から実装・改善まで体系的に整理します。
単なる設定手順ではなく、「なぜその設計が必要か」「どこで差がつくか」を運用者視点で解説していきます。
最後に越境広告運用でよくある事例も記載しているので、ぜひ参考にしてください。
1. Google広告の役割を定義する(最初にやるべきこと)
Google広告は、Meta広告のような需要創出型とは異なり、特に検索エンジンに表示される検索広告やショッピング広告は「顕在需要の刈り取り」に強い媒体です。
まずは全体のマーケティング設計の中で、Google広告に担わせる役割を明確にします。
代表的な役割は以下です。
- 指名検索の取りこぼし防止(ブランド防衛)
- 購買直前層の獲得(一般検索)
- 商品比較層の獲得(カテゴリ・用途検索)
- 高意図ユーザーへの拡張(P-MAX、ショッピング)
ここが曖昧なまま「とりあえず出稿」すると、評価指標も運用判断もぶれます。
2. 数字設計がない広告運用は再現性がない
越境ECでは特に、CPAだけで判断すると危険です。
必ず事前に損益構造から広告許容値を設計します。
最低限必要な指標は以下です。
- 客単価(AOV)
- 粗利率(配送・決済手数料込み)
- 目標ROAS(損益分岐点)
- CVRの現実値(国別で変動)
- CPCの相場(市場で変動)
運用開始前に売上シミュレーションを作り、「どこまでなら広告費をかけられるか」を数字で持つことが重要です。
3. アカウント設計は機械学習を前提に組む
Google広告は自動入札が標準化しており、構造設計は「学習効率」を中心に考えるべきです。
よくある失敗は以下です。
- キャンペーンを細かく分けすぎてCVが分散する
- 広告グループが多すぎて学習が進まない
- 国別に分けすぎてデータが貯まらない
推奨は「目的別」に大きく分ける設計です。
- 指名キャンペーン
- 非指名(購買意図高)キャンペーン
- ショッピング/P-MAXキャンペーン
- リマーケティング補完
1キャンペーンあたり月30〜50CV以上を確保できる粒度が、最も安定しやすい現実ラインでGoogleの推奨です。
4. 計測が崩れると運用は成立しない
Google広告で成果を出す上で最大の前提は「正確なコンバージョン計測」です。
越境ECでは特に以下が重要です。
- GA4とGoogle広告の連携
- 購入CVの重複排除
- 通貨設定の整合性
- マイクロCV(カート追加、商品閲覧)の取得
購入だけを最適化対象にすると学習が遅れるケースも多いため、初期はマイクロCV(行動シグナル)を補助CVとして設計することも有効な選択肢の一つです。
ただし、マイクロCVを導入すると、本CVと比べて質が低いCVにも同一に最適化がかかるため、質と量のバランスを見る必要があります。
5. キーワード戦略は「検索意図」で組み立てる
越境市場では翻訳キーワードだけでは成果が出ません。
検索意図を軸に構造化する必要があります。
意図分類の例
- Buy intent:buy, order, shipping, price
- Category intent:Japanese snacks, dog treats
- Brand intent:指名+商品名
運用上のポイント
- 初期はフレーズ一致中心で精度を担保
- インテントマッチは学習が進んだ後に拡張
- 除外キーワードは数日~数か月に1回など運用フェーズに合わせて整備
除外の精度が低いアカウントは、長期的にCPAが悪化します。
6. 自動入札は「条件が揃った時に強い」
自動入札は万能ではなく、適用条件があります。
目標CPAが機能する条件
- CV数が一定以上ある(月30以上)
- 商材単価が一定
目標ROASが機能する条件(CV数が目標CPAより多く必要)
- 購入金額が正確に計測されている
- 商品単価差が大きく、高単価CVを集めたい
- 利益率が一定
初期は「最大化コンバージョン」でデータを集め、学習が安定してから目標値に移行することが多いです。
7. 広告文は翻訳ではなく訴求設計
越境広告では「英訳しただけの広告文」が多く、成果差が出やすい領域です。
重要なのは以下です。
- 現地ユーザーが価値を感じる訴求になっているか
- 不安要素(配送、関税、返品)を潰せているか
- CTAが文化的に自然か
例
- Free Shipping Worldwide
- Trusted Japanese Quality
- Delivered in 2–3 Days
広告文はクリック率だけでなく、CVRにも影響します。
8. ショッピング広告はフィードが全て
Googleショッピングで成果が出ない原因の多くは運用ではなく「商品フィード」です。
最優先で見るべき項目
- 商品タイトル(検索語を含む)
- 商品カテゴリ設定
- 価格と通貨の整合性
- 配送情報の明示
- 不承認理由の早期解消
フィード改善は、入札調整よりも成果インパクトが大きいケースが多いです。
9. 改善サイクルは「分解」と「仮説」で回す
成果が伸びない時に見るべき分解軸はある程度決まっています。
- 国別(市場差)
- デバイス別(購買行動差)
- 時間帯別(CPAの偏り)
- クエリ別(意図ズレ)
- 新規/リピーター別
広告運用で差がつくのは「数字分析」ではなく、
なぜ悪化したか
どこを変えるか
何を検証するか
を仮説として提案できるかです。
越境ECにおけるGoogle広告運用事例集
ここまで解説した内容を、実際の越境EC広告運用でよく起きるケースとして整理します。
Google広告は設定論だけでなく、「どのような状況で成果が変わるか」を事例で把握しておくと運用判断が早くなります。
事例1:指名検索を抑えたことで競合流出を防げたケース
越境ではSNSやインフルエンサー施策で認知が取れた後、購入直前にGoogleで指名検索されるケースが非常に多くなります。
既に海外で認知のある案件では指名検索広告を出していなかったため、競合やマーケットプレイス広告に上部枠を取られ、自社への流入が減少していました。
指名キャンペーンを追加したことで、下記のように改善することができました。
- 指名検索CPAは非指名の約1/3
- 取りこぼしが減り、全体ROASの底上げ
越境でも「指名防衛」は最も費用対効果が高い投資の一つです。
事例2:国別に損益分岐ROASを出したことで投資判断がブレなくなった
越境ECでは国によって配送費・返品率が異なり、同じ客単価でも損益分岐が変わります。
- US:粗利率50%/損益分岐ROAS 約200%
- EU:粗利率35%(関税・返品コスト込み)/損益分岐ROAS 約280%
この状態で一律の目標CPAを置くと、EUは赤字、USは機会損失になりやすくなります。
国別に損益分岐を整理したことで、広告投資の優先順位とスケール判断が明確になり、利益ベースで運用が安定しました。
事例3:国別に分けすぎて学習が進まず、統合でCPAが改善したケース
越境案件でよくある失敗が「国別にキャンペーンを分けすぎる」設計です。
あるアカウントでは主要国ごとに検索キャンペーンを8本に分割していましたが、各国のCV数が月10件未満となり、自動入札が学習できずCPAが高止まりしていました。
そこで主要国を統合し、1キャンペーン内で地域別に分析する運用へ変更したところ、下記のように改善することができました。
- CVが集中し学習が安定
- 2〜3週間でCPAが約25%改善
越境では「管理しやすさ」よりも「学習データを集約できる構造」が成果に直結します。
参照記事:https://www.s-bokan.com/blog/post-39799/
まとめ:Google広告運用で成果を出す本質
Google広告は設定作業ではなく、戦略と設計で成果の8割が決まります。
- 役割定義
- 数字設計
- 学習を前提にした構造
- 正確な計測
- 検索意図ベースのキーワード
- 適切な自動入札運用
- フィード最適化
- 分解と仮説の改善サイクル
この一連の流れを高い精度で回せる運用者が、越境ECでも国内でも成果を安定させることができます。
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