海外マーケティングブログ

製造業の海外展開事例|NASAから問い合わせが来る町工場・高砂電気工業の戦略

執筆者

川﨑 玲奈 / Reina Kawasaki

プロフィール詳細

本記事では、製造業の海外展開事例として、高砂電気工業様の取り組みをご紹介します。
「NASAから問い合わせが来る町工場」が、なぜ生まれたのか。愛知県に本社を置く高砂電気工業は、各種
分析装置などに使われる精密バルブ・ポンプを製造するメーカーです。その技術力は世界中の研究機関から評価され、過去にはNASAから問い合わせが来たこともあるそうです。
なぜ名古屋の町工場が、世界中から相談される企業へと成長したのか。
今回、愛知県の高砂電気工業様を訪問し、代表取締役社長 平谷様 に直接お話を伺いました。

この記事では
・試作と量産を分けた「両利きの経営」
・価格競争に陥らない高付加価値戦略
・1個から受けるカスタマイズ戦略
・多様な海外エンジニアによるイノベーション
など、製造業の海外展開を成功させるヒントをご紹介します。

この記事で分かること

この記事では、名古屋の精密バルブ・ポンプメーカー高砂電気工業の海外展開事例をもとに、製造業が海外市場で成功するためのポイントを解説します。
特に次のような内容を知りたい方におすすめです。

・製造業が海外展開で成功するための戦略
・価格競争に陥らない高付加価値ビジネスの作り方
・試作と量産を分ける「両利きの経営」の考え方
・カスタマイズ対応が生む技術力
・グローバル人材によるイノベーション

製造業の海外展開を検討している企業にとって、実践的なヒントが得られる内容です。

目次

こんにちは!世界へボカンのかわさきです。

今回は、愛知県にある高砂電気工業様のオフィスへ実際に伺い、平谷社長に直接インタビューをさせていただきました。

高砂電気工業様にて平谷社長へインタビューさせていただいた際の様子

世界へボカンのYouTubeチャンネルでは、海外市場で成果を出されている日本企業の取り組みを紹介する「海外BtoB成功事例シリーズ」を公開しています。

今回の動画では、精密バルブメーカーとして世界60カ国以上と取引する高砂電気工業様の海外戦略について詳しくお話を伺いました。

高砂電気工業は、血液分析装置や環境分析装置などで使用される精密バルブ・ポンプを製造するメーカーで、過去にはNASAから問い合わせが来たこともあるそうです。

名古屋の町工場が、なぜ世界中から相談を受ける企業へと成長したのか。その背景には、非常にユニークな経営戦略がありました。

こちらの動画も併せてご覧ください。

試作スピードと量産品質を両立する「両利き経営」

高砂電気工業では、社内を大きく2つのカンパニーに分けています。

  • 未来創造カンパニー
  • 流体制御システムカンパニー

未来創造カンパニーでは、企業の研究・開発部門や大学の研究室からの試作・カスタマイズ案件を担当。
一方、流体制御システムカンパニーでは量産製品を高い品質で安定供給しています。
試作開発と量産では、求められるスピードや品質基準が大きく異なります。それを同じ組織で行うと、スピードが落ちたり、品質管理が難しくなったりします。

そこで役割に合わせて会社を分けることで

・試作開発のスピード
・量産の品質と安定供給

この両方を実現しているそうです。
平谷社長は、この仕組みについて次のように話されていました。

「未来創造カンパニーは“狩猟民族”。新しいお客様を見つけてくる役割です。その後、流体制御システムカンパニーが“農耕民族”としてお客様をじっくり育てていくんです。」

新しい技術開発と量産体制を両立するための、非常にユニークな組織設計だと感じました。

高付加価値領域に特化する戦略

高砂電気工業が扱うのは、非常に精密なバルブ・ポンプです。

例えば

  • 血液分析装置
  • 環境分析機器
  • 航空宇宙分野

こうした分野では、わずかな誤差が大きな問題につながります。

そのため「安いから買う」ではなく「この精度が必要だから選ばれる」という市場になります。

平谷社長は、日本の製造業の強みについてこう話されていました。

「下水管のバルブなら多少の誤差があっても問題ない。でも血液分析装置のバルブは、少しの誤差でも大きな問題になります。」

つまり、日本企業は精密さが求められる高付加価値領域でこそ強みを発揮できるということです。

価格競争ではなく、技術力で選ばれるポジションを取る。

これは日本の製造業が海外で戦う上で、とても重要な戦略だと感じました。

技術力を高める「1個からでも作る」カスタマイズ戦略

高砂電気工業の特徴の一つが、「1個からでもカスタマイズを受ける」というスタンスです。

多くのメーカーでは「最低ロット100個」といった条件があります。

しかし高砂電気工業では、研究者や開発者の試作依頼にも積極的に対応してきました。

平谷社長は、この考え方についてこう話されていました。

「できるのを待って新しいビジネスを始めるんじゃなくて、まずやってみる。失敗しながらノウハウが蓄積されていくんです。」

この積み重ねによって

・新しい技術
・新しい用途
・新しい顧客

が次々と生まれていったそうです。

その結果、現在では世界60カ国以上から注文が入る企業へと成長しています。

世界中のエンジニアが働く組織へ

高砂電気工業では現在、外国籍のエンジニアも多く在籍しています。

未来創造カンパニーの外国籍従業員比率は現在でも30%、ゆくゆくは50%以上まで伸ばしていくと平谷社長はおっしゃっていました。

平谷社長は

「イノベーションは多様性から生まれる」

という考えのもと、さまざまな国籍のエンジニアを採用しているそうです。

実際に訪問させていただいた際も、社内にはグローバルな雰囲気があり、海外企業の研究所のような印象を受けました。
平谷社長は、組織づくりについて次のようにも話されていました。

「文化や宗教、価値観が違うエンジニアが同じ場所で議論することで新しいアイデアが生まれるんです。」

多様なバックグラウンドを持つ人材が集まることで、新しい発想や技術革新につながる。

これは、これから海外展開を目指す日本企業にとっても非常に重要な視点だと感じました。

製造業が海外展開で成功するためのポイント

今回の対談から、製造業が海外展開で成功するための重要なポイントが見えてきました。

①多様な人材を受け入れる

外国籍エンジニアなど、多様な視点を持つ人材が集まることでイノベーションが生まれます。
 → 同質な組織では生まれない発想が競争力になる

② カスタマイズ対応を続ける

試作や小ロットの依頼にも対応することで、

・新しい技術
・新しい用途
・新しい顧客

が生まれます。

小さな挑戦の積み重ねが、長期的な競争力につながるという点が印象的でした。

③ 高付加価値領域で戦う

価格競争ではなく、精度や品質が求められる分野に特化すること。

日本の製造業は、精密さが求められる分野で大きな強みを持っています。

④ 組織を役割で分ける

試作と量産を分けることで

・開発スピード
・品質管理

この両方を実現することができます。

徳田コメント

世界へボカン代表の徳田も、今回の対談について次のように話しています。

「今ある技術をどう売るかではなく、お客様の課題に合わせて技術を進化させていく。その姿勢こそが、世界中から相談が集まる理由だと感じました。」

つまり「売る」のではなく「一緒に作る」姿勢が、グローバルで選ばれる鍵だと言えます。海外市場では、単に製品を売るだけではなく、顧客の課題を理解しながら価値を提供していく姿勢が重要です。

今回の対談から、その本質を改めて感じました。

高砂電気工業様での対談(左側:世界へボカン 代表 徳田/右側:高砂電気工業 平谷社長)

他の海外BtoB成功事例も公開しています

世界へボカンのYouTubeチャンネルでは、海外市場で成果を出している企業へのインタビューを動画シリーズとして公開しています。

今回ご紹介した高砂電気工業様のほかにも、海外マーケティングに取り組む企業の事例をご紹介しています。

例えばこちらの事例です。

旭化成 セオラス事業の海外BtoBマーケティング事例

海外BtoBマーケティングの取り組みにより

  • 問い合わせ 2倍
  • リード 前年比3割増

という成果を実現した事例をご紹介しています。

▶事例動画はこちら

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まとめ|製造業の海外展開で重要なポイント

製造業の海外展開は「高付加価値 × カスタマイズ」が鍵

今回の対談から見えてきたのは、日本の製造業が海外市場で成功するためには

・高付加価値領域で戦うこと
・カスタマイズを通じて技術を磨くこと
・多様な人材を取り入れること

が重要だということでした。
名古屋の町工場からスタートした高砂電気工業が、世界60カ国から注文を受ける企業へと成長した背景には、こうした積み重ねがありました。製造業の海外展開を考える企業にとって、多くのヒントが得られる事例だと感じました。

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