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BNPLって何?後払い決済を導入すべき理由

BNPLとは

Buy Now Pay Later”「今買って後で支払う」という意味の言葉で、主にEC(オンラインショップ)での支払いを分割、先延ばしにできるサービスです。

基本的には少額の分割払いサービスで、一般的に2か月以内で4回程度の分割であれば手数料が無料で利用できます。支払いは請求書払い、キャッシュレス決済などの中から選択できます。

元々は代引き決済の代替手段として主婦層を中心に普及していましたが、コロナ禍でEC利用者の増加、物価の上昇などの理由で若年層でBNPLの利用者が増加しました。

全世界でクレジットカードを代替するEC決済方法として急拡大しています。

出典:日本総研

世界でBNPLの人気が高まっている理由

各国の市場のニーズに合わせたサービスを提供することでシェアを拡大しています。

クレカ使用時の懸念点であるカード情報を入力する手間、分割リボ払い手数料が掛かりません。また、与信審査は消費者の購買動向を元に行われるため、クレカを持てないユーザーでもBNPLを利用したEC決済が可能になりました。

欧米、豪州の分割支払いを選択する若い世代のユーザーや、東南アジアのクレカを持てないユーザーたちを取り込んでユーザー数を拡大しています。

また、日本ではクレカの支払いに対し不安を持つ層がBNPLの支払い方法を選択する方が増えているようです。

世界的にBNPLが伸びているが、国ごとにその理由は異なる

出典:ITmedia, Inc.

BNPL決済とクレジットカード決済の違い

各BNPL事業者の設定する返済期限内に支払いを行うことで、手数料は原則かかりません。一方、クレジットカードの分割リボ払いでは分割手数料が掛かります。

ユーザーの手数料負担が無い分、BNPLの加盟店が手数料を負担する仕組みになっています。

BNPLの利用審査は各社独自の審査基準があり、AIや購買履歴などで与信が与えられます。

クレジットカードに比べて簡便な与信審査ですが、初回の利用枠は小枠です。

出典:日本総研

BNPLの市場規模

世界のBNPL市場は右肩上がりで取引高を拡大しています。2020年度には8,800億円に到達する見込みで、2024年度には1.8兆円規模にまで拡大すると予測されています。

出典:EC決済サービス時用に関する調査を実施|矢野経済研究所

欧米でのBNPLシェアの推移

元々分割リボ払いでの購買が一般的である欧米諸国でのシェアが伸びています。

以下の図の2020年から2024年のEC 市場における決済手段の推移の予想をみると、BNPL の利用率が 北米で1.6%から 4.5%に、欧州では 7.4%から 13.6%へ増加する試算がでています。
2024年には北米、欧州のBNPLでの決済は銀行送金を上回り、さらに欧州ではクレジットカード決済のシェア(16.1%)に迫る勢いでBNPLのシェア(13.6%)が成長すると見込まれています。

米国でのBNPL普及の可能性

米国市場では半数以上の消費者がBNPLを利用した経験があり、24歳以下のユーザーのBNPL利用者の増加割合が62%と高く、若者の間でシェアを拡大しています。また、54歳以上のユーザーでも2020年度に比べて100%近い伸びを示しています。

BNPLを使用したことのないユーザーの53%は一年以内にサービスを利用する可能性があると答えています。

BNPLサービスのメリット・デメリット

BNPLサービスのユーザー側、事業者側それぞれの視点でメリット・デメリットを紹介していきます。

BNPLのユーザー側メリット

分割払い手数料が掛からない

クレジットカードでの分割リボ払いの場合14~15%の手数料がかかります。日本では分割リボ払いでの支払いはポピュラーではありませんが、米国ではクレジット支払いの76.5%が分割リボ払いを選択されています。

若者で経済的に余裕がないクレジットカードユーザーにとって分割リボ払い手数料が負担になっており、費用が掛からない事がBNPLに乗り換える一番の理由になっています。

出典:Buy Now Pay Later Report: Market trends in the ecommerce financing, consumer credit, and BNPL industry

与信審査が無い

クレジットカードの審査には勤務先、年収、身分証明書など支払い能力を証明する書類を提出し、収入や過去の支払い履歴などに基づいて出される与信スコアなどを元に審査を行うのが一般的です。

しかし、BNPLの与信審査は基本的にはありません。登録時にメールアドレスと電話番号を入力するとすぐに利用できる手軽さで、クレジットカードを持てないユーザーでも利用可能な点がユーザー側の大きなメリットです。初回の与えられる与信額は少ないですが、支払い履歴を積み重ねることで枠が増額されていきます。

支払い情報の入力の手間が省ける

BNPLの利用登録は非常に簡単で、少額の決済であればメールアドレスと電話番号の記入のみでサービスの利用が可能です。一方、クレジットカードの支払いの場合、クレジットカード番号の入力やパスワードなどの入力が必要で決済完了までに時間が掛かります。

Baymard.comによると18%のユーザーが決済がプロセスが複雑、時間がかかる場合に離脱するという調査結果がでています。

BNPLで支払い手順を簡素化することで、決済率を上げることができるでしょう。

出典:Baymard institute https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate

BNPLの事業者側メリット

顧客の層を拡大できる

クレジットカードを持てない、持ちたくない層や商品価格を理由に一括での支払いを負担に感じているユーザーなどが後払いサービスを利用することによって、ECサイトから商品を購入できるようになります。

機会損失を防ぐ(カート離脱率低下)

1度支払い情報を登録すれば、スムーズにカートに入れた商品の決済ができるため、カートの離脱率を下げることが来ます。また、商品単価が高い商品でも分割払いを選択することで、家計の負担を軽減し、購入のモチベーションを保ちます。

AVO(平均顧客注文額)を増やせる

分割後払いで買い物をすることで、商品購入額が分散されて一回の支払い負担が少ない為、多くの商品、もしくは単価が高額な商品であっても購入されやすい傾向にあります。

例えば、BNPL大手のAffirmの調査では後払いの支払いオプションを提示することで、最大で85%のAVOの増加が見られ、20%のユーザーが再購入しているデータがあります。

*出典:The future of buy now, pay later

BNPLのデメリット

個人の支払い能力を超えた消費

容易にBNPLサービスを利用できるため、支払い能力を超えて購買を行い支払いに行き詰まるケースが見られます。ユーザーが期限内に支払いができない場合、損害遅延金などの手数料が掛かったり、サービスの利用ができなくなります。

BNPLサービスの規制の動き

現在は多くの国でBNPLを規制する法律がありませんが、アメリカ、イギリス、オーストラリアでは若年層の過剰債務のケースが増えてきており、規制が厳格化していくと見られています。現にイギリスではBNPLを規制する法案が可決される見込みです。しかし、今後のオンラインショッピングの需要拡大に合わせて、BNPL市場は拡大していくでしょう。

BNPL導入事例

BNPLを導入して実際にどのような成果がでたのか、具体的な事例をご紹介いたします。

ECプラットフォームShopifyとBNPLの連携

ShopifyはBNPL大手のAffirmと連携し、購入者はShop Payを利用して支払う商品代金を4回均等分割払いを選択できます。Shop Pay分割払いはアメリカでShopify Paymentsを利用している販売者が導入できるサービスです。

Shop Payは支払いに必要な情報を登録すれば、購入時に支払い情報を入力することなく簡単に支払いができるサービスです。Shop Payユーザー約6000万人が分割払いのオプションを選択できるようになり、今後も利用が拡大が加速していくでしょう。

出典:Shopify Installment https://www.shopify.com/shop-pay-installments

ShopifyでBNPL導入の成果

Shop Pay分割払いを導入した販売者で成果を実感している事例があります。

  • 平均注文商品量+50%

分割払いで一回の支払い額を減らすことで買い物の予算を増やすことができます。高額な商品でも、余裕のある買い物をすることが可能です。月の買い物の予算が厳しい時でも、新商品やセール品の販売時期を逃さず買い物ができます。

  • 素早い決済速度

Shop payで支払い情報を入力が不要なため、シームレスな決済が可能です。

Shop pay分割払いでは決済に掛かる時間が30%も早い結果がでています。他の分割払い決済では112秒かかるのに対してShop pay分割払いでは69秒でした。

他の分割払いサービスからShop pay分割払いに移行して、決済からの離脱率が28%減少した事例があります。スムーズで素早い決済を購入者に提供することで、購入を増やすことができるでしょう。

BNPLを導入した事業者の成功事例

ニューヨークでデザインされたイタリア製の靴を販売するPaul EvansがAffirmを導入した事例が紹介されています。

Paul Evansは伝統的なストリートサイドビジネスシューズを販売するECサイトで、クオリティ、デザイン性が高い靴をリーズナブルな値段で販売しています。

Affirmを導入したことで顧客の月額予算に合わせて購入してもらうことができるようになり、その結果売り上げ収益を高めることができました。

Affirmの後払い決済機能を導入してから売上は50%増加、平均顧客単価は21%増加、流入数は140%という結果です。

この成功の理由はAffirmが素晴らしい決済方法なだけでなく、ユニークなマーケティングツールとして機能したからです。

後払い分割払いの支払いオプションがあること自体で他社との差別化ができ、既存と潜在顧客を引き込むことができました。 様々なマーケティング施策の中で購入に一番つながったことが、Affirm分割払いでの月額の負担額を伝えることでした。

例えば$369の値札の商品で購入を躊躇しているユーザーへ、Affirmを使って月額$34の支払いができることを伝えることで購入してもらいやすくなります。

出典:https://www.affirm.com/business/blog/paul-evans-case-study

大手のBNPLサービスの比較

BNPL市場で存在感を示し、トレンドを牽引している3社の後払いサービスを紹介します。

アメリカのAffirm、オーストラリアのAfter pay、スウェーデンのKlarnaのサービスの特徴を表にまとめました。

Affirm アファーム・ホールディングス(アメリカ)

米アマゾンと提携して$50ドル以上の商品からは、クレジットカードを使わなくても分割払い決済提供しています。

信用度によってAffirmは長い支払期間で年利0%で分割払いができることが特徴です。$17,500までであれば1か月から48か月の支払期間が選択可能です。

しかし、支払いの利息は与信審査などの様々な要因で変わり、最大で年利30%が掛かることがあります。

支払いが遅れた場合でも支払い遅延金はかかりませんが、クレジットスコアに影響を及ぼす可能性があります。

After Pay アフターペイ(オーストラリア)

オーストラリアの金融テクノロジー企業のAftepayは、米モバイル決済大手のスクエアの傘下にあります。

Afterpay は分割払いオプションを提供しておらず、利息が掛かることはありません。

Afterpay は支払い期日が短い期間で支払いが可能なユーザーにお勧めです。初回に頭金を支払い残り3回を2週間ごとに6週間で支払いします。

Klarna クラーナ(スウェーデン)

Klarnaは前金なしでの支払いオプションを選択できます。購入代金の2週間ごとの分割払い、もしくは30日以内での支払いが選択できます。また、高額な商品の購入には6か月から36か月のローンも選択できます。

Klarnaの利用時に会員登録する必要はありませんが、デビットカードかクレジットカードの情報を登録する必要があり、簡単な与信審査があります。

まとめ

世界中でBNPLは世界中で急拡大しており、ユーザーと事業者側双方にメリットのある支払い方法です。

事業者は導入することによりユーザー層を拡大し、購買促進に大きな貢献をすることがデータで証明されています。

ユーザーは自分のタイミングで商品を購入して、支払いの負担を分割して軽減することができます。

特に海外ではクレジットカード決済からBNPL決済のシェアが高まりつつあり、越境ECを運営されている方は特に導入することをお勧めします。

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投稿者: 北村 翔吾
マレーシアに留学後に自動車輸出会社で海外営業担当をしたのち、世界へボカンにジョイン。
広告運用チームでFacebook広告、Google広告、インフルエンサー施策、アフィリエイト施策など幅広いプロジェクトに携わっている。
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