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【下請け脱却】地方製造業が自社ブランドで売上7割を実現!熊本「ヤマチク」の挑戦に学ぶ成功の3つの秘訣 |ヤマチク 山﨑氏
- 2025.06.27
- インターンブログ

目次
こんにちは、世界へボカンの川﨑です。普段は、海外向けのマーケティングや越境ECの支援に携わっています。
先日、弊社YouTubeチャンネルにて、弊社代表・徳田と、熊本県南関町にあるお箸メーカー「株式会社ヤマチク」の代表取締役・山﨑氏との対談を行いました。かつて完全な下請け企業だったヤマチクが、自社ブランドを立ち上げ、売上の7割を自社製品で構成するまでに至った挑戦について、お話を伺いました。
この対談を通して、現在さまざまな課題を抱える製造業の皆さまにとって、多くの気づきやヒントが得られると感じたため、本記事を執筆しました。
この記事は次のような人におすすめです
- なんとか下請けから脱却をしたいと考えている製造業の経営者さま
- このままでは職人や従業員への賃金向上ができずに事業が継続できないとにお悩みの方
- 自社ブランドの立ち上げたものの、思うように売上が伸びず悩んでいる方
本記事では、熊本のお箸メーカー「ヤマチク」の挑戦を通して、自社のあり方を見直し、次の一手を見つけるヒントをお届けします。一歩を踏み出したいと考えているあなたに、ぜひ読んでいただきたい内容です。
ヤマチクの挑戦に学ぶ『完全な下請け企業のブランド立ち上げ』
熊本県南関町で60年以上、竹のお箸づくりを続けてきた「ヤマチク」。数年前まではメーカーの下請けが中心の事業でした。
ヤマチクの3代目代表に就任した山﨑氏のこのままでは従業員や大切なパートナーである竹を切る「切子さん」に十分な賃金が払えないと感じ、事業モデルを大きく見直す決断をしました。
数々の困難を乗り越え、例えば販路の確保や価格の見直し、商品の差別化といった課題を乗り越え、自社ブランドを立ち上げ、売上の7割を自社製品で構成するまでに至りました。この挑戦の背景には「ただ売るため」ではなく、職人、地域、文化を守り、次の世代につないでいく強い想いがありました。
自社ブランドの立ち上げは職人と地域を守るための選択だった
ヤマチクは公式サイトで『お箸をまもる、心をつなぐ。』をミッションに掲げています。これらの理念が挑戦の背景や意義をさらに深めています。
ヤマチクのものづくりは、竹を切る「切子」という職人さんたちに支えられています。
しかし、OEM時代は間に業者が入るため、1膳200円で作る必要があり、職人や竹の価値を正当に反映することが難しかったのです。竹を1本切っても500円、月に400本切っても月商はわずか20万円ほど。これでは若い人材の確保や次世代の切子の担い手を見つけることは困難です。
そんな状態から従業員や職人の賃金向上、ひいては産業が生き残るため、ヤマチクは「自社ブランドの立ち上げ」に挑んだのです。
自社ブランドの売上比率を7割までに引き上げられた3つの秘訣
1.自社ブランドを立ち上げ小売店、顧客へダイレクトに販売
これまでヤマチクはメーカーの下請けとして竹箸のオーダーを受けておりました。ヤマチクから複数の問屋を経由して小売店、飲食店、お客様という流れで流通させていました。
しかし、この流通経路の場合、1000円の商品を200円で製造しなければならなく、利益がほとんど残らない状態でした。そこで、問屋や商社を通さず、直接小売店やエンドユーザーに届ける自社D2Cブランドを立ち上げることに挑戦しました。
今、自社ブランドをメーカーが作ることは簡単かもしれません。しかし、そこから小売店で流通させたり、お客様に手に取って頂く販路を広げていくまでが大変です。
「自社ブランドを立ち上げてもすぐに小売店や飲食店が仕入れてくれるわけではなかった。日本中で開催されるPOPUPや催事に足を運び、ヤマチクの竹箸の魅力を少しでも多くの方に知ってもらう努力をした。」と山﨑氏は語っていました。
2.顧客視点の商品開発
催事場を回る中で得た気づきは、商品開発にも生かされました。お箸を手に取ってくださるのは「お母さんたち」が中心であり、ヤマチクの従業員にも多くのお母さんがいます。
そのとき山﨑氏は、「顧客の気持ちが分かる彼女たちのアイディアを商品開発に活かせるのではないか?」と気付きました。自社の社員を集めた賞金付きデザインコンテストを実施し、ヒットアイテムであるポテトチップス用やカップラーメン用のお箸など、シーンに合わせたユニークなお箸を次々と開発することに成功しました。
ほとんどの人がスマホを持つこの時代にポテトチップスで手が汚れてしまうのを避けられるお箸はアイディア商品ですね!
3.近隣の商圏をターゲットとしたお店作り
熊本県南関町は人口約9000人の小さな町です。観光資源も多くありません。そんな中、ヤマチクのファクトリーストアである直営店「拝啓」には年間1万人のお客様が訪れます。
カフェを併設し、近隣の方の憩いの場とすると共に自社のお箸以外のギフトも取り扱い、大切な人のことを想いながらギフトを購入できる場として「拝啓」を立ち上げました。
「拝啓」ではお箸の販売だけでなく、山﨑さんたちが展示会に出展した際に知り合ったメーカーさんの商品も取り扱っています。
お箸屋さんとしてだけではなく、大切な人のことを想いながらギフトを選ぶ場となりました。
こういった山﨑氏のアイディア、行動の結果、人口9000人の南関町に年間10000人以上の人が「拝啓」に訪れるようになりました。素敵なコンセプトですね。
ヤマチクの次なる挑戦は「文化」×「映像」による発信
『日本の箸文化を未来へつなぐ』。ヤマチクはお箸をただ販売するだけでなく、日本の文化や背景、物に込められた思い、日本人の文化の在り方を丁寧に伝えることに力を入れています。
今後は「文化」×「映像」によって、自分たちの思いや魅力を国内外へ発信していく挑戦をされています。
「いただきます」という言葉を英語にしようとしたときに”Pray for everything ” (あらゆるものへの祈り=感謝の気持ち)だとさんは見出し、この気持ちを改めて大切にしたいと考え、映画を撮りました。
ブランドを作る、その先にあるもの
ヤマチクは「お箸を買う人の気持ち」まで大切にし、手紙を書くような想いを届けるモノづくりを続けています。単なる製品づくりを超え、心に残る価値を届ける姿勢は、これからのブランドの在り方として多くの方に伝えたいと強く感じました。
先代から事業を引き継ぐ、アトツギの企業様の支援をさせて頂くことが多い中、山﨑さんのように事業を転換し、収益性を向上させ、従業員やパートナーさまの労働環境を良くしていく取り組みをされている方は素敵だなと思いました。多くのアトツギの方たちに勇気を与えるストーリーですね。
山﨑さんの映画への挑戦のクラウドファンディングは6月末までです。是非、動画を見て応援したいなと思われた方は、ご支援お願いいたします。
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