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関税とは?仕組み・計算方法から免税範囲まで世界一わかりやすく解説

関税とは?仕組み・計算方法から免税範囲まで世界一わかりやすく解説

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世界へボカン!編集部

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少し気になる「関税」の存在

仕組み・計算方法から支払いまで専門家が徹底解説!

「海外のネット通販で欲しいものを見つけた」
「海外旅行でたくさんお土産を買いたい」

そんなとき、少し気になるのが「関税」の存在ではないでしょうか。

「なんだか難しそう」
「いくらかかるか分からなくて不安」

そう感じる方も多いかもしれませんね。

しかし、関税は私たちの生活や経済と密接に関わっています。
その基本を抑えておくことが大事です。

この記事を読むことで、関税の基本から、具体的な計算方法、支払い方法がわかります。
そして「どんな場合にいくらかかるのか」といった具体的なシーンまで、世界一わかりやすく解説します。

それでは「関税とは?」スタートです!

    関税とは?まずは基本を30秒で理解しよう

    まずは「関税とは何か」という基本のキから押さえましょう。
    ポイントだけをシンプルに解説しますね。

    関税とは「海外からの輸入品」に課される税金

    関税とは「海外から自国に商品を輸入する際に、国が課す税金」のことです。

    例えば、海外のオンラインショップでTシャツを購入した場合、そのTシャツが自国に到着した際、税関でのチェックを経て定められた税率の関税が課せられます。 

    国内で商品を購入すると消費税を支払う必要がありますが、海外から商品を購入した場合、購入した金額や商品によって関税が課せられることがあります。

    関税の額は、購入した費用や物品の種類、原産国などによって異なり、一定額以下であれば免税になることもあります。

    なぜ関税は必要?知っておきたい4つの目的と役割

    では、なぜわざわざ輸入品にだけ、関税がかかるのでしょうか?
    関税には、主に4つの重要な目的・役割があります。

    1. 国内産業の保護
      海外から安い製品が大量に入ってくると、国内の同等製品が売れなくなります。
      輸入品に関税をかけることで価格を調整し、国内の産業を守るのが最大の目的です。
       
    2. 国の財源確保
      関税は、消費税や法人税などと同じように、国を運営するための大切な収入源(財源)の一つとなります。
       
    3. 物価の調整
      特定の輸入品の価格や流通量を調整し、国内市場の急激な物価変動を抑える役割も担っています。
       
    4. 外交上の交渉カード
      国際的な交渉の場で、有利な条件を引き出すためのカードとして使われることもあります。
      「特定の国からの関税を下げる代わりに、こちらの国からの関税も下げる」

    関税は誰がどこに支払うの?納税義務者と支払い先

    関税を支払う義務があるのは、原則として「商品を輸入する人(個人・法人)」です。
    これを納税義務者と呼びます。

    そして、その関税の支払い先は「国(財務省関税局)」です。
    私たちは、税関という国の機関を通して、国に関税を納めることになります。

    関税がかかる仕組みと輸入手続きの流れ

    「関税は税関で払う」と言われても、具体的にどういう流れで手続きが進むのかイメージしにくいかと思います。
    ここでは、海外のネットショップで商品を購入してから、購入者の手元に届くまでの一般的な流れを解説します。

    関税がかかる仕組みと輸入手続きの流れ Diagram illustrating the customs tax process for international shopping, showing buyer, customs, domestic and international shipping, and overseas shop.

    STEP1:海外から商品が発送される

    購入者が海外のオンラインショップなどで購入した商品は、DHLFedExといった国際宅配便業者や、国際郵便によって購入者の国へ向けて発送されます。

    STEP2:購入者の国の税関で審査・検査(輸入申告)

    購入者の国に到着した荷物は、まず「保税地域」と呼ばれる税関が管轄する場所に運ばれます。
    ここで、荷物の中身が申告通りか、法律で輸入が禁止・規制されているものではないか、といったチェックが行われます。

    この手続きを「通関(つうかん)」と呼びます。
    通常、この通関手続きは、商品を運んできた配送業者が代行してくれます。

    STEP3:関税・消費税の納付

    税関での審査の結果、関税や消費税がかかる場合は税額が決定されます。
    決定した税金は、原則として輸入者が支払わなければなりません。

    STEP4:輸入許可・商品のお届け

    関税などがきちんと支払われると、税関から「輸入許可」が出ます。
    許可が出て初めて、荷物は国内の配送業者に引き渡され、購入者の手元に届けられるのです。

    関税はいくらかかる?自分でできる計算方法と関税率

    ここからは、一番気になる「関税は実際にいくらかかるのか?」という計算方法について解説します。
    計算式自体はとても簡単です。

    関税はいくらかかる?自分でできる計算方法と関税率 10,000円のアクセサリーを輸入した場合の、関税と消費税の計算方法を示した計算例。関税10%、消費税10%の計算ステップを解説しています。※この計算は仮想例です。

    関税額の基本計算式は【課税価格 × 関税率】

    関税額は、以下の計算式で求められます。

    関税額 = 課税価格 × 関税率

    この計算式に出てくる「課税価格」と「関税率」が何なのかを理解することが、関税を理解する上での最大のポイントです。

    ① 課税価格とは?|商品代金だけじゃない!送料・保険料の扱い

    課税価格とは、その名の通り「関税を課す対象となる価格」のことです。

    • 商用目的(ビジネス)の輸入の場合
      原則として「商品の価格 + 送料 + 保険料」の合計額が課税価格となります。 この時、だれが、どこまでの送料と保険料を負担するのかは、インターコムズという国際商業会議所(ICC)が定めた貿易取引条件の国際規則に従った取り決めに従うことを契約書に織り込むことが普通です。皆さんも、よくFOB価格というようなこと場を聞いたことがあるかと思います。 FOBは、輸出港までの送料を売主が負担する取り決めですが、今回は、保険料も売主が負担する「CIF価格」で考えてみましょう。
      商用輸入における課税価格(CIF価格)の計算方法を解説する図解。「商品代金+送料+保険料=課税価格」という計算式と、具体的な数字を使った計算例を示しています。
       
    • 個人使用目的の輸入(個人輸入)の場合
      個人的な使用が目的で輸入する場合、特例として「海外での小売価格 × 0.6」の金額を課税価格として計算してもらえます。
      商品代金だけでなく、送料や保険料もこの計算に含まれる場合があります。
      個人輸入における課税価格の計算方法を説明する図。「海外小売価格 × 0.6」が課税価格になることを示し、1万円の商品を例に具体的な計算例と免税の可能性を記載しています。

    ② 関税率とは?|商品の種類や原産国によって変わる

    関税率は、課税価格に対して何パーセントの税金をかけるかを示す割合です。

    この関税率は、「商品の種類(品目)」「商品の原産国」によって細かく定められています。
    例えば、「革製の靴」と「綿のTシャツ」では税率が異なりますし、
    「A国から輸入するTシャツ」と「B国から輸入するTシャツ」でも、
    国際的な取り決め(EPAなど)によって税率が変わることがあります。

    関税率の調べ方|HSコードと実行関税率表の使い方

    正確な関税率を知りたい場合は、税関のウェブサイトにある「実行関税率表」で調べることができます。
    輸入品は「HSコード」という国際的な番号で分類されており、その番号を元に税率を特定します。

    HSコードの構造(類・項・号・国内細分)と、実行関税率表でHSコードを調べる3ステップ(カテゴリ決定、調査、関税率確認)を解説した図。

    ただ、この作業は少し専門的なので、まずは次の章で紹介する「品目別の目安」を参考にするのがおすすめです。

    品目別!関税率の目安一覧

    個人輸入でよく購入する商品の関税率の税関サイトの「1204 主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー)」ページより抜粋しました。多くの品目が無税で輸入できることがお分かりになるかと思います。
    ※実際の税率は素材や原産国、国際情勢などによって変動するため、あくまで参考としてご覧ください。

     

    カテゴリ

    関 税 率

    衣料品

    4.4~13.4%

    スニーカー

     

    革靴

    8%

    30%又は4,300円/足のうち

    いずれか

    高い税率

    ハンドバッグ

    8~16%

    アクセサリー

    5.2~5.4%

    時 計

    無税

    化粧品

    無税

    1204 主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー)|税関 より、要約

    衣料品

    Tシャツ、セーター、コートなど、多くの衣類は4.4%~13.4%程度の関税率が設定されています。
    特にニット製(編物)の衣類は比較的高めの税率になる傾向があります。

    履物(革靴・スニーカー)

    靴は素材によって大きく税率が異なります。
    布製やゴム製のスニーカーは8%前後ですが、革靴の場合は30%または4,300円/足の高い方、といった高額な税率が設定されています。

    ハンドバッグ(革製品)

    ハンドバッグや財布なども、素材が重要です。
    布製のトートバッグなどは8%前後ですが、革製のバッグは14%~16%程度が目安となります。

    時計・アクセサリー

    時計や、は、原則として関税がかかりません(無税)
    ただし、別途消費税は課税されます。

    金・銀などの貴金属を使ったアクセサリーには、真珠など無税のものもあるのですが、商品によっては、5.2~5.4%の関税がかかるものもあります。

    化粧品・コスメ

    口紅、ファンデーション、香水、スキンケア用品などの化粧品類も、原則として関税はかかりません(無税)です。
    ただし、個人が輸入できる数量に制限がある場合があります。

    【シーン別】これって関税かかる?かからない?

    関税には、一定の金額以下であれば免税(税金が免除)となる制度があります。
    ここでは、よくある3つのシーン別に、関税がかかるかどうかのボーダーラインを解説します。

    個人輸入・海外通販の場合|16,666円の壁とは?

    個人使用目的で海外通販などを利用する場合、課税価格が1万円以下であれば、原則として関税と消費税が免除されます。

    ここでポイントとなるのが、個人輸入の場合の課税価格は「海外小売価格 × 0.6」で計算される点です。つまり、

    10,000円(課税価格) ÷ 0.6 = 16,666.66...円

    となるため、商品価格が約16,666円以下であれば、関税がかからない可能性が高い、ということになります。
    これが「16,666円の壁」と言われる理由です。

    【注意!】
    革製品、ハンドバッグ、ニット製品、革靴などは、この免税措置の対象外となり、16,666円以下でも関税が課されるので注意が必要です。

    海外旅行のお土産の場合|20万円の免税範囲を解説

    海外旅行者(帰国する人)がお土産として持ち込む品物には、合計額20万円までの免税枠が設けられています。

    免税枠の仕組み

    海外で購入したお土産を日本に持ち込む際の免税枠は、大きく分けて2つのカテゴリーがあります

    1. 一般免税枠:お菓子や化粧品、衣類など、一般的なお土産品が対象。
    2. 特別免税枠:お酒、たばこ、香水が対象。一般枠とは別で計算します。

    日本の免税枠の仕組みを図解。一般のお土産品は合計20万円まで。お酒(3本)、たばこ(200本)、香水(2オンス)は特別免税枠として別枠で適用されることを示している。

    海外での購入価格の合計が20万円以内であれば、原則として関税はかかりません。
    20万円を超える場合は、超えた金額分に対してのみ関税が課されます。

    また、お酒、タバコ、香水については、この20万円の枠とは別に、それぞれ品目ごとの特別な免税範囲が設定されています。

    商用目的の輸入(ビジネス)の場合

    会社などが販売目的で商品を輸入する場合は「商用輸入」となり、個人輸入のような特例はありません。
    原則として、課税価格が1万円以下であっても免税にはならず、全ての輸入品に対して関税・消費税が課されます。
    (ただし、総額20万円以下の少額貨物には簡易税率が適用される場合があります。)

    関税に関するよくある質問(Q&A)

    最後に、関税に関して多くの人が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。

    Q. 関税はいつ、どうやって支払うのですか?

    A. 主に2つの方法があります。
    1. 配送業者に立て替えてもらう:
    国際宅配便(DHLやFedExなど)を利用した場合、配送業者が一時的に関税を立て替え、荷物を届ける際に配達員に現金で支払うのが一般的です。
     
    2. 個人で納付する:
    国際郵便で届いた場合など、「国際郵便物課税通知書」が荷物と一緒に届きます。
    その通知書を持って郵便局の窓口で支払うか、荷物受け取り時に配達員に支払います。

    Q. 関税と消費税は両方かかるのですか?

    A. はい、両方かかります。
    輸入品には関税だけでなく、消費税も課税される場合があります。消費税は以下の式で計算されます。

    消費税額 = (課税価格 + 関税額) × 消費税率

    つまり、関税額も含めた合計金額に対して、消費税がかかる仕組みになっています。

    Q. 関税を払わなかったらどうなりますか?

    A. 荷物を受け取れず、延滞税が発生します。
    関税は納税義務のある税金です。支払いを拒否すれば、当然ながら輸入の許可が下りないので、商品を受け取ることができません。
    また、納付期限を過ぎると延滞税というペナルティが加算され、悪質な場合は財産の差し押さえといった厳しい処分を受ける可能性もあります。

    Q. FTA・EPA(経済連携協定)とは何ですか?

    A. 特定の国との間で、貿易のルールを定めた国際的な約束のことです。
    この協定を結んでいる国からの輸入品には、通常よりも低い関税率(特恵関税)が適用されたり、関税が完全に撤廃されたりすることがあります。
    多くの国とEPAを結んいる場合は、海外の製品をより安く手に入れることができます。

    トランプ関税とは?

    トランプ政権の関税政策、通称「トランプ関税」は、2018年以降に発動された保護主義的な通商政策で、中国を中心とする輸入品に最大25%の追加関税を課したものです。主な目的は、巨額の対中貿易赤字の是正や米国製造業の再生、知的財産の保護でした。鉄鋼やアルミ、家電、電子部品など幅広い品目が対象となり、特に中国との間では「米中貿易戦争」と呼ばれる関税合戦に発展しました。この政策により米国内では一部製造業の回復が見られた一方、輸入品の価格上昇、農産物輸出の打撃、サプライチェーンの混乱といった副作用も生じました。バイデン政権下でも対中関税の多くは維持されており、現在も米中の経済関係を左右する重要な交渉材料となっています。

    トランプ関税とは?トランプ米大統領による「相互関税」が越境ECに及ぼす影響とは?

    関税を正しく理解して、スマートな海外取引を

    「関税」について、その基本から具体的な計算方法までを詳しく解説しました。

    一見すると複雑に思える関税ですが、基本的な仕組みを知ることで、海外からのショッピングや旅行がもっと身近で楽しいものになります。
    この記事が、海外取引の一助となれば幸いです。

    より詳細な情報や最新の税率については、税関の公式ウェブサイトもぜひ参考にしてみてくださいね!

    EU向け越境EC(D2C)で知っておきたい「関税」と「VAT(付加価値税)」

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    ・関税だけでなくVAT(付加価値税)もかかるため、事前説明と徴収が重要
    ・関税は商品カテゴリーごとに異なり、アパレル12%、靴17%、電化製品は0%など
    ・送料・保険料を含めた金額が課税対象、VATは関税を含めた総額に課税
    ・クレーム防止のため、事前に顧客への説明とサイト上での明示が必要

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