海外マーケティングブログ

BtoB海外デジタルマーケティング 初心者ガイド ~何から始める?~

BtoB海外デジタルマーケティング初心者ガイドのアイキャッチ画像。ノートパソコンの上に浮かぶ地球儀と右肩上がりのグラフで、グローバルな事業成長を表現している。

「海外に販路を拡大したいが、何から手をつければいいのかわからない…」

「国内のBtoBマーケティングは経験があるが、海外となると勝手が違いそうだ…」

少子高齢化による国内市場の縮小や、円安を追い風とした輸出機会の増大を背景に、海外市場に活路を見出そうとするBtoB企業が増えています。しかし、多くの担当者様が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。

本記事は、まさにそのような「BtoB企業の海外デジタルマーケティング担当者」へ向けた、網羅的なガイドです。海外マーケティングは、国内のやり方をそのまま持ち込んでも成功しません。しかし、正しいステップを踏めば、決して乗り越えられない壁ではありません。

この記事を読めば、海外デジタルマーケティングの全体像から、具体的な準備、施策の実行、そして改善までのロードマップが明確になります。約8000字の少し長い記事ですが、ぜひブックマークして、貴社の海外展開の「はじめの一歩」を計画する指針としてご活用ください。

目次 非表示

なぜ今、海外デジタルマーケティングが重要なのか?

夜景の都市を背景に、世界地図のネットワークで人々が繋がる様子を描いた、グローバルビジネスを象徴する画像。

ここでまず、大前提として、海外デジタルマーケティングの必要性に関して確認しましょう。

従来の海外進出といえば、大規模な展示会への出展や、現地代理店とのリレーション構築といった、時間とコストのかかる手法が主流でした。そのため海外展開は潤沢な予算を確保しなければ難しく、予算とリソースが必要で、「海外展開は一部の大手が行うもの」という認識がありました。

しかし、インターネットとデジタルツールの進化は、BtoBの顧客行動を世界レベルで変えました。海外のバイヤーが製品やサービスを探す際、まず何をするでしょうか? おそらく、まずGoogleなどの検索エンジンで情報を集め、企業のウェブサイトを訪れ、LinkedInで担当者の経歴をチェックし、オンラインでウェビナーに参加する・・・といった行動を取るのではないでしょうか? ご自分の経験を考えても、このような行動が顧客行動の起点になっていることはお分かりいただけると思います。

この変化は、日本企業にとって大きなチャンスです。デジタルマーケティングを活用すれば、地理的な制約を超え、比較的低コストで世界中の潜在顧客にアプローチし、自社の価値を直接届けられるようになったのです。

BtoB海外マーケティングの心構え:【重要】国内の成功体験を一度忘れる

机の世界地図を見つめる男性が、空中に浮かんだ日本地図の「リセット」ボタンを指で押している様子。日本の成功体験を一旦忘れ、海外への再出発を象徴する画像。

本題に入る前に、最も重要な心構えについてお伝えします。それは「国内での成功体験を一旦リセットする」ことです。

言語や文化はもちろん、商習慣、ウェブサイトの作り(訴求の仕方)、主に使われるSNS、検索エンジンのシェア、さらには法規制まで、海外と日本では大きく異なります。日本で効果のあった広告クリエイティブが、海外では全く響かない、あるいはネガティブな印象を与えることすらあります。

私たちが見てきた例からいうと、日本では有名な企業が、海外向けのウェブサイトを制作した際、自分たちがどのような会社で、どのような実績があるのかをあまり語らないウェブサイトになっていました。海外で無名な場合、どんなに国内で実績があっても、それを伝えなくてはユーザーの貴社を見る目は「無名な会社の中の一つ」でしかありません。 そこは、しっかりと自社の強みを訴求していかなくてはなりません。また、多くの企業は、モバイル対応されているレスポンシブデザインではない20年前のウェブサイトデザインを使っていることがあり、欧米基準のデザインと比べるとどうにも古臭く感じてしまうことが良くあります。

「郷に入っては郷に従え」の言葉通り、これから挑む市場のルールを学び、現地の顧客視点で一から戦略を組み立てる謙虚な姿勢が、成功への第一歩となります。

【ステップ1】調査戦略立案・準備編:顧客を知るためにすべきこととは?

世界のデータが映るパソコンを操作する人物。海外展開の前の入念な市場調査をイメージさせる画像。

いきなりウェブサイトの多言語化や広告出稿に飛びつくのは、最もよくある失敗パターンです。まずは自社内で、戦略の土台を固めることから始めましょう。そのためには、入念な調査が必要となります。

私たちはまず3C分析を行います。

1-1. 自社を取り巻く環境を調査する:3C分析で状況を把握する

デジタルマーケティングで最も必要なことは、まず顧客像を把握し、顧客に響く訴求内容を理解した上で、実行に移す事です。このことで、無駄な投資リスクを下げ、成功確率を上げることができます。

弊社の場合は、特に3C分析を利用しています。3C分析とはCustomer (顧客)、Competiter (競合)、Company (自社)の3つの要因から自社を取り巻く状況を明らかにするものです。当社では、主に3C分析を基軸に、このようなことを行っています。

Customer 顧客(市場)分析

  • 顧客への詳細なインタビュー
  • ソーシャルリスニング(SNSなどでの意見を抽出)
  • メディア分析
  • 市場規模や法規制トレンドなどの調査
  • BtoBモールへの出品状況(価格帯調査)
  • 検索需要調査等

Competiter 競合分析

  • 競合ウェブサイトの入念な調査(構造、UIUX、訴求内容、提供しているコンテンツ、展示会出品状況等)
  • 競合ウェブサイトの解析ツールを利用した流入トラフィックやキーワードの調査
  • 競合SNSの利用状況(投稿頻度、投稿の内容の傾向等)
  • 広告の利用状況等

Company 自社分析

  • マーケティングご担当者へのヒアリング
  • 海外向けウェブサイトの調査(ネイティブによるUIUX調査や英語品質、訴求内容等)
  • Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどでの流入トラフィックや検索状況の調査
  • 商品の訴求内容やスペックの精査
  • SNSの利用状況
  • 広告の利用状況等

1-2. 目的(KGI/KPI)の明確化:「何のために」海外へ行くのか?

調査の前に、なぜ海外でデジタルマーケティングを行うのか、その目的を明確にし、具体的な数値目標を設定します。この数値が達成できるか?という事が調査の目標となるため、より具体的に調査を進めることができます。

漠然と海外展開をしたいという事ではなく、しっかりとした目標を設定し、その実現のために何をするかという考え方で調査、計画を進めます。

KGI (Key Goal Indicator / 重要目標達成指標)

最終的に達成したいゴールを数値的に設定します。例えば、海外市場からの売上〇〇円、新規契約社数〇〇社のような形です。

KPI (Key Performance Indicator / 重要業績評価指標)

KGIを達成するための中間指標を数値で設定します。例えば、海外向けサイトからの問い合わせ件数 月20件、特定国のホワイトペーパーダウンロード数 月50件、海外リード(見込み客)獲得単価 〇〇円以下のような形です。

例えば、最終的な成約件数をKGIとした場合、それに必要な問い合わせ数(有効リード数)や成約率がKPIになります。さらに、それを上げるためにウェブサイトへの流入数をKPIとする・・・のように決めていきます。

この目標が曖昧だと、施策の優先順位がつけられず、成果が出たのかどうかの評価もできません。経営層や営業部門ともしっかり握っておくことが重要です。また、KGI/KPIは、調査段階で現実的な数値に落とし込みます。

 

1-3. ターゲット国・地域の選定:どこに届けるのかを決める

「全世界」をターゲットにするのは不可能です。まずは1〜2カ国、成功の可能性が高い市場に集中しましょう。選定の際は、以下のような軸で総合的に判断します。調査をせずに、進出企業を決めたり、知り合いがいるからという理由で海外展開先や工場の設置地域を決めてしまう企業をこれまで何件も見てきましたが、良くありません。調査結果から、展開先は下記のようなことを多元的に考えて結論を出すべきです。

  • 市場規模・成長性: 貴社の製品・サービスへの需要は存在するか?市場は伸びているか?
  • 競合の状況: 強力な現地競合はいるか?日本企業は進出しているか?
  • 言語・文化の壁: コミュニケーションは可能か?商習慣に大きな違いはないか?
  • 法規制・政治情勢: ビジネス上の規制(許認可、環境規制など)はどうか?カントリーリスクは高くないか?
  • 既存の接点: すでに取引のある企業や、問い合わせ実績のある国はないか?

デジタルマーケティングの場合、まずは、言語の壁が比較的低い英語圏(北米、英国、オーストラリア、東南アジアなど)や、既存の取引実績がある国からスモールスタートするのが定石です。中国も大きなマーケットですが、中国はグレートファイヤーウォールで海外からの情報アクセスが制限されているため、私たちは対象から外しています。

 

1-4. 海外向け顧客セグメントの設定:「その国の購買決定者」は誰かを知る

貴社の製品、サービスは海外で本当に需要があるのでしょうか? デジタルマーケティングで最重要な課題は、顧客像を把握することです。そこにいる「理想の顧客担当者像(ペルソナ)」は何でしょうか?また、ペルソナは顧客のニーズによって、複数のセグメントに別れ、以下のようなことに対してまとめます。

  • 基本情報: 役職、職務内容
  • 業務上の課題: どんなことで困っているか?何を達成したいのか?
  • 情報収集の方法: 課題解決のためにどんなキーワードで検索するか?どのSNSや業界メディアを見ているか?部下からの報告に頼るのか?
  • 購買決定プロセス: 誰が最終的な意思決定者か?(BtoBでは複数の人物が関わることが多い)

このペルソナを知ることが重要な理由は、例えば、エンジニアが購買選定の鍵を握っているとすれば、彼らに響くコンテンツが必要となることが分かります。さらに、決裁権限を持つ責任者に響く具体的な理由や、それをサポートする事例なども必要になってくることに気づくと思います。このようにペルソナが、今後のコンテンツ作成や広告ターゲティングの全ての基軸となります。(ただし、推測でペルソナを設定するのは厳禁です。)さらに、そうした顧客たちは、どのような経路を貴社製品、サービスを知り、購入へ結びつくでしょうか? こちらは、カスタマージャーニーマップと呼ばれるような表を作成して、具体的な施策について考える際に役立ちます。

海外市場調査(グローバルリサーチ)・戦略立案

 

【ステップ2】基盤構築編:世界中の顧客を迎える海外ウェブサイトを作る

WEBサイトの企画、構築をイメージさせる画像

戦略が固まったら、いよいよ海外の顧客との接点となるデジタル上の基盤を構築します。

2-1. ウェブサイトの多言語対応とローカライゼーション

海外向けウェブサイトは、貴社の「オンライン支社」です。単なる日本語の「翻訳(Translation)」ではなく、現地の文化や商習慣に合わせた「ローカライゼーション(Localization)」が不可欠です。

ドメイン構造

 海外向けサイトをどう構築するかは、重要な技術的選択です。以下のようなことを決定します。英語で運用するグローバルサイトの場合、.comドメインがもっとも自然で、なるべく短いドメイン名にすることが推奨されます。その際、”-”(ハイフン)で文字をつないだりしないほうが良いとされています。(英語話者はURLを直接入力する傾向があるため、その方がわかりやすい。)

  • サブディレクトリ (例: yourcompany.co.jp/en/): 管理が容易で、日本のドメインパワーを引き継ぎやすい。スモールスタートにおすすめ。
  • サブドメイン (例: en.yourcompany.co.jp): サーバーを分けやすく、国ごとに最適化しやすい。
  • 国別ドメイン (例: yourcompany.com): 最も現地ユーザーに信頼されるが、多くの国別に取得するとなると、管理コストが高くなります。

翻訳の質

単純な機械翻訳は絶対に避けましょう。不自然な表現は、企業の信頼性を著しく損ないます。必ず、貴社の業界に精通し、マーケティングに詳しいネイティブスピーカーに依頼してください。ただ、最近はLLMによる翻訳がかなり精度が上がってきています。正しいプロンプトの設定を行うことで、かなり正確な文章を作ることが可能になりました。しかし、それでも最終的にネイティブチェックをお勧めいたします。(2025年夏時点)

Website Planetが2019年に行った調査では、文法やスペルミス等がウェブサイトの直帰率を上げたり、滞在時間を減少させることが確認されています。

  • 2 週間にわたる 5,000 件を超えるサイト訪問の分析により、スペルや文法が乱雑なランディング ページの直帰率 (1 ページだけを閲覧した後に Web サイトを離れる訪問者の割合) は、正しく書かれスペル チェックも行われたランディング ページよりも85%高くなることがわかりました。
  • 意図的にタイプミスや文法の誤りが加えられたランディング ページでは、サイト滞在時間が 8 パーセント減少しました。
  • 同じ原則とほぼ同じ結果が Google 広告にも当てはまります。調査では、スペルや文法の間違いがあると、ウェブ訪問者がGoogle 広告をクリックする可能性が 70 パーセント低下することがわかりました。これらの広告はクリック数が少なくなるため、Google は掲載順位を下げ、次のような料金を請求しました。
  • 文法エラーのある広告は72%増加
  • スペルミスのある広告は20%増

コンテンツの最適化

日本ではまだ、10~20年前のウェブサイトデザインを利用している企業様も多いですが、海外のBtoBウェブサイトは大体、現在主流のスクロールでコンテンツを見るようなシンプルなデザインが多くなっています。越したウェブサイトのデザインもローカライズする必要があります。

また、海外サイトでは、基本的に初めて来訪するユーザーを対象に制作されていることが多く、プロダクトやサービス、自社の強み(訪問者がなぜ、他社ではなく貴社を選ぶのか、その理由)を伝えることが重要となります。多くの日本のサイトは、製品スペックや自社の情報や社長挨拶などが多く伝えられますが、ユーザー目線に立った課題解決型の情報提供を心がけることが重要となります。

  • 製品/サービス:製品サービスページです。わかりやすく、CTAを配します。
  • 事例紹介: 日本国内の事例ではなく、可能であれば現地の導入事例や、似たような課題を持つ海外企業の事例を掲載すると効果的です。
  • 会社情報: 企業のミッション、ビジョン、バリューや、強み、第三者からの評価などを伝えます。また、日本の住所や電話番号だけでなく、時差を考慮した問い合わせ対応時間や、可能であれば現地の連絡先を明記すると信頼性が増します。
  • CSR/サステナビリティ情報:海外では、CSR(企業の社会的責任)やサステナビリティー情報も重要です。CSR情報の開示が主要サプライヤーへの依存度(購買額)を上昇させるという研究もあります。
  • CTA (Call to Action / 行動喚起): 「資料請求」「お問い合わせ」といったボタンの文言も、文化によって最適な表現が異なります。

2-2. 海外向けSEO(検索エンジン最適化)の基礎

次に、海外の顧客が貴社を見つけられるように、検索エンジンで上位表示されるための対策(SEO)を行います。多くのお客様の悩みに、海外サイトは作ったけれど、全くお客さんが訪れないといった問題がありますが、それは特定の検索ワードに対して、競合に比べてコンテンツ量が少なく検索結果上位に出にくいということがあります。

では、どのようにアプローチしましょう? その際も調査から始めます。こんなことから始めます。

  • キーワード調査: 日本語のキーワードを直訳するだけでは不十分です。現地のペルソナが、実際にどのような単語やフレーズで検索するかを徹底的に調査する必要があります。Googleキーワードプランナーなどのツールを活用し、現地の言語でリサーチしましょう。
  • 検索エンジンの違い: 世界のほとんどの国ではGoogleが主流ですが、中国では「Baidu(百度)」、韓国では「NAVER」など、独自の検索エンジンが高いシェアを持つ国もあります。そのため、ターゲットとしている国で使われている検索エンジンを把握し、対策を講じる必要がある可能性もあります。
  • 技術的SEO: 少し専門的になりますが、hreflangタグの設定(検索エンジンにサイトの言語と地域の関係を伝える)など、海外SEO特有の技術的な設定も重要です。専門家の助けを借りることも検討しましょう。

2-3. 海外向けコンテンツの準備

調査から判明したユーザー像(ペルソナ)が持つ課題を解決するような、価値あるコンテンツを用意します。これが海外マーケティングのエンジンとなります。

  • ブログ記事: ペルソナが検索するであろうキーワードを意識し、課題解決に役立つ記事を継続的に発信します。SEOの観点からも非常に重要です。
  • ホワイトペーパー/eBook: 専門的なノウハウや調査レポートをまとめた資料。リード(見込み客)のメールアドレスなどを獲得するための重要なフックになります。
  • 製品・サービス資料: 機能一覧だけでなく、どのような課題を解決できるのか、ベネフィットが明確に伝わるようにローカライズします。日本企業のパンフレットはこの部分が弱い傾向があります。

【ステップ3】施策実行編:海外で行うプロモーションとは

デジタルマーケティングのプロモーションには、LinkedInや広告、SEO、メールマーケティング等、様々な方法があります。

基盤が整ったら、いよいよ具体的な施策で潜在顧客にアプローチしていきます。全てを一度にやろうとせず、自社のリソースとターゲットに合ったものから始めましょう。

3-1. 【重要】LinkedInマーケティング

海外、特に欧米のBtoBマーケティングにおいて、LinkedInは最も重要なプラットフォームの一つです。単なる名刺交換SNSではなく、リード獲得、ブランディング、情報発信の強力なハブとなります。

弊社の欧米スタッフは、LinkedInと英語ウェブサイトが、英語圏の海外マーケティングを行うのに最も重要な準備だと言います。日本では、営業を始める前に、名刺と会社案内を揃えないと営業ができませんが、海外では、LinkedInと英語のウェブサイトが必要です。

欧米顧客のLinkedInの利用法はこのような感じです。まず、展示会で貴社のことを知った潜在的なお客様は、まず、貴社のウェブサイトを訪問し、事業内容を確認します。その次に行うのが、LinkedInアカウントの確認です。それまでどのような活動をしてきたのか、関連するキーマンは誰なのか?そうした背景をLinkedInで確認するのです。また、貴社の営業マンは交換したお客様の投稿に「いいね!」するなどして、緩い関係を維持できます。時にはお客様にとって有用な投稿を行い、それがお客様の見ているストリームに出て来たります。DMで資料のダウンロードリンクをお送りすることもできます。そんな際、企業で用意する公式アカウントの投稿は、現地営業マンがリポストして、つながっているお客様に届けることができるようになります。

オーガニック投稿が増えてくると、今度は広告の利用も考えられます。LinkedInの調査によると、企業のLinkedInページのフォロワーがオーガニック投稿と広告の両方に触れると、広告のみを見たユーザーと比較して61%も高い確率でコンバージョンに至ることがわかっています。そのため、LinkedIn広告を利用する際は、自然投稿もおこなう運用が必要となります。

  • 企業ページの整備: まずは公式の企業ページを作成し、英語(またはターゲット言語)で事業内容や製品情報を充実させます。
  • コンテンツ投稿: 作成したブログ記事やホワイトペーパー、ウェビナーの告知などを定期的に投稿し、フォロワーに価値を提供します。
  • 広告: 役職、業種、企業規模、地域などで非常に精緻なターゲティングが可能な広告は、BtoBとの相性が抜群です。特定の意思決定者層に直接アプローチできます。

 

3-2. 検索連動型広告(リスティング広告)

Google広告などを使い、ユーザーが検索したキーワードに連動して広告を表示します。理想を言えば、20~30万円程の予算を最低3~6か月程運用すると、AIの学習効果も進み、効果が最適化されます。ただ、BtoBのキーワードは検索量が少ないことが多いため、すぐに大量の流入は期待できないことが多いので注意が必要です。

  • メリット: SEOと異なり、即効性があり、すぐに潜在顧客にアプローチできます。
  • 活用法: まずは少額から始め、どのキーワードからの問い合わせが成果に繋がりやすいか(コンバージョン率が高いか)をテストするのに最適です。ここで得られたデータは、長期的なSEO戦略にも活かせます。

3-3. 自動化とメールマーケティング

ホワイトペーパーのダウンロードなどで獲得したリードに対して、継続的にアプローチし、関係を深め(ナーチャリング)、購買意欲を高めていきます。訪問ユーザーの回数や行動に関してスコアリングして、より効率的なメール配信を行います。

本格的なMAツールを導入すると、月額10万円単位となりますが、メール自動化等であれば、月額5千円ほどから始めることも可能です。まずは社内リソースに見合う規模からスモールスタートすることをお勧めします。

  • MAツール: リードのサイト訪問履歴やメール開封率などに応じて、自動で最適なコンテンツを配信したり、スコアリング(見込み度合いを点数化)したりできます。
  • メールマガジン: 業界のトレンドや役立つ情報などを定期的に配信し、自社を忘れられないようにします。
  • 注意点: 欧州にはGDPR(一般データ保護規則)など、個人情報保護に関する厳しい法律があります。必ず現地の法規制を確認し、遵守した上で運用しましょう。

【ステップ4】効果測定と改善編:Google AnalyticsとGoogle Search Console

デジタルマーケティングの効果測定を行い、PDCAサイクルを回すイメージ画像

デジタルマーケティングの最大の利点は、全ての活動がデータとして計測できることです。やりっぱなしにせず、必ず効果を測定し、改善を繰り返すPDCAサイクルを回しましょう。

使用ツール

  • Google Analytics (GA4): どの国から、どのチャネル(検索、広告、SNSなど)経由で、どれくらいのアクセスがあったか、コンバージョンに至ったかなどを分析します。
  • Google Search Console: どのような検索キーワードで自社サイトが表示されているか、クリック率はどのくらいかなどを把握できます。SEO改善の必須ツールです。
  • Google広告:もし広告を利用していれば、広告のダッシュボードでパフォーマンスを確認します。

見るべき指標

ステップ1で設定したKPIが達成できているか、定期的にチェックします。

  • 問い合わせ数は増えているか?
  • ターゲット国からのアクセスは増えているか?
  • チャネル毎の成約率(問い合わせ)では、特に優れたチャネルはあるか? 逆に少ないチャネルは?
  • リード獲得単価は目標の範囲内か?

改善のアクション

データに基づき、具体的な改善策を実行していきます。重要な部分は、成約(問い合わせ)に近いところから改善をしていくことです。

  • 広告のターゲティングキーワードを見直す
  • ウェブサイトの問い合わせフォームを改善する
  • ウェブサイトの問い合わせまでの導線や、必要なコンテンツを用意する
  • よりクリックされるブログのタイトルを考える」といった

よくある失敗例と成功のためのマインドセット

成功と失敗を分けるものとは、視点や心がけ、覚悟の問題かもしれません。

最後に、海外マーケティングで陥りがちな失敗と、成功のための心構えをまとめます。

失敗例

  • 海外ウェブサイトを制作しただけで満足してしまう: ローカライゼーション、プロモーション、改善サイクルを行う視点が欠けている。
  • 短期的な成果を求めすぎる: SEOやコンテンツマーケティングは成果(流入数等)が出るまで半年〜1年以上かかることが普通で、BtoBではさらに初回訪問から成約までのリードタイムが長いため、実際の問い合わせ数の増加までに時間がかかることを理解します。
  • 社内の協力体制がない: 営業部門との連携が取れておらず、獲得したリードが放置されたり、技術部門からの協力がないとコンテンツを作り続けることが困難です。
  • 現地の法規制を無視する: GDPRなどを知らずにメールを送り、問題になる。

成功のためのマインドセット

  • スモールスタートで始める: まずは1カ国、1つの施策に集中し、成功体験を積む。
  • 長期的な視点を持つ: ブランディングや関係構築は時間がかかる投資と考える。
  • 専門家を頼る: 全てを自社でやろうとせず、必要に応じて現地の知見を持つ代理店やコンサルタントの力を借りる。
  • 失敗から学ぶ: 最初からうまくいくことは稀です。テストと改善を繰り返し、自社だけの成功法則を見つけ出す姿勢が何よりも大切です。

まとめ

BtoBデジタルマーケティングの4ステップの俯瞰した図

BtoB企業の海外デジタルマーケティングは、現代の営業活動の中で必須だと言えます。しかし、効果が出るまでには、地道なPDCAを回す活動が必須で、以下のような段階を経る事が重要です。

  1. 調査戦略立案・準備
  2. ウェブサイト構築/改善
  3. プロモーション施策実行
  4. 効果測定・改善

上記の4までたどり着いた後は、2→3→4を継続的に回すサイクルが必要で、新商品が出たときや、競合の動き、市場の大きな変化が現れた際には、改めて調査を行うことも重要です。

未知の領域への挑戦は、不安がつきものです。しかし、デジタルの力を使えば、世界は想像以上に近く、そこには貴社の製品・サービスを待っている顧客が必ず存在します。この記事が、貴社のデジタルマーケティングへの道しるべとしてご利用いただけましたら幸いです。

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