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海外リスティング広告で成果を出す!【海外リスティング広告成功への道筋】

海外リスティング広告で成果を出す!~海外リスティング広告成功への道筋~

執筆者

加瀬雅彦

加瀬雅彦/Kase Masahiko

プロフィール詳細

取締役/COO
海外Webマーケティング事業に10年以上身を置き、2014年8月に代表徳田と共に世界へボカン株式会社を設立、取締役に就任。
英語Google広告運用、ソーシャルメディア広告、アクセスログ解析、英語サイト改善など、数多くのプロジェクトに携わる。

海外リスティング広告成功への道筋

日本国内でのデジタルマーケティングが飽和しつつある今、海外市場への進出は多くの企業にとって重要な成長戦略となっています。
その中でも、リスティング広告は、明確な購買意欲を持つユーザーに直接アプローチできる強力な手段です。
しかし、言語や文化、市場の特性が異なる海外で、闇雲に広告を出稿しても成果を上げるのは困難です。

海外リスティング広告で真の成果を出すためには、「最適化」が鍵となります。
本記事では、海外Webマーケティング支援を長年行ってきた私たちが、パフォーマンスを最大化するための具体的な施策を解説いたします。

貴社の海外ビジネスを成功に導くための実践的なノウハウを、ぜひ最後までご覧ください。

1. フィードを最適化する

海外リスティング広告の中でも特にECサイトで重要なのが、Googleショッピング広告をはじめとする商品フィードを活用した広告です。
このフィードの質が、広告のパフォーマンスを大きく左右します。
フィードとは、商品名、価格、在庫状況、画像URLなどの商品情報を一覧にしたデータセットのことで、このデータがGoogleマーチャントセンターを通じて広告に利用されます。

なぜフィード最適化が必要なのか

フィードを最適化することは、単にシステムにエラーなくデータを渡すこと以上の意味があります。
それは、ユーザーの検索意図に最もマッチした状態で商品を提示し、クリック率(CTR)とコンバージョン率(CVR)を高めるための土台作りです。

商品フィードのデータは、広告表示の可否、表示されるクエリ、そしてユーザーがクリックするかどうかを決定づける重要な要素です。最適化が不十分な場合、

  • 不正確な情報で広告が表示され、ユーザー体験を損なう
  • 適切なキーワードで広告が表示されず、インプレッションが伸びない
  • 商品の魅力が伝わらず、クリックされない

といった問題が発生し、結果として広告パフォーマンスは著しく低下します。
逆に、フィードを徹底的に最適化することで、以下のような効果が期待できます。

  • 関連性の高い検索クエリでの表示増加:商品名や説明に適切なキーワードを含めることで、ターゲットとするユーザーへの露出が増えます。
  • CTRの向上:魅力的な画像、正確な価格、在庫状況が正しく伝わることで、クリックされやすくなります。
  • CVRの向上:ユーザーが求めている情報が広告からウェブサイト、そして購入まで一貫して提供されることで、購入への迷いが減ります。

最適化の具体的なポイント

フィード最適化の主なポイントとしては、以下のような項目が挙げられます。

  • 商品タイトルの最適化:主要なキーワードを前方に入れ、ユーザーが検索に使うであろう属性(ブランド名、色、サイズ、型番など)を含める。
  • 商品説明の充実:重要なキーワードを自然な形で盛り込み、商品の特徴やベネフィットを伝える。
  • 高品質な画像の使用:背景が白で、商品が明確にわかる、規則に準拠した画像を用意する。
  • カスタムラベルの活用:利益率、在庫状況、季節性などの独自の属性を付与し、キャンペーンや入札戦略に役立てる。

また、海外向けの越境ECサイトでは、ウェブサイトの言語や通貨が複数ある場合があります。
複数の国をターゲットにしていて、複数の言語や通貨でウェブサイトも構成されているケースではフィードもそれぞれの言語、通貨で作成することで、それぞれの国に適切な状態になります。

多言語や多通貨の最適化の具体的な手法については、過去の記事で詳細に解説していますので、以下のページを参照し、貴社の商品フィードを見直すことを推奨いたします。

【参照記事】 Shopify商品フィードを多言語・多通貨で生成するにはどうすればいい…?→ マルチフィードアプリで解決!

フィードは「広告の設計図」です。この設計図を緻密にすることで、リスティング広告は最高のパフォーマンスを発揮できるでしょう。

2. コンバージョンを正しく計測する

海外リスティング広告の最適化は、正確なデータ計測なしには成り立ちません。
単に「購入」という最終コンバージョン(CV)だけを追うのではなく、ユーザーの購買行動全体を多角的に把握することが重要です。

最終成果と中間指標の多角的な計測

海外リスティング広告で成果を出すためには、以下の3つの指標をきちんと計測し、KPIとして設定することを推奨します。

  1. コンバージョンValue(売上金額)
  2. 商品ビュー(商品ページ閲覧)
  3. カート追加(Add to Cart)

1. Valueを見ることでROAS最適化を図る

最も重要なのが、コンバージョンValue(売上金額)の計測です。
リスティング広告の究極の目的は売上と利益の最大化であり、Valueを計測することで、広告費用対効果(ROAS:Return On Advertising Spend)を正確に把握できます。

ROASを基にした最適化は、

  • 「クリック単価が安くても、売上が低い商品」への配信を抑制する(ROASが合わない配信を抑制)
  • 「単価は高いが、高額な商品が売れてROASが良いキャンペーン」に予算を厚く配分する(ROASの合う配信を強化する)

といった、利益に直結する判断を可能にします。
Google広告の自動入札機能も、Valueを基に設定することで、より効率的にROASの目標達成に向けて最適化してくれます。

2. 商品ビューやカート追加で離脱ポイントを特定し対策を打つ

Value(購入)に至るまでの中間KPIとして、商品ビューとカート追加を計測することは、最適化の「質」を高めます。

  • 商品ビュー:ユーザーが広告をクリックした後、実際に商品ページに到達したかを確認できます。商品ビューが極端に少ない場合は、広告とランディングページ(LP)の関連性が低い、あるいはLPの読み込み速度に問題があるなどの可能性が考えられます。
  • カート追加:商品ビューは多いのに、カート追加が少ない場合、ユーザーは商品に興味を持っているものの、「価格」「送料」「配送スピード」「レビュー」などの情報に不満や何かしらの不安を感じ、購入を躊躇している可能性があります。

これらの計測データを分析することで、ユーザーが「どこで離脱しているのか」を明確に把握できます。

離脱ポイント

可能性のある課題

対策例

クリック後

LPの関連性、表示速度、モバイルフレンドリーさ

広告文とLPの見直し、サーバー速度改善

商品ビュー後

価格競争力、送料、レビュー、商品説明の不足

競合調査、送料無料施策、レビュー充実、FAQ整備

カート追加後

決済方法、配送オプション、アカウント登録の手間

ゲスト購入の許可、多様な決済方法の導入

 

このように中間KPIを見ることで、広告の運用改善だけでなく、ウェブサイト側の改善点も発見でき、より総合的な成果向上に繋げられます。

なお、カート離脱が多いケースでは下記の記事も参考になりますのでぜひご覧ください。

【参照記事】 カゴ落ち率(カート離脱率)の平均値と改善対策とは?

3. 国ごとのパフォーマンスを見て予算調整する

海外市場では、複数の国をターゲットに広告を配信することが一般的です。
しかし、言語や文化、経済状況、購買習慣が異なるため、国によって広告の費用対効果(CPAやROAS)は大きく異なります

「一つのキャンペーンに複数の国」は要注意

もし現在、一つのGoogle広告キャンペーン内で、アメリカ、カナダ、イギリスなど複数の国をターゲットに設定している場合は注意が必要です。

この設定では、全体のパフォーマンスは把握できても、「どの国が良く」「どの国が悪い」のかを正確に把握し、アクションに繋げることが難しくなります。
全体の平均に引っ張られて、費用対効果の高い国のポテンシャルを活かしきれていない、または、費用対効果の悪い国に無駄な予算が流れているという状況に陥りがちです。

最適化のための「国別キャンペーン分割」戦略

海外リスティング広告で成果を最大化するための鉄則は、国ごとのパフォーマンスを明確に把握し、それに基づいて予算と入札戦略を調整することです。

具体的な手順は以下の通りです。

ステップ1:国ごとのパフォーマンスの可視化

まずは、配信実績があるキャンペーンの地域レポートを確認し、国ごとのCPA、ROAS、CV数を比較します。

  • 高パフォーマンス国:CPAが安く、ROASが高い
  • 低パフォーマンス国:CPAが高く、ROASが低い

ステップ2:キャンペーンの分割と予算の再配分

パフォーマンスに顕著な差がある場合は、キャンペーンを国ごとに分割します。
これにより、国別に予算と入札戦略を完全にコントロールできるようになります。

  • 費用対効果の高い国
    • 配信を強化する:独立したキャンペーンに移し、予算を厚く配分します。ROAS最大化や目標CPAなどの自動入札戦略を積極的に導入し、より積極的にインプレッションシェアを獲得しに行きます。
  • 費用対効果の悪い国
    • 配信を絞る:独立したキャンペーンに移し、予算を抑えるか、入札単価を下げるなどの対応を取ります。もしくは、テスト期間を設けて改善が見られない場合は、一時的に配信を停止することも検討します。

この戦略を実行することで、全体予算を最も効率の良い国に集中投下でき、リスティング広告全体のROASを劇的に改善することができます。
海外市場では、「広く浅く」よりも「狭く深く」成果を出す国に集中するアプローチが、初期の成長には不可欠です。

4. 広告文の改善:インプレッションとクリック率の向上

海外リスティング広告、特にGoogle検索広告において、広告文はユーザーのクリック率(CTR)を左右する重要な要素です。
海外ユーザーの検索意図にマッチする広告文を作成することで、インプレッション数とCTRを同時に高めることができます。

Google広告の「見出し」にキーワードを入れる重要性

Google広告の検索連動型広告では、見出し(Headline)にユーザーが検索したキーワード(またはその類義語)を入れることが、インプレッション数の増加に直結する強力な施策です。

1. 広告の関連性スコア向上

Google広告のシステムは、広告の「品質スコア」を重視します。この品質スコアは、

  • 推定CTR(過去のクリック率)
  • 広告の関連性(キーワードと広告文の関連性)
  • ランディングページの利便性

の3要素で構成されています。
見出しにキーワードを含めることは、「広告の関連性」を大幅に高めます。
関連性が高いとGoogleに認識されることで、より多くの検索クエリに対して、より良い広告ランク(表示順位)で広告が表示されやすくなります
これが、結果的にインプレッション数の増加につながります。

2. ユーザーへの訴求力アップ

ユーザーは、検索したキーワードと完全に一致する、または類似した言葉が広告文に入っていると、「自分の探している情報だ」と直感的に認識し、安心感と関連性を覚えます。

例:「Best Running Shoes for Marathon」と検索したユーザーに対して、

  • 改善前:「Top Performance Footwear Sale」
  • 改善後:「Best Marathon Running Shoes」

後者の広告の方が、ユーザーの検索意図に直接応答しており、クリックされる可能性が格段に高まります。

広告文作成の海外向けヒント

海外市場を意識した広告文の改善では、単なる直訳ではなく、現地の文化的背景や言語的なニュアンスを理解した表現が求められます。

  • 現地の言語・ニュアンス:ネイティブが実際に使う自然な表現や、文化的にNGではない表現を選びます。
  • 強力なUSP(Unique Selling Proposition)の強調:「Free Shipping Worldwide」「24/7 Customer Support」「Money-Back Guarantee」など、海外ユーザーが購買の障壁と感じやすい点をクリアにする文言を盛り込みます。

広告文は作って終わりではなく、各指標をもとにレビューし、定期的にアップデートを行っていきましょう。

5. BFCMの計画を立てる

海外、特に欧米諸国におけるEコマースにおいて、ブラックフライデー・サイバーマンデー(BFCM)を中心とする年末商戦期(通常11月、12月)は、一年で最も重要な時期です。
この時期の計画的な準備と予算配分が、年間売上に極めて大きな影響を与えます。

購買意欲が高まる「年に一度のビッグチャンス」

BFCM期間は、世界中の消費者の購買意欲が最高潮に達します。
多くのユーザーがセールを前提に商品を探し始め、普段は高くて買えない商品や、クリスマスプレゼントなどを大量に購入します。

この「購買意欲が高まっているタイミング」に合わせた戦略的な広告投資を行うことが、海外リスティング広告で短期間に大きな成果を出すための鍵です。

広告費の「戦略的投資」で売上を2~3倍に

この時期に成果を最大化するためには、以下の計画を立てる必要があります。

1. セールとクリエイティブの準備(8月~10月)

  • セール内容の決定:割引率、期間、対象商品などを明確に決定します。
  • ランディングページの準備:BFCM専用のLPや、セールを強調したトップページを準備します。
  • クリエイティブの作成:セール情報を強調したショッピング広告用のフィード画像、検索広告のプロモーション拡張表示、ディスプレイ広告のバナーなどを早めに作成・承認申請します。

2. 予算と入札戦略の調整(11月上旬)

この時期に最大の機会損失を避けるため、広告予算を大幅に増額することが不可欠です。

  • 予算の増額:平常時の1.5倍~2倍程度の予算を投資しても良いでしょう。競合他社も軒並み広告を強化するため、遅れをとってはいけません。
  • 入札戦略の見直し:ROAS目標を設定している場合は、目標値を一時的に下げてでも、より多くのインプレッションとクリックを獲得しに行く戦略を検討します(例:ROAS目標を5.0から4.0に下げるなど)。

3. リターゲティングの強化

BFCM期間中は、以前ウェブサイトを訪問したものの購入に至らなかったユーザー(カゴ落ちユーザーも含む)が、セール価格によって購買を決意する可能性が非常に高まります。

  • リターゲティング広告の強化:過去の訪問者を対象にした特別割引や限定オファーを強調した広告を重点的に配信します。

これらの計画を緻密に実行することで、この2ヶ月間で年間売上の大きな割合を占めることが可能になり、結果として売上を平常時の2倍〜3倍にすることも現実的になります。

BFCMの準備に向けて、下記の記事も参考にしてください。

【参照記事】 ブラックフライデー・サイバーマンデー(BFCM)で越境ECの売上を最大化するためにできること

まとめ:海外リスティング広告の最適化は「PDCAの徹底」

海外リスティング広告で継続的に成果を出すためには、本記事で解説した5つのポイントを意識し、PDCAサイクルを回し続けることが不可欠です。

  1. フィード最適化:成果の土台を常に強固に保つ。
  2. 正確なCV計測:Valueと中間KPIで最適化の方向性を定める。
  3. 国別予算調整:高効率な国に集中投資し、費用対効果を最大化する。
  4. 広告文改善:見出しにキーワードを入れ、インプレッションとCTRを高める。
  5. BFCM計画:最大の商機を逃さないよう戦略的に予算とキャンペーンを準備する。

世界へボカン株式会社は、貴社の海外Webマーケティングを成功に導くための実践的なノウハウと実行力を持っています。
海外市場でのリスティング広告運用でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。
貴社の海外ビジネスの成長を強力にサポートいたします。

 

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