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シンガポール市場での海外リスティング広告成功ガイド:戦略と実践ポイント
- 2025.10.08
- 海外リスティング広告

シンガポールはASEANの金融・ビジネスの中心地であり、その戦略的な立地と経済的な成熟度から、多くの日本企業が海外展開の足がかりとして選ぶ国です。人口は約600万人と小さいものの、購買力が高く、越境ECや観光関連の需要も大きいのが特徴です。
販売売上の5-10位にシンガポールが入ることが多いので、弊社の事例でも欧米の次に配信する事例が多い国となります。
この記事ではシンガポールに海外リスティング広告を配信するべき理由と注意するべきポイント、その後の展開について解説していきたいと思います。
こんな人におすすめ
- シンガポール市場に越境ECを展開したい方
- 海外リスティング広告を活用して新たな市場に進出したい方
- 欧米で成功した後、横展開する国を探している方
シンガポールのデジタル広告市場の特徴
- 高いデジタル浸透率:スマートフォン普及率は90%以上。検索やSNSが日常的に使われています。
- 多言語市場:英語が公用語である一方、中国語やマレー語、タミル語も使われています。英語広告での配信が基本ですが、中国語対応も競合優位になり得ます。
- 購買行動の特徴:レビューやSNSを参考にする傾向が強く、検索広告からSNSへの流入・比較を経て購入に至るケースが多いです。
英語圏向けに広告を配信した場合、最も購買が発生するのがアメリカです。その次にイギリス、香港、オーストラリアと続き、シンガポールは約5〜10番以内に位置することが多いです。
アパレルや伝統工芸品、中古ブランド品など、高単価な商材の越境ECは可処分所得が高いシンガポールと相性が良いと言えます。
シンガポールで活用すべき主要広告チャネル
Google広告
検索エンジンシェアは9割以上。リスティング広告を行うならまずGoogle広告が中心になります。ディスプレイやYouTube広告も幅広く利用されています。
Meta広告(Facebook/Instagram)
FacebookとInstagramは日常的に利用されており、認知から購買への導線設計に有効です。検索広告と併用することで相乗効果を狙えます。
LinkedIn広告
シンガポールは多国籍企業やB2B需要が強いため、LinkedIn広告も有効です。特にIT、金融、教育などのB2Bサービスでは成果が出やすい傾向にあります。
Grab Adsなどローカル媒体
配車アプリ「Grab」など、日常生活に密着したローカルアプリ内広告も選択肢となります。私もシンガポールに行った際は、「Grab」は移動に欠かせないアプリでした。
越境ECでシンガポール向けに広告配信をする際はGoogleとMeta広告で十分カバーすることができるでしょう。人口も600万人と限られているほか、特定のオーディエンスにリーチするとなると更にターゲットは絞られてきます。
海外リスティング広告の戦略設計ポイント
海外リスティング広告を成功させるためには、シンガポール市場に適した戦略を練ることが重要です。ここでは、シンガポール市場での効果的な広告運用方法について、キャンペーン設計からローカライズ、競合分析までのポイントを解説します。
1. キャンペーン構成・キーワード設計
シンガポール向けの広告キャンペーンでは、一か国に十分な予算が限られている場合は、オーストラリアや香港などの類似市場と統合して配信することが効果的です。機械学習を活用するためには一定数のデータボリュームが必要なため、他の市場と一緒に配信することが多いです。キーワード設計は英語を基盤にしつつ、中国語の検索ボリュームも考慮することで、より広範囲なターゲットにリーチできます。
2. ローカライズの重要性
単なる翻訳ではなく、現地で使われる表現や文化を反映させることが大切です。例えば、「delivery」よりも「fast shipping」の方がシンガポールでは効果的な場合が多いです。
広告の工夫
日本ブランドの強みである品質や信頼性を前面に押し出すことが重要です。シンガポール市場では、実績やブランドの信頼性が消費者に強い印象を与えるため、それを広告文に反映させることが求められます。また、SNS配信では、動画クリエイティブが成果が良い事例が多いため、視覚的に訴える要素を取り入れることが効果的です。
競合分析
シンガポールでは現地の競合に加え、欧米ブランドも多数参入しています。そのため、価格以外の差別化ポイントを明確に打ち出すことが競争優位性を高める鍵となります。
シンガポール広告配信の注意点
- 法規制:医療・金融などの広告は厳しい規制があります。事前に法律確認が必須となります。
- 表示方法:SGD(シンガポールドル)での価格表示、GST(消費税)の明記が求められるケースが多いです。
- 季節性:シンガポールは一年を通じて暑い気候なので、アパレル広告などでは日本の秋冬商品でも夏物を強調する必要があります。季節ごとの需要に合わせて広告内容を柔軟に調整することが大切です。
- 決済・配送の期待値:クレジットカード・PayNowなどローカル決済対応が望ましいです。配送スピードに敏感な市場なので物流パートナーの選定も重要となります。
広告を配信する際に注意するべきは、受け皿のページがきちんとローカライズされているかという点です。どんなに広告予算をかけても、越境ECサイトの英語が多々しくなかったり、UI/UXが分かりづらく、ユーザーの離脱を誘発している場合、購買に導くことができません。
また、わざわざ日本から購入する理由を訴求することが広告でも越境ECサイト上でも重要なポイントです。
日本企業の成功・失敗事例
成功事例
弊社の成功事例として、アパレル小物のキャンペーンがあります。欧米とシンガポールを含むアジア圏でキャンペーンを分け、それぞれの市場に最適なクリエイティブをテストしました。地域ごとに売れる商品の傾向が異なるため、動画クリエイティブを制作して視覚的に訴求した結果、ターゲット層に強く響く広告を展開することができました。このアプローチにより、各地域で高いパフォーマンスを実現しました。
失敗事例
機械部品メーカーの広告キャンペーンでは、日本語を直訳した広告文でシンガポール市場に配信したところ、現地の消費者に専門用語が理解されず、CTR(クリック率)が低迷しました。この失敗の原因は、十分なローカライズがされていなかったことです。言語や文化に適した表現を使わなかったため、ターゲット層に訴求できなかったことが影響しました。
弊社がシンガポール向け越境ECの支援を行った際、まずは英語の校正やコピーライティングの見直し、そしてサイトの改善を実施しました。比較的高単価なアパレル商材を取り扱っていたため、広告で集客するための受け皿を整えた上で、広告配信を行いました。通常、アメリカでの配信成功後、シンガポールをはじめとするアジア圏に展開する流れが一般的です。
以前、クライアントが依頼していた広告代理店は、広告アカウントを共有してもらえず、売上が伸びない理由が不明のまま、打ち手に悩んでいた状況でした。弊社では、広告アカウントを再構築し、サイトの改善を行った結果、売上の向上に成功しました。
まとめ
シンガポールは高い購買力を持つ市場で、越境ECに非常に適した国です。この記事では、シンガポール市場での広告戦略や配信ポイント、成功事例、失敗事例を紹介しました。シンガポールをターゲットにしたリスティング広告を効果的に運用するためには、ローカライズや競合分析が重要です。これらのポイントを押さえることで、広告パフォーマンスを最大化できます。
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