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台湾市場の基礎情報|日本企業が押さえるべき広告・SNS・EC・文化的注意点

執筆者

サイ カウン / TSAI CHIAYUN

プロフィール詳細

台湾は日本から距離が近く、日本の商品や文化との接点も多いことから、日本企業が海外進出を検討する際の有力な市場の一つです。

人口は約2,300万人と決して巨大な市場ではありませんが、2025年末時点のインターネット普及率は96.7%、SNS利用者に相当するユーザーID数は人口の78.4%に達しており、デジタル上で消費者と接点を持ちやすい市場といえます。

一方で、台湾向けのマーケティングでは、日本語を繁体字に翻訳するだけでは不十分です。消費者の価格に対する感覚や利用メディア、ECの商習慣、政治・文化的背景を理解したうえで、現地に合わせて施策を設計する必要があります。

この記事では、台湾市場の基本情報から、主要な広告・SNS媒体、ECプラットフォーム、広告表現における注意点まで、台湾出身者の視点も交えながら解説します。

目次

  • 台湾市場の基本情報
  • 台湾消費者の購買傾向と主な商戦期
  • 台湾で活用すべき主要広告・SNSチャネル
  • 台湾のECプラットフォームと販売環境
  • 広告・クリエイティブにおける文化的注意点
  • 訪日台湾人の増加とオンライン・オフライン連携
  • 台湾市場で成功するための5つのポイント

こんな人におすすめ

  • 台湾向けにWeb広告や越境ECを始めたい方
  • 台湾市場に関心はあるものの、現地の媒体や商習慣が分からない方
  • 日本国内の実店舗と台湾向けデジタル施策を連携させたい方

台湾市場の基本情報

人口約2,300万人、面積は九州とほぼ同規模

台湾の人口は約2,300万人です。面積は離島を含めて約3万6,197平方キロメートルで、九州とほぼ同じ規模です。限られた国土に人口が集中しており、台北・新北・桃園・台中・台南・高雄などの都市部を中心に消費市場が形成されています。

また、台湾では少子化と高齢化が急速に進んでいます。若年人口の減少は、日本と同様に中長期的な市場設計を考えるうえで無視できない要素です。

平均所得だけでターゲットを判断しない

台湾政府の統計によると、2025年における産業・サービス業の全雇用者の平均年間総所得は約76万台湾ドルでした。台湾籍のフルタイム従業員に限定すると、平均年間総所得は約80万6,000台湾ドル、月間の定例給与中央値は約3万9,900台湾ドルです。

ただし、平均所得だけを見て「日本より所得が低いため、高価格帯の商品は売れない」と判断するのは適切ではありません。

台湾では、IT・半導体関連産業の従事者や経営者、共働き世帯など、可処分所得の高い層も存在します。商品単価が高い場合は、台湾全体を一括りにするのではなく、年齢、職業、居住地域、興味関心などから「実際に購入可能な層」を定義することが重要です。

「日本製」だけでなく、価格に見合う理由が必要

筆者の実務経験上、台湾の消費者は日本の商品やブランドに好意的である一方、価格、送料、キャンペーン内容、購入者レビューを細かく比較する傾向があります。

購入前に公式サイトだけでなく、Shopeeなどのモール、SNS、口コミサイト、インフルエンサーの投稿を横断して調べるケースも珍しくありません。

そのため、「日本製」「日本で人気」と伝えるだけではなく、以下の情報を分かりやすく提示する必要があります。

  • 他の商品と何が違うのか
  • なぜこの価格なのか
  • 送料や関税はいくらかかるのか
  • 返品や交換に対応しているのか
  • 台湾の利用者からどのように評価されているのか

日本ブランドとしての信頼感に加え、機能、品質、耐久性、アフターサービスなど、価格に見合う具体的な価値を伝えることが重要です。

台湾消費者の購買傾向と主な商戦期

台湾は南北で気候差があるものの、全体として日本よりも夏が長く、高温多湿な期間が続きます。北部を中心に12月から2月頃は肌寒くなることがありますが、日本の冬と同じ商品構成や販促時期をそのまま当てはめると、需要とのずれが生じる可能性があります。

特にアパレル、アウトドア、スキンケア、季節家電などは、台湾の気温や湿度に合わせて商品構成とクリエイティブを調整する必要があります。

台湾の主な消費イベントには、以下があります。

  • 旧正月:1月下旬~2月頃
  • 母の日:5月
  • 618セール:6月18日前後
  • 父の日:8月8日
  • 周年慶(百貨店の周年セール):主に9月~10月
  • 11.11、12.12
  • BFCM(ブラックフライデー・サイバーマンデー)
  • クリスマス、年末商戦

台湾の百貨店やショッピングモールでは、9月から10月に「周年慶」と呼ばれる大型セールが集中します。オンラインでも11.11などのセールが定着しているため、秋から年末にかけて購買意欲が高まりやすい傾向があります。

ただし、セール開始後に広告を準備しても十分な効果を得にくいため、認知施策、インフルエンサーへの商品提供、クリエイティブ制作、在庫確保などは、商戦期の1~2か月前から進めることをおすすめします。

台湾で活用すべき主要広告・SNSチャネル

Meta広告:FacebookとInstagramの役割を分ける

台湾でも、FacebookとInstagramは主要な広告媒体です。

Facebookは現在も日常的に利用されており、比較的年齢層の高いユーザーや、家族・地域・趣味に関するコミュニティとの接点を持ちやすい媒体です。

一方、Instagramは若年層やビジュアルを重視する商品との相性がよく、ファッション、美容、旅行、食品、ライフスタイル商材などに適しています。

同じMeta広告であっても、FacebookとInstagramではユーザーが接触するコンテンツや購入までの検討期間が異なるため、媒体別の掲載面、年齢、クリエイティブごとに成果を確認する必要があります。

Google広告・YouTube:顕在層と幅広い年齢層へのリーチ

Google検索広告は、商品名や課題を自ら検索している購買意欲の高いユーザーを獲得するうえで重要です。

一方、台湾市場で特に注目したいのがYouTubeです。

2025年末時点で、台湾におけるYouTube広告の推定リーチは約1,810万人で、人口の78.4%、インターネット利用者の81.1%に相当します。

YouTubeは若年層向けの認知媒体と思われがちですが、台湾ではSNSを積極的に投稿しない中高年層にも広く利用されています。そのため、新しいユーザー層へのリーチや、文章だけでは伝えにくい商品の使い方・機能を説明する媒体として有効です。

実際に弊社が支援するアウトドアブランドでは、インフルエンサーがYouTubeやInstagramで商品を紹介したことをきっかけに、台湾での売上が大きく伸びた事例があります。

筆者の父親も普段はほとんどSNSを利用しませんが、YouTubeでその紹介動画を視聴し、自ら商品について尋ねてきました。これは、YouTubeが普段ブランドと接点を持ちにくい層にも情報を届けられることを実感した例です。

LINE:広告だけでなくCRMにも活用する

台湾におけるLINEの月間アクティブユーザー数は、2026年3月末時点で約2,200万人です。人口に対する利用割合は94.5%に達しており、日本と同様に生活インフラに近い存在となっています。

主な活用方法として、以下が挙げられます。

  • LINE広告
  • LINE公式アカウント
    • クーポンやキャンペーン情報の配信
    • 購入後のフォロー
    • 会員情報や実店舗との連携
  • LINE TODAYを活用した情報発信

広告媒体としては、FacebookやInstagramと比較して成果が変動しやすく、クリエイティブの消耗が早いケースもあります。そのため、広告だけで完結させるのではなく、公式アカウントへの友だち追加や、既存顧客への継続的なコミュニケーションまで含めて設計することが重要です。

Threads:売り込みよりも「会話への参加」

近年、台湾ではThreadsの存在感が高まっており、日本におけるXに近いテキスト型SNSとして利用されています。言葉遊び、ツッコミ、インターネットミームなどを取り入れた投稿が好まれる傾向があります。

企業アカウントだけでなく、芸能人、政治家、行政機関、個人店舗なども積極的に投稿しており、ユーザーとの自然な会話から話題が広がるケースも少なくありません。

ただし、単に日本で使用したXの投稿を翻訳したり、宣伝文だけを連続して投稿したりしても反応を得にくい可能性があります。Threadsでは、直接的な販売よりも、現地ユーザーの会話やトレンドに自然に参加し、ブランドへの親近感を形成する役割を持たせるとよいでしょう。

台湾のECプラットフォームと販売環境

台湾のEC販売チャネルは、大きく以下の3つに分けられます。

  1. ブランド公式ECサイト
  2. オンラインモール
  3. ホステッドSaaS型ECプラットフォーム

主要モールはShopee、momo、PChome

台湾のBtoC ECでは、Shopee、momo、PChomeが主要なプラットフォームです。

Shopeeは、中小企業や個人事業者も多く出店しており、商品数が多く、ユーザーが価格を比較しやすいプラットフォームです。その分、価格競争に巻き込まれやすいため、モール限定セットやレビュー獲得などの対策が必要です。

momoは、大手企業や知名度のあるブランドも多く、幅広い年齢層に利用されています。価格だけでなく、正規品であることや販売元への信頼感を重視するブランドにとって有力な選択肢です。

PChomeは台湾で長く利用されているECプラットフォームで、特に家電、デジタル機器、日用品などで高い認知があります。

近年はCoupangをはじめとする海外系ECサービスも台湾で事業を拡大しており、配送速度や送料、キャンペーン条件を含めた競争がさらに激しくなっています。

91APP、SHOPLINE、Shopifyの違い

台湾のブランド公式ECサイトでは、91APPやSHOPLINEなどのサービスがよく利用されています。

91APPは台湾発のD2C・OMO支援企業で、ECサイトだけでなく、ブランドアプリ、会員管理、決済、実店舗とのデータ連携などを含めた小売企業向けの機能を提供しています。

SHOPLINEも、ECサイト、SNS販売、POS、会員管理、ブランドアプリなどを統合したサービスを提供しています。個人事業者から大手ブランドまで、幅広い規模の事業者が利用しています。

一方、Shopifyは台湾国内だけでなく、複数の国・地域に向けて販売するブランドや、既に海外向けECを運営している企業に採用されるケースが多い印象です。

どのシステムを選ぶかは、初期費用だけでなく、現地決済、物流、会員管理、実店舗との連携、将来の多国展開まで考慮して判断する必要があります。

決済・超商取貨・通関対応も重要

台湾向けECでは、クレジットカードに加え、LINE Payなどのモバイル決済、コンビニ支払い、コンビニ受け取りへの対応が購入率に影響します。

台湾では自宅配送だけでなく、コンビニで商品を受け取る文化が広く定着しています。商品価格や広告クリエイティブだけでなく、ユーザーが普段利用している受け取り方法を用意できるかどうかも重要です。

また、日本から台湾へ商品を直接発送する場合は、輸入者による実名認証アプリ「EZ WAY」への対応が必要になるケースがあります。

2026年3月からは、輸入者がEZ WAY上で商品名、申告価格、送り状番号などを事前確認しなければ、通関が保留される仕組みが全面導入されました。購入者が手続きを理解できるよう、注文完了メールやFAQで案内しておくことが重要です。

さらに、台湾の通信販売では、原則として商品またはサービスを受け取ってから7日以内に契約を解除できる制度があります。ただし、生鮮品、オーダーメイド商品、開封済みの衛生用品など、一部対象外となる商品もあります。返品条件は現地法令を確認したうえで、サイト上に明記する必要があります。

広告・クリエイティブにおける文化的注意点

繁体字に翻訳するだけでは不十分

台湾向けの広告やECサイトでは、繁体字を使用する必要があります。

ただし、単に簡体字を繁体字へ自動変換するだけでは、中国本土で使用される語彙や不自然な表現が残ることがあります。同じ中国語であっても、台湾と中国本土では、商品名、IT用語、接客表現、言葉のニュアンスが異なります。

不自然な文章は「台湾市場を十分に理解していないブランド」という印象につながり、購入への不安を高める可能性があります。広告文だけでなく、商品詳細、サイズ表、配送案内、返品条件、カスタマーサポートまで、台湾華語としてローカライズすることが重要です。

政治や中台関係を連想させる表現に注意

台湾では、政治や中台関係が非常にセンシティブなテーマです。

台湾の主要政党は青、緑、白などの色で表現されることがあります。ただし、これらの色を使用すること自体が問題になるわけではありません。

選挙期間中に特定の色とスローガン、人物、地図、旗などを組み合わせると、意図せず政治的なメッセージとして受け取られる可能性があるため、クリエイティブ全体の文脈を確認する必要があります。

また、台湾向けコンテンツに中国国旗を使用したり、台湾を中国の一地域として扱ったりする表現は、大きな反発につながる恐れがあります。

2025年には、日本人漫画家が台湾で出版された中国語版の作品を中国国旗で示したことや、その後の発言をきっかけに批判が広がり、予定されていた台湾でのサイン会が中止となった事例がありました。

企業側に政治的な意図がなくても、「知らなかった」では済まされない場合があります。台湾向けの広告、SNS投稿、キャンペーンページを公開する前に、台湾の文化と言語を理解する担当者による確認フローを設けることをおすすめします。

訪日台湾人の増加とオンライン・オフライン連携

台湾向けマーケティングでは、台湾国内のEC売上だけでなく、日本国内の実店舗への来店も考慮する必要があります。

2025年の訪日台湾人数は約676万人で、韓国、中国に次いで3番目に多い訪日市場となりました。

台湾人旅行者による2025年の訪日旅行消費額は約1兆2,033億円で、中国に次いで2番目に大きい規模です。

台湾の消費者が、台湾で広告やインフルエンサーの投稿を見てブランドを知り、日本旅行中に実店舗で商品を確認・購入するケースは今後も増えると考えられます。

日本国内に店舗を持つ企業の場合、以下のような施策が考えられます。

  • 台湾向け広告に日本の店舗情報を掲載する
  • Googleマップ、営業時間、在庫、免税対応を繁体字で案内する
  • 訪日前に動画やSNSで商品理解を促す
  • 店頭でLINE公式アカウントや会員登録へ誘導する
  • 帰国後に台湾向けECで再購入できる導線を用意する
  • 日本国内の店舗売上も含めて広告効果を評価する

台湾向け広告のROASだけを見て判断すると、実店舗で発生した売上や、旅行中に購入したユーザーの価値を見落とす可能性があります。

オンライン広告、インフルエンサー、台湾向けEC、日本国内の実店舗を別々に運用するのではなく、一つの顧客体験として設計することが重要です。

台湾市場で成功するための5つのポイント

1.「翻訳」ではなくローカライズを行う

繁体字であっても、台湾で使われない語彙や不自然な表現では信頼を得られません。広告から購入後の案内まで、台湾華語として統一しましょう。

2.媒体ごとの役割を明確にする

Google検索広告は顕在層、Meta広告は認知から獲得、YouTubeは商品理解と幅広い層へのリーチ、LINEはCRM、Threadsは話題形成とコミュニケーションなど、それぞれの役割を分けて設計します。

3.価格以外の購入理由を可視化する

日本品質だけに頼らず、機能、素材、保証、レビュー、配送日数、返品条件など、価格に見合う価値を具体的に伝える必要があります。

4.現地の決済・物流・商習慣に対応する

コンビニ受け取り、モバイル決済、EZ WAY、返品制度など、購入前後の体験がCVRやリピート率を左右します。

5.公開前に台湾人によるチェックを行う

中台関係、政治、国旗、地図、言葉遣いなど、日本人だけでは気づきにくいリスクがあります。炎上を防ぐためにも、現地視点による確認体制を整えましょう。

まとめ

台湾は日本との距離が近く、デジタル利用率も高いため、日本企業にとって比較的挑戦しやすい海外市場です。

一方で、市場規模が限られている分、消費者は複数のブランドや販売チャネルを比較しやすく、「日本ブランドだから自然に売れる」という市場ではありません。

台湾市場で成果を上げるためには、台湾華語によるローカライズ、媒体ごとの役割設計、現地のEC・決済・物流への対応、文化的なリスク管理が必要です。

さらに、日本国内に実店舗を持つ企業にとっては、台湾で商品を認知してもらい、訪日時の店舗購入や帰国後のリピート購入につなげる、オンライン・オフライン連携も大きな可能性を持っています。

世界へボカンでは、海外市場への進出に向けて、市場調査、戦略立案、Web広告運用、クリエイティブ制作、越境ECサイトの改善まで一貫して支援しています。

海外向けのマーケティングや広告施策についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

※本記事に記載した統計・サービス情報は、原則として2026年7月時点で確認できる情報をもとにしています。

 

参考資料

  • 台湾行政院主計総処「National Statistics, Republic of China(Taiwan)」
  • LY Corporation「Business Development Outside of Japan」
  • DataReportal「Digital 2026: Taiwan」
  • 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2025年12月推計値)」
  • 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年(確報)」

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