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マレーシア・シンガポールで使われるSNSと広告媒体の実態|日本の常識が通じない4つのポイント
- 2026.07.31
- 海外リスティング広告
「東南アジア向けの広告、まずはInstagramからですよね?」
そう聞かれることが多いのですが、ちょっと待ってください。マレーシアで広告が届く人数を見ると、InstagramはFacebookより700万人近く少ないです。
日本の感覚で「Instagramが定番、Facebookはもう古い」と思って媒体を組むと、東南アジアでは届くはずの人にごっそり届きません。実は、マレーシア在住の筆者のスマホに毎日流れてくる広告も、日本の常識とはだいぶ違う顔ぶれです。
この記事では、マレーシア・シンガポールのSNS事情を、日本の常識が通じない4つのポイントに絞って紹介します。広告の媒体配分を考える前に、ぜひ一度目を通してみてください。
まず数字をざっくり見てみましょう
主要プラットフォームで広告が届く人数の目安(広告リーチ推計※)はこうなっています。
|
プラットフォーム |
シンガポール |
マレーシア |
|---|---|---|
|
YouTube |
533万 |
2,360万 |
|
|
380万 |
2,300万 |
|
|
335万 |
1,610万 |
|
TikTok |
380万(18歳以上) |
― |
※各プラットフォームの広告管理画面が示す「潜在リーチ人数」の推計値です(DataReportal 2026、2025年10月時点)。実際の利用者数とは別物で、媒体によって集計方法も違うため、細かい順位競争ではなく「規模感」として見てください。詳しい注意点は記事末尾にまとめています。
あわせて覚えておきたいのが、マレーシアではインターネット利用者の90.7%がWhatsAppを月1回以上使っているという調査結果。ほぼ全員です。この数字があとで効いてきます。
ポイント1:Instagram“だけ”に頼ると外す
日本のEC事業者がInstagramを軸に置くのは、日本での実感に合っているからですよね。ただ、その前提を東南アジアにそのまま持ち込むと、リーチの取りこぼしが起きます。
上の表のとおり、両国ともFacebookやYouTubeの推計人数がInstagramを上回っています。マレーシアではFacebook 2,300万に対してInstagram 1,610万。シンガポールでもFacebook 380万に対してInstagram 335万です。推計値の粗さを割り引いても、「Instagram以外に無視できない規模の面がいくつもある」ことは読み取れます。
Instagramを使うな、という話ではありません。Instagramから設計を始める癖を、いったん疑ってみましょうという話です。そのうえで、後述するFacebookとチャットの役割を組み込むのがおすすめです。
ポイント2:マレーシアのTikTokは「若者向け」では済まない規模
マレーシアのTikTokは、広告管理画面の潜在リーチ推計が3,070万(2025年10月時点、18歳以上)。成人の実人数を上回る値なので「全員が使っている」とは言えませんが、若年層向けのニッチ媒体として扱える規模でないことは、この推計だけでも十分わかります。
この規模があるからこそ、TikTok Shopのライブコマースが「実際に売れるチャネル」として機能しています。「日本ではライブコマース流行らなかったし……」という経験だけで判断すると、市場構造の違いを見落としてしまいます。
ただ、TikTokをどう使うかは運用スタンス次第です。広告で即効性を狙うより、自社アカウントでコンテンツを育てる基盤として位置づけるほうが、両国では長く効くと考えています。
ポイント3:Facebookはまだまだ現役
「Facebookはもう古い」——日本の感覚としては妥当かもしれません。でも両国では通用しません。
マレーシアのFacebookは推計2,300万と、Instagramを大きく上回る規模。シンガポールでも380万と、こちらもInstagramより多い。Facebookを配信面から外す判断は、両国では危ういです。
さらにマレーシアではMessengerも広く使われていて、Facebookページで商品を見せてMessengerで問い合わせを受ける、という購買動線がいまも普通に生きています。
Meta広告を配信している方は、配信面の設定でFacebook面を除外していないか、一度確認してみてください。この1点だけで、届く母数が変わります。
ポイント4:チャットで買い物が終わる
先ほどの数字を思い出してください。マレーシアではインターネット利用者の90.7%が、月1回以上WhatsAppを使っています。
ここまで使われていると、買い物の相談から注文までがチャットで進む「チャットコマース」の余地はかなり大きいと考えられます。実際、東南アジアではチャットで在庫確認や注文確定まで済ませる買い方が広く知られています。「カートに入れて決済ボタンを押す」という日本のEC体験は、選択肢のひとつでしかありません。
ここで困るのが、日本のサイトをそのまま英語化したケース。問い合わせ導線がメールフォームだけになりがちです。現地の消費者から見ると、返信が翌営業日になるフォームは「反応の遅いお店」。カゴ落ち以前に、カートに入る前に離脱されています。
対応は段階的でOKです。
- WhatsApp Businessのボタンをサイトに置いて、問い合わせを受けられるようにする
- Instagram DMとMessengerの返信を運用フローに組み込む
- 「平日9〜18時、2時間以内に返信します」のように返信時間を明示する
実は3つ目が意外と効きます。返信時間が書いてあるだけで、問い合わせの心理的ハードルがぐっと下がります。自社のお客さまにどこまで当てはまるかは、まず問い合わせ導線として試して確かめてみてください。
決済も要注意:最後の1画面でお客さまを失わない
媒体でせっかく集めても、買ってもらえるかは決済で決まります。
マレーシアでは、GrabPayやTouch ‘n Go eWalletといった電子ウォレット(E-wallet)がオンライン決済の主要な選択肢です。日本のクレジットカード中心の決済設計をそのまま持ち込むと、E-walletで払いたい層が決済画面で止まってしまいます。広告費をかけて連れてきた訪問者を、最後の1画面で失う——もったいないですよね。なお、決済手段ごとの利用比率は調査や地域で幅があるので、実装前に一次統計で最新の傾向を確認するのがおすすめです。
決済の具体的な選択肢とShopifyでの実装方法は、シンガポール向けShopify越境ECの設計で詳しく扱っています。
価格への反応も日本と違います。送料無料・クーポン・タイムセールへの反応が強く、ダブルデー(11月11日、12月12日のようなゾロ目セール)が買うタイミングそのものを動かしています。
もうひとつ、KOL(Key Opinion Leader:影響力のある発信者)への依存度も高めです。日本のインフルエンサー施策より、購買判断に占める比重が大きい。ブランド公式アカウントだけで完結させる設計は、両国では機能しにくいです。
じゃあ広告設計はどう変える?
ここまでの話を、実際の設定に落とし込みます。
媒体配分
- 有料広告はInstagram広告を主要な検証軸に。ビジュアルで見せる商材と相性がよく、コピーとクリエイティブの改善サイクルを回しやすいためです
- Meta広告ではFacebook面を除外せず、あわせて配信して反応を見る。両国でFacebookの規模は大きいです
- TikTokは広告の即効性より、自社アカウントでコンテンツを育てる基盤として運用する。育ったコンテンツが広告の受け皿になります
- YouTubeやMessengerは、商材と目的に応じて補助的に追加
クリエイティブ
- 言語は英語でOK。ただしシンガポールは英語ネイティブ市場なので、英文の質がそのまま信頼度になります
- マレーシアでは、狙う民族層によって中国語・マレー語の併記が効く場面があります
- 動画は縦型を前提に
LP・決済まわり
- E-wallet対応を決済画面に入れる
- WhatsApp問い合わせボタンを設置して、返信時間を明示する
- 送料と関税の扱いを商品ページの時点で開示する
まとめ
- Instagram“だけ”に頼る設計を疑う。両国では届く範囲を自分で狭めやすい
- 有料広告はInstagram広告を軸に、Facebook面も外さず配信。TikTokは自社コンテンツの基盤として育てる
- マレーシアのTikTokは若者向けニッチではなく、無視できない規模
- WhatsAppがほぼ全員に使われていて、チャット経由の購買相談が起きやすい。問い合わせ導線をフォーム任せにしない
- E-wallet非対応だと、集めた訪問者を最後の1画面で失いやすい
媒体を決めても、受け皿のサイトが日本仕様のままでは成果につながりません。決済・通貨・配送表示の設計はシンガポール向けShopify越境ECの設計へ。どの国から入るかで迷っている方はマレーシアとシンガポールの市場比較からどうぞ。
世界へボカンでは、海外向けの広告運用を「自社コンテンツを育てながら成果につなげる」設計でお手伝いしています。東南アジア向けの媒体配分やクリエイティブのご相談、お気軽にどうぞ。
出典と数字の注意点(いずれも確認日 2026-07)
- DataReportal「Digital 2026: Singapore / Malaysia」(媒体別広告リーチ推計・WhatsApp利用率)
※プラットフォーム別の数値は各社広告管理画面の「潜在リーチ人数」の推計値で、実際の利用者数や重複を除いた実人数とは一致しません。媒体によって集計方法・対象年齢が異なるため(TikTokシンガポールは18歳以上が分母)、プラットフォーム間の厳密な順位づけには使えません。WhatsApp利用率は利用実態を尋ねた調査に基づく別系列の数字です。数値は2025年10月時点。決済手段の普及度は地域・調査により幅があるため、出稿前に一次統計(Bank Negara Malaysia等)で最新の傾向をご確認ください。
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