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ROASの目安は何倍?「損益分岐ROAS」の計算式と広告KPIの正しい決め方【越境EC編】
- 2026.09.02
- 海外リスティング広告
「ROASの目安は、おおよそ300〜400%くらいでしょうか?」
広告のご相談で、この質問を本当によくいただきます。そのたびに、少し申し訳ない気持ちで同じ答えを返しています。「御社の数字を見ないと、決まりません」と。
はぐらかしているわけではありません。同じROAS400%でも、粗利率55%の雑貨ブランドなら黒字、粗利率35%の食品ブランドなら赤字。ROASの「目安」は、会社によって本当にバラバラです。
この記事では、ネットで見かける業界平均ではなく、自社の数字から「これを下回ったら赤字」という一線を引く損益分岐ROASの出し方を、越境ECの数値例で一本通して説明します。読み終わるころには、目標ROAS・許容CPA・月予算の3つを、自分の手で計算できるようになっているはずです。
ROASとは? ROI・CPAと何が違うのか
まずは言葉の整理から。ROAS(Return On Advertising Spend)は「広告費に対して、売上が何倍返ってきたか」を示す指標です。
ROAS(%) = 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100
広告費20万円で売上80万円なら、ROASは400%。ここまでは教科書どおりです。
混同しやすい2つの指標と並べてみると、ROASの性格がはっきりします。
|
指標 |
計算式 |
見ているもの |
|---|---|---|
|
ROAS |
売上 ÷ 広告費 |
広告費が売上に化けた倍率 |
|
ROI |
利益 ÷ 投資額 |
投資が利益に化けた倍率 |
|
CPA |
広告費 ÷ 注文数 |
注文1件を取るのにかかった広告費 |
ポイントは、ROASの分子が「売上」であって「利益」ではないこと。商品原価も、決済手数料も、返品も、一切引かれていません。その為、ROASだけを見ていると、売上は立っているのに手元にお金が残らない、という状態を見逃してしまいます。
ここで、実際にあった事例をひとつご紹介します。
高級品を海外へ販売しているクライアントでのことです。広告のROASは目標を上回っていたので、こちらから予算の増額を提案していました。ところが先方の答えは「キャッシュフロー的に厳しい」。
そこで、増額したらいくら手元に残るのか、逆に現状維持だといくらの機会損失が出ているのかをシミュレーションにまとめようと、粗利率と手数料を一つずつ聞き取っていきました。
出てきたのは、決済・為替・関税の処理を包括するサービスの料率が売上の1割近くを占め、送料無料施策の負担も自社持ち、という構造でした。計算し直してみると、目標にしていたROASのすぐ手前に損益分岐点がある。広告の限界ROASを設定していたつもりが、実は損益分岐点に近い水準で回していた月もありました。
損益分岐ROASと、予算別に残る利益を表にして見せたときの反応は、「ここまで細かく出してもらったことがなかったので、だいぶクリアになった」でした。増額の話は、この表ができてから動き始めました。
業界平均ROASが「目安」にならないのはなぜ?
「ROAS 目安」で検索すると、ECは300〜400%、といった数字が数多く並びます。参考にしたくなる気持ちはよくわかるのですが、自社の目標にそのまま使えない理由が3つあります。
1つ目は、粗利率の幅です。上場企業の財務データを集計しているザイマニによると、小売業の売上総利益率の中央値は47.5%。ただしカテゴリで見ると、食品は25〜40%、アパレルは45〜65%、化粧品は50〜90%と、倍近い開きがあります。粗利率が倍違えば、赤字にならないROASも倍違います。考えてみれば当然のことです。
2つ目は、初回割引と新規比率。同じ売上でも、クーポンを配っているブランドと定価販売のブランドでは、残る利益がまったく違います。
そして3つ目が、越境EC特有の上乗せコストです。ここが最も見落とされやすい部分で、次の節で8項目に分けて見ていきます。
損益分岐ROASに織り込むべき、越境ECのコスト8項目
国内ECの感覚で目標ROASを置くと、越境ECでは次の8項目を取りこぼしがちです。どれも売上の数%ずつ。「たいしたことない」と思いたくなる数字ですが、この記事の数値例では合計15%、粗利率の3割近くを削っていきます。
1. 国際送料と遠隔地配送
国際送料は、客単価に対して15〜30%が相場です。しかも運賃表の金額で終わりません。DHLやFedExの燃油サーチャージは基本運賃の4割前後で、毎週改定されます。送料を固定費のように扱って損益分岐点を出すと、実際の請求額と必ずずれます。
購入者負担にしていても安心はできません。「$100以上で送料無料」のような施策を打てば、その分は自社負担に戻ってきます。
見落としやすいのが遠隔地配送手数料です。DHLやFedExは、都市部から離れた住所や離島への配送に、1件あたり数十ドル規模の追加料金を設定しています。米国向けに一律送料無料にしていたクライアントでは、沿岸の都市部は想定どおりの送料で収まる一方、配送インフラの薄い内陸部では、1件の送料が想定を大きく超えていました。米国の内陸部や豪州の地方都市に注文が集まる商材なら、送料の実績を配送先ごとに分けて見てみてください。
送料無料の設計そのものも、利益を左右します。金額のしきい値を設けずに全注文を送料無料にすると、単価の低い商品1点だけの注文や、かさばるわりに安い商品の注文で、送料が粗利をそのまま圧迫します。
おすすめは、送料無料ラインを現在の平均客単価より1〜2割高い金額に置くことです。ラインに届かせようと購入者がもう1点足してくれるので、設定後はそのライン付近が新しい平均客単価になるケースが多く見られます。バンドル(セット販売)をラインの少し上に用意しておくと、さらに動きやすくなります。利益率を守りながら単価を上げる、最も手軽な打ち手です。
2. 決済手数料
決済手数料は、3層で積み上がります。1層目しか見ていない方が少なくないので、順に確認してみてください。
1層目はカード手数料。Shopify Paymentsの日本向け料金(Basicプラン)は、国内カード3.55%に対して海外カード3.9%。差は0.35ポイントと小さいのですが、効いてくるのは通貨換算の手数料です。Stripeは外貨決済に2%を上乗せし、PayPalも海外取引に0.5%を加算します。
2層目は、外部決済サービスの追加手数料。現地で使われている決済手段に合わせて、東南アジアならGrabPayやPayNow、欧州ならKlarnaやiDEAL、中国ならAlipayを外部の決済サービス経由で導入すると、その決済会社の手数料に加えて、Shopify側の取引手数料が売上に対して上乗せされます。Basicプランで2%、Growで1%、Advancedで0.6%、Plusで0.2%。ローカル決済を入れるとコンバージョン率は上がりますが、手数料も二重にかかる、という構造です。
3層目が、Global-eのような越境販売の包括サービスです。マーチャント・オブ・レコード(販売主体)として、決済・通貨換算・関税の計算と徴収・返品対応までを引き受けてくれる代わりに、料率は売上に対する一定割合で設定されます。料率は個別契約で非公開ですが、カード手数料単体とは桁が違う水準になります。導入後に「売上は伸びたのに利益が残らない」という声を聞くのは、多くがこのパターンです。関税や返品の手間を肩代わりしてもらう対価として妥当かどうかは、この記事の計算式に料率を入れて確かめてみてください。
3層を合わせると、決済関連の控除は売上の4〜6%。包括サービスを使う場合は、それ以上を見ておく必要があります。
3. 関税と輸入諸税
関税は、商品のHSコードと販売国で税率が決まるため、一般化できません。DDP(関税元払い)で売るなら自社のコストに、DDU(関税着払い)で売るなら購入者の受け取り拒否や返品率の上昇に跳ね返ります。
米国向けは特に注意が必要です。2025年8月29日から、800ドル以下の少額輸入品に対する免税措置(デミニミス)が停止されました。制度は継続中で細部の変更も続いているので、関税を誰が負担するかを取引条件(DDP/DDU)と商品ページで明示したうえで、目標ROASに織り込んでください。
4. 返品と、返送時の関税
全米小売業協会(NRF)の2024年調査では、米国小売の返品率は16.9%。オンライン販売は店舗より2割ほど高い数字です。越境ECの返品率を国別に示す一次統計はありませんが、業界記事で示される一般的な相場では、アパレルで15〜25%を見込むのが現実的です。
返品は粗利を削るだけではありません。越境ECでよく聞くのが、購入者が関税のことを知らずに注文し、配達前に関税額を告げられて受け取りを拒否するケースです。この場合、返送の送料と関税を自社で負担したうえ、購入者の印象まで悪くなります。損失が二重に発生する構造です。
通常の返品でも、返送時に日本側で輸入関税や消費税が課される場合があり、往路の送料・関税は戻ってきません。返品された商品を再販できないケースまで含めると、返品1件の損失は客単価の半分を超えることも珍しくありません。返品率×返品1件あたりの損失額を、必ず控除項目に入れてください。
5. 梱包と資材
海外輸送は国内より衝撃と温湿度の変化が大きく、緩衝材や外箱を強化する分、1件あたり200〜500円の資材費がかかります。件数連動の変動費なので、売上比に直して控除します。小さな項目ですが、見落とすと確実に効いてきます。
6. 為替
現地通貨建てで販売している場合、決済から入金までの間に為替が動きます。円高に振れれば、同じ売上でも円換算の粗利が目減りします。過去1年の変動幅を見て、目標ROASに2〜3%のバッファを乗せておくのが安全です。
7. 初回割引と新規比率
初回10%オフのクーポンを配っているブランドと、定価販売のブランドでは、同じ売上でも残る利益が違います。割引率に、注文全体に占める新規顧客の比率を掛けて控除します。
8. 運用手数料と制作費
広告代理店の運用手数料、クリエイティブの制作費、多言語のカスタマーサポート費用は、プラットフォームのROASには表れません。広告費の20%前後を占める手数料を「広告費に含めて」ROASを計算し直すと、管理画面の数字より1〜2割低い実効ROASが出てきます。代理店の立場では言いにくいことですが、ここは正確に見ておくべき数字です。
8項目の外側で効いてくる、2つの費用
8項目には入れていませんが、進出先や商材によっては同じ重さで効いてくる費用が2つあります。
ひとつは不正注文とチャージバック。盗難カードによる注文や「届いていない」との申し立てで売上が取り消されると、商品と送料と決済手数料がまとめて消え、チャージバック手数料まで加わります。業界調査ではEC全体で売上の3%前後、北米向けはそれ以上と報告されています。越境は不正の標的になりやすいので、発生率×1件あたりの損失を控除項目に足してください。
もうひとつが輸入VAT・GSTの登録と申告代行です。英国は135ポンド以下の商品に免税枠がなく、初回販売からVAT登録が必要。EUのIOSS(輸入ワンストップショップ)は域外事業者に仲介者の選任が求められ、初期費用と月額の代行費用が固定費として乗ります。豪州のGSTやシンガポールの低額輸入品GSTも、年間売上のしきい値を超えると登録義務が生じます。税そのものは購入者から預かる形でも、登録・申告の代行費は自社の負担。売上規模が小さい進出初期ほど、売上比で見た重さが大きくなります。
損益分岐ROASの計算式と手順
ここからが本題です。といっても難しい計算ではなく、損益分岐ROASは次の2行で求まります。
残存マージン率 = 粗利率 − 決済手数料率 − 初回割引の影響率 − 送料・返品損失率 − 梱包費率 − 為替・関税バッファ
損益分岐ROAS = 100 ÷ 残存マージン率
「売上100円のうち、広告費に回せるお金が何円残るか」を出して、その逆数を取るだけです。ここでいう利益は、原価と注文ごとの変動費を引いた後、広告費を引いた残り(広告の貢献利益)を指します。人件費や家賃のような固定費は含めていないので、会社全体の損益分岐点とは別物として扱ってください。
では、越境ECで一般的な数字を入れて通してみましょう。客単価は、地域別ECベンチマークで米国向け約$180・アジア太平洋向け約$130という数字を参考に、20,000円(約$135)。粗利率は雑貨・アパレル帯の中央値の55%とします。
|
前提 |
値 |
根拠 |
|---|---|---|
|
客単価 |
20,000円 |
越境ECのAOVベンチマーク中央 |
|
粗利率 |
55% |
雑貨・アパレルの目安中央値 |
|
決済手数料率 |
4% |
海外カード+通貨換算 |
|
初回割引の影響率 |
5% |
10%クーポン×注文の半数に適用 |
|
送料・返品損失率 |
4% |
送料無料施策の自社負担2%+返品率15%×返品1件の損失(客単価の約13%)≒2% |
|
梱包・資材費率 |
1% |
1件200円÷客単価20,000円 |
|
為替・関税バッファ |
1% |
DDU(関税着払い)前提。DDPなら関税率を別行で加える |
残存マージン率 = 55 − 4 − 5 − 4 − 1 − 1 = 40%
損益分岐ROAS = 100 ÷ 0.40 = 250%
つまりこのブランドは、ROAS250%を下回った瞬間に、広告が貢献利益ベースで赤字になります。
同じ計算を粗利率35%の食品に当てはめると、残存マージン率は20%、損益分岐ROASは500%。粗利率70%の化粧品なら残存55%で、損益分岐ROASは182%です。
「目安は300〜400%」という通説が、食品には甘すぎて、化粧品には厳しすぎる。この差が、冒頭の「御社の数字を見ないと決まらない」の正体です。
損益分岐点が出たら、ROAS別の損益表にしておきましょう。「250%が分岐点です」と言葉で説明するより、表で見せたほうが社内の合意がずっと早く進みます。
|
ROAS |
売上に対する貢献利益率 |
広告費100円あたりの貢献利益 |
判定 |
|---|---|---|---|
|
200% |
−10.0% |
−20円 |
赤字 |
|
250% |
0.0% |
0円 |
損益分岐点 |
|
300% |
6.7% |
20円 |
黒字 |
|
350% |
11.4% |
40円 |
目標ライン |
|
400% |
15.0% |
60円 |
黒字 |
|
500% |
20.0% |
100円 |
黒字 |
※利益率 = 残存マージン率 − 100 ÷ ROAS。粗利率55%・控除合計15%の例。
損益分岐ROASから、広告KPIをどう逆算する?
損益分岐ROASで計算から決まるのは「下限」までです。そこから上に、どれだけ利益を厚くするか、どれだけの売上規模を狙うかは、事業としての判断になります。順番は「目標ROAS→許容CPA→月予算」です。
目標ROASは、損益分岐点に安全マージンを乗せて決めます。越境ECの広告では、月次のROASが2〜3割ぶれるのは珍しくありません。損益分岐250%に対して目標350%、つまり1.4倍が、検証開始時の置き方として無理のない水準です。媒体や季節性で変わるので、3か月の実績が出たら見直してください。上の表のとおり、350%なら売上の11.4%が貢献利益として残ります。
許容CPAは、客単価を目標ROASで割った値です。
許容CPA = 客単価 ÷ 目標ROAS = 20,000円 ÷ 3.5 = 約5,700円
損益分岐点の水準まで許容するなら8,000円まで使えます。その為、5,700円を超えたら黄信号、8,000円を超えたら赤信号、と2段階で管理するのがおすすめです。
月予算は、目標売上から逆算します。広告経由で月300万円の売上を狙うなら、広告費は300万円 ÷ 3.5 = 約86万円。必要な注文数は150件で、CPA5,700円と整合します。
この3つが揃って初めて、「ROASが出ているか」ではなく「利益が出ているか」で広告を評価できるようになります。
KPI設定で、よくある3つの失敗
計算式は単純ですが、運用に落とし込むと、同じ失敗を繰り返し見かけます。
目標ROASを高く置きすぎて、配信が止まる
「利益を厚くしたいから目標ROAS600%で」と設定すると、Google広告もMeta広告も入札を絞り込み、表示回数そのものが減ります。結果として、売上も利益も縮みます。安全マージンは損益分岐点の1.3〜1.5倍を出発点にして、超過分は予算拡大に回すほうが、利益の「額」は増えます。
平均ROASと限界ROASを混同する
予算を2倍にしても、ROASが同じまま売上が2倍になるわけではありません。予算を増やすほど入札単価と表示頻度が上がり、追加1円あたりのリターン(限界ROAS)は下がっていきます。増額は週単位で10〜20%ずつを目安に、増額前後の差分が損益分岐ROASを上回っているかを見ながら進めてください。
初回購入だけで損益を判断する
ここまでの計算は、初回購入の売上だけで損益分岐点を出す、最も保守的な見方です。リピート購入が見込める商材でこの見方のままだと、許容CPAを低く置きすぎて、本来取れるはずの顧客を取り逃がしてしまいます。
LTV(顧客生涯価値)を織り込む場合の考え方は、客単価を「1人の顧客が一定期間に払う累計売上」に置き換えるだけです。
LTV込みの許容CPA(損益分岐)= 客単価 × 期間内の累計購入倍率 × 残存マージン率
先ほどの例で、12か月以内に平均1.5回買う顧客層なら、20,000円 × 1.5 × 40% = 12,000円。初回ベースの8,000円から、許容CPAの上限が1.5倍に広がります。初回売上に対する損益分岐ROASで言い直すと、100 ÷(40% × 1.5)= 167%。初回ベースの250%を下回っていても、12か月で回収できる計算です。
ただし、3つの条件は守ってください。
- 累計購入倍率は、Shopifyの顧客データなど自社の実績から出す。想定値で置いた瞬間に、損益分岐点が希望的観測になります
- 回収期間を区切る。「いつか買ってくれる」ではなく、6か月か12か月で線を引く
- キャッシュフローを別で見る。LTVで許容CPAを広げるほど、広告費の支払いから回収までの期間が延びます。先ほどのクライアントが「増額はキャッシュフロー的に厳しい」と答えたのは、まさにこの点でした
リピート率の実績が出るまでは初回ベースで判断し、実績が揃ってからLTV込みに切り替える。この順番が安全です。
自社の損益分岐ROASを出すためのチェックリスト
ここまでの内容を、6つに絞りました。全部にチェックが付けば、自社の損益分岐ROASは出せます。
- 粗利率を、主力商品カテゴリごとに社内の実数で確認した
- 決済手数料に、海外カード・通貨換算・外部決済・包括サービスの料率をすべて含めた
- 送料(無料ライン・遠隔地手数料)、関税(DDP/DDU)、返品損失を1件あたりの実費で把握した
- 初回割引・梱包・為替・チャージバックなど、売上の数%ずつ効く費用を控除に入れた
- 損益分岐ROAS・目標ROAS・許容CPA・月予算を、1つの前提表から算出している
- 販売国別に残る利益を比べ、代理店手数料込みの実効ROASで判断している
最後にひとつだけ補足します。前提となる粗利率や手数料率がテーブルごとに違うと、損益分岐点が2つ出てきて社内説明が破綻します。前提は1箇所にまとめて、すべての試算がそこを参照する形にしておいてください。
まとめ
- ROASは売上ベースの指標。原価も手数料も返品も引かれていないので、「目安300〜400%」は自社の目標に使えない
- 損益分岐ROAS = 100 ÷(粗利率 − 決済・割引・送料返品・梱包・為替関税などの変動費率)。越境ECはこの控除が国内より重い
- 目標ROASは損益分岐点の1.3〜1.5倍に置き、そこから許容CPAと月予算を逆算する。リピート商材は実績ベースでLTV込みに広げる
広告費を増やして代理店の手数料が増えても、クライアントの事業が続かなければ、どちらにとっても得になりません。その為、私たちは広告の効率だけでなく事業の収益性を、クライアントと一緒に厳密に見ていくべきだと考えています。
世界へボカンでは、越境ECの広告アカウントを「売上」ではなく「利益が残っているか」の視点で診断する広告の無料診断を行っています。現在の目標ROASが損益分岐点に対して適切か、許容CPAと予算のバランスに無理がないかを、御社の粗利率と手数料をもとに算出します。運用中のアカウントでも、これから広告を始める段階でも構いません。「自社の損益分岐ROASはいくらなのか」と気になった方は、お気軽にお問い合わせください。
出典と数字の注意点(いずれも確認日 2026-08)
- ザイマニ「小売業の売上総利益率 業界中央値」(EDINET開示データの集計)
- カテゴリ別粗利率の目安: eightx.co、SSTinc の公開記事(複数ソースの一致範囲を採用)
- 地域別EC平均注文単価: Dynamic Yield ベンチマーク、BigCommerce 公開データ
- 決済手数料: Shopify 日本向け料金ページ(Shopify Payments料率・外部決済サービス取引手数料)、Stripe、PayPal の各公式料金ページ
- 遠隔地配送手数料: DHL Express、FedEx の各追加料金表(Remote Area Surcharge)
- 返品率: NRF「2024 Consumer Returns in the Retail Industry」、越境EC向けの目安は Richpanel、Commercepick の記事
- 米国デミニミス停止(2025年8月29日発効): JETRO ビジネス短信
- 燃油サーチャージ: DHL Express、FedEx の各公表値(週次改定)
- チャージバック率: Chargeflow、Ringly の業界調査記事
- 英国VAT(135ポンド以下の輸入品): GOV.UK、EU IOSS: 欧州委員会 税務・関税同盟総局
※記事中の数値例(客単価20,000円・粗利率55%・控除15%)は越境ECの一般的な相場から置いた仮の値で、特定企業の実績ではありません。粗利率・手数料率・返品率は商材と販売国で大きく変わるため、必ず自社の実数で計算し直してください。関税・税務の記述は一般情報であり、税務助言ではありません。
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