対談
Interview
この記事では、インハウスマーケターの活用戦略についてご紹介します。
【株式会社みらいマーケティング本舗 代表取締役 堀野 正樹氏】
デジタルを中心としたマーケティング領域を経験。
数多くの実績を経て、2019年に独立する。
企業のECビジネスを支援する事がライフワーク。
【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希】
日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年以上にわたり、多国籍メンバーと共に越境EC、海外BtoBマーケティングに取り組む。
越境EC企業の年商を35億→500億、14.7倍の成長を導くなど数多くの実績を残す。
Shopifyマーケティングエキスパート。
世界へボカン株式会社 徳田祐希(以下:徳田)
こんにちは、世界へボカンの徳田です!
本日は経営者が知っておきたいインハウスマーケターの活用戦略について、みらいマーケティング本舗の堀野さんにお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします!
簡単に自己紹介をお願いします。
株式会社みらいマーケティング本舗 堀野正樹氏(以下:堀野氏)
はじめまして、株式会社みらいマーケティング本舗代表取締役の堀野と申します。
私は独立して4年になるのですが、その前は本日のテーマであるインハウスマーケターとして約20年働いてまいりました。前職ではウォーターサーバーメーカーのマーケティング責任者として自分が預かっている事業を70億円に成長させた経験があります。
現在はECの専門家として、私自身が20年で培った経験をもとに、主に中小企業様の外部CMOという立場でマーケティングの戦略づくり、本日お話するインハウスマーケターの組織づくり、また、マーケティング実務の実行をご支援させていただきながら、お客様と一緒に売上アップを目指しております。
今日はよろしくお願いいたします!
徳田
お願いします。
インハウスマーケターから支援側に変わったということですね。珍しいですね。
ということは、経営者の方はインハウスマーケターさんをどう活用すれば良いか、また、インハウスマーケターさんはどのように経営者の方に情報伝達すれば良いか、といった部分でもいろいろとお話いただけるのでしょうか。
堀野氏
そうですね!そのあたりを中心にお話させていただければと思います。
徳田
この動画はマーケティング業務を内製化したい経営者の方やインハウスマーケターの方向けの内容となっております。
そもそもインハウスマーケターとはどのように定義されるものなのでしょうか?
堀野氏
おそらく世間一般では、自社のマーケティング業務を実行するためのプレイヤー、例えば社内で広告運用やサイト管理をするような人だというイメージが強いと思うのですが、私は、インハウスマーターというのは自分が実行するか否かかかわらず自社のマーケティング業務の推進を担う人材、つまり、監督としてプレイヤーを率いることができる人と定義しております。
徳田
なるほど。プレイヤーではなくて監督なんですね。
堀野氏
そうなんです。プレイヤーが全部1人でやるというのは到底難しいですし、中小企業でそれだけたくさんの人を採用するのも現実的ではありません。監督として1人真ん中にいる人を据えましょうというのが僕のインハウスマーケターの定義ですね。
堀野氏
役割については以下の通りです。
①4Pすべてに関わる「本物のマーケター」
自分たちで商品を売るためには、マーケティングで言われる4P、つまり商品(Product)・販売チャネル(Place)・価格(Price)・プロモーション(Promotion)のすべてに関わらなければなりません。これらを実行してこそ本物のマーケターと言えます。
②売上・利益につなげてナンボ
極論を言ってしまうと、インハウスマーケターは売上・利益につなげないと評価されないところがあるかと思います。
③限られた制約の中で「最適解」を見つける
ヒト・カネ・モノといったリソースが限られている中でどうやりくりするか、ですね。
④経営者からお金を引き出す
ここはとても大事なところなのですが、マーケティングを実行するためにはどうしても予算が必要になります。どのようにして経営者から予算をお預かりするかは、インハウスマーケターの腕の見せどころだと思います。
⑤チームを率いる「監督」のような存在
マーケティングに携わるいろんな人たちを牽引します。
以上がインハウスマーケターの役割だと定義しております。
堀野氏
次に、必要な資質・スキルです。
①最低限のWeb知識・スキル
WEBの知識・スキルについては、僕は最低限で良いのではないかと思っています。もちろん、まったくわからないまま広告業務を外部に丸投げするのは良くないのですが、必ずしも自分が専門家である必要はありません。ちゃんと発注ができ、やっていることの評価ができて、専門家の方と共通の言語で会話ができるぐらいのレベルであれば十分ではないかと思っています。
②プロジェクト管理
いろんなタスクが同時に進行するため、プロジェクトの管理スキルが非常に大事です。
③コミュニケーション能力
携わる方が社内外含めると非常に多いです。
④数字に強い、論理的思考力
必ずしもマーケティングに詳しい人ばかりとやりとりするわけではなく、特に社内や経営者向けには数字で語る必要があります。論理的に筋道を通した説得ができないと、うまく調整もできません。
⑤こいつに任せたら儲かると思わせる力
非常に漠然としていますが、「この人に任せたら儲かるな」と思わせる力はとても重要です。都度、稟議・承認を取って、というプロセスを踏んでいるとなかなかスピーディーに回らないのですが、「この人なら安心できるな、任せておこう」と思ってもらえると、「予算の承認と結果報告だけして、あとはもう頑張って」と任せていただくことができ、非常にスピーディーになります。そうなることができるのが理想かなと思っています。
徳田
なるほど!①~④の能力を持っていると、⑤のように彼に任せたら儲かるなと思ってもらえる、信頼してもらえるといった感じでしょうか。
堀野氏
おっしゃる通りです。結果的に⑤へ行き着けばベストですね。
堀野氏
また、いわゆる世間一般のマーケターというと広告代理店やSEO支援会社のマーケターさんのイメージが強いかと思いますが、インハウスマーケターと支援会社のマーケターさんというのは役割もやることもまったく違います。インハウスマーケターを今後活用したい経営者の方はそこを理解しておく必要があると思います。
いくつかの軸で比較します。
①役割
インハウスマーケターは先ほども申し上げた通り成果、つまり売上利益がゴールになります。対して、支援会社のマーケターは与えられた業務(SEO、広告運用など)をしっかりと遂行することが役割となります。
②ゴール
目指す数値目標に関しては、インハウスのマーケターにとって事業はずっと続きますので中長期視点が必要です。売って終わりではなく、そこからリピートしてもらってライフタイムバリューを最大化することがテーマとなります。支援会社さんの場合は短期的にコンバージョンを取っていったり、特定のKPIを目指すといったゴールが一般的には多いです。
③業務内容
インハウスマーケターはマーケティング業務を「任せる」人であり、支援会社のマーケターはマーケティング業務を「実行する」人というイメージです。また、インハウスマーケターは自社のみに注力し、支援会社のマーケターは複数社を担当するという特徴があります。
④人材
数としては、インハウスマーケターという市場がまだまだ確立されておらず、正確な数はわかりませんが非常に少ないと認識しています。それなりに大きな企業でも、専門のマーケターが社内にいないということもよくあります。支援会社のマーケターさんはキャリアパスもできあがってきていますし、潤沢ではないものの比較的多いのではないかと思います。
こういった違いがあるということを経営者の方、事業責任者の方は理解しておくと良いのではないでしょうか。
徳田
なるほど。インハウスのマーケターは、支援会社のマーケターとは役割が全く異なっていて、端的に売上を伸ばすというよりは、中長期的にリピートしてくださるお客さんを掴んだり、ブランドを守るといった役割になるんですね。
堀野氏
そうなんです。僕自身もずっとインハウスマーケターをやっていましたので、自分が逆の立場になったとき、まったく違うものだなと強く感じました。
徳田
僕らが海外向けのWEBマーケティングをやらせていただく際に、社内にインハウスのマーケターさんがいらっしゃるかどうかで、成果の出るスピード感やいただける情報も変わってきます。インハウスの方と一緒にやらせていただいたり、徐々にお渡ししていって足りない部分を僕らで支援させていただく形の協力関係というのが、うまくいっているケースが多いなというふうには感じてますね。
堀野氏
やはり外部からできる支援には限界もあります。中にしっかりとした方が1人でもいらっしゃると全然違いますよね。
徳田
経営者の方とインハウスマーケターの方の間に課題はありますか?
堀野氏
僕自身の実体験として、経営側と現場側、つまりインハウスマーケターとの間には大きなズレがあると思います。
堀野氏
経営者側としては、社内に優秀なマーケターを置きたいものの、人材を見つけることが難しかったり、良い人がいても高い給料を払わなくてはならなかったりします。また、採用できたとしても、教えられる人がいないため教育が難しかったり、優秀な人ほど離職して次のステップに行ってしまうという現状があります。
そのためなかなか優秀なインハウスマーケターを採用できず、結果的に、社内の若手でWEBに強い人にお願いするというケースが非常に多いです。
徳田
確かに、これはよくありますよね。
経営者の方がマーケティングを理解していないとインハウスの方も不安になりますし、セールスが強い会社ですとインハウスの方が頑張っていてもなかなか評価されません。そのため、キャリアを考え離職してしまい、結果、マーケティング業務が円滑に進まなくなってしまいます。これは会社としてもリスクになりますから、このあたりの関係を良くしていく必要がありますよね。
堀野氏
本当に、マーケティングについて経営者が正しい評価をできないというのは、大きな問題ではないかと思っています。
徳田
このような場合、経営者側とインハウスマーケター側の両方の視点を持たれている堀野さんはどうされてるんですか?
堀野氏
まずインハウスマーケター側の課題についてお話してから、僕の支援についてご説明いたします。
堀野氏
先ほどお話ししたように、インハウスマーケターはマーケティング以外にもやることが非常に多く、僕自身も社内調整などに多くの時間を割いていました。また、会社の規模が小さいほどリソースが限られていますので、ヒト・カネ・時間を捻出することが難しくなります。加えて、社内の理解がなく、「何かよくわからないことをしている一人部署」のようなポジションになってしまうことも多いです。特に若手ですと、相談できる相手もおらず孤独に陥ってしまいます。
僕が課題だと感じているのは、若手がズバッとものを申すことができていない点です。例えば、僕が経営者の方から「1億円の事業を5億円にしたい」と相談されたら、「一緒に頑張りましょう。ただし、分析の結果、それを実現できるのは3年後で最初の2年は赤字になりますけれど、それでも実行する覚悟はありますか?」といった説明をします。
社内の若いインハウスマーケターがそれを言えるかというと、なかなか言えないというのが現状です。手持ちの材料でなんとか頑張るものの、思ったほどの成果が出ないため評価されずモヤモヤしてしまう、というギャップが、日本中いたるところで起こっているのを肌で感じています。
そこで、僕が両者の潤滑油となり、経営者の思いをどう咀嚼して現場に伝えればよいのかを提案したり、現場の苦しい状況を伝えつつうまく軌道修正したりと、間に入ってコンサルティングを行いながら、一緒にゴールへ導いていくようなご支援をさせていただいています。
徳田
なるほど。経営者はしっかりとインハウスマーケターさんを理解しなければなりませんし、インハウスマーケターさんは経験値が浅いため言いたいことを言えませんから、堀野さんのように潤滑油として両者の立場に立ってものを申せる人が必要なんですね。インハウスマーケターを徐々に育てつつ体制を整えていくようなイメージでしょうか。
堀野氏
そうですね。本当におっしゃる通りです。
特に現場の方は、人生相談ではないですけど、マーケティング以外のいろんな悩みを抱えてらっしゃるので、ポジティブに仕事ができるような環境づくりもお手伝いしています。経営者の方も、マーケティングがよくわからないということで、僕が代わりに言語化して具体的な数値目標に落とし込み、それを元に現場の方と一緒に進めていくこともあります。
両者を経験した者でないとなかなかできない部分かと思うのですが、そういった潤滑油としてのご支援に非常に価値を感じていただいております。
徳田
マーケティング業務をインハウスマーケターを使ってやっていこうと思っていらっしゃる経営者の方は絶対に知っておくべき情報ですね。
堀野氏
こういった情報はネットで調べてもなかなか出ていなかったりします。「広告で集客しましょう」みたいなものはよくあると思いますが。
徳田
なるほど。
今回はインハウスマーケターと経営者のそれぞれの課題についてお話いただきましたが、次回はインハウスマーケターが成功するためは実際にどんなことをやらなくてはならないのかを伺えればと思います。
貴重なお話いただきありがとうございました!
堀野氏
こちらこそどうもありがとうございました!
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