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LinkedIn広告ターゲティング完全ガイド:理想のターゲットに確実にリーチする方法
- 2025.05.20
- 海外リスティング広告

はじめに:海外進出を目指す日本企業のために
海外におけるB2Bマーケティングでは、正確なターゲティングと高品質なリード獲得が成功の鍵を握ります。その中でもLinkedIn広告は、ビジネスパーソンをターゲットにできる強力なツールとして非常に有効です。
本記事では、LinkedIn広告を最大限に活用し、理想のターゲットにリーチするための実践的なターゲティング手法を詳しく解説します。
LinkedInが他のSNSと異なる点とは?
FacebookやInstagramなどの一般的なSNSは、ユーザーのプライベートな関心事や趣味を中心に展開されていますが、LinkedInはビジネスに特化したSNSです。会員の職種、役職、業界、スキルなど、仕事に関する詳細な情報をもとにターゲティングできる点が大きな強みです。
このような特徴により、LinkedIn広告はB2Bマーケティングにおいて特に高い効果を発揮します。
LinkedIn広告の費用は他のプラットフォームとどう違う?
LinkedIn広告は、他のSNS広告に比べて費用が高めです。ですが、その分ビジネスの意思決定者や専門職の人たちにアプローチできるという強みがあります。
以下は、主な広告プラットフォームごとの平均クリック単価(CPC)とインプレッション単価(CPM)の比較です:
広告プラットフォーム |
平均CPC(クリック単価) |
平均CPM(1,000回表示の単価) |
|
約$2.00〜$3.00 |
約$5.01〜$8.00 |
|
約$0.26〜$0.50 |
約$1.01〜$3.00 |
Google 広告 |
約$0.11〜$0.50 |
約$0.51〜$1.00 |
|
約$0.01〜$0.25 |
約$0.01〜$4.00 |
Microsoft 広告 |
約$1.54 |
約$2.00〜$6.00 |
|
約$0.01〜$0.10 |
約$0.01〜$1.50 |
TikTok |
約$1.00 |
約$10.00 |
YouTube |
約$0.11〜$0.40 |
約$9.68 |
X(旧Twitter) |
約$0.26〜$0.50 |
約$6.50 |
LinkedInは、FacebookやInstagramなどと比べて広告の費用が高めですが、YouTubeやTikTokのような特定層をターゲットにした広告と同じくらいの価格帯になっています。
LinkedIn広告は「会社の決定権を持つ人」「専門的な知識や役職を持つ人」に届きやすいため、価格が高くても効果的な結果(ROI)につながりやすいのが特徴です。
特に、法人向けの商材(B2B)や高価格の商品・サービスを扱っている企業にとっては、費用をかける価値がある広告媒体と言えるでしょう。
LinkedIn広告の主なターゲティング戦略
1. オーディエンスの規模
LinkedIn広告の配信には最低300人以上のオーディエンスが必要です。しかし、広告の種類によって推奨される規模は異なり、
- スポンサードコンテンツ:30万⼈以上
- テキスト広告:6万〜40万人
が推奨されています。
ただし、ニッチな市場を狙う場合は、この規模に満たないことも多くあります。私たちの経験では、3万〜10万人のオーディエンス規模が成果を出しやすい「スイートスポット」です。
2. 地域設定(ロケーション)
LinkedIn広告のターゲティングは、まず「地域の選定」から始まります。この設定は必須項目です。
以下の2種類のアプローチがあります:
- 広域ターゲティング(国全体や州単位)
- 狭域ターゲティング(特定の都市や都市圏)
ターゲットが北米中心であれば、「アメリカ合衆国」や「カナダ」を選びます。
グローバル市場を相手にする場合は、地域別にキャンペーンを分けることが推奨されます。例えば:
- 北米
- ヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)
- アジア太平洋地域(APAC)
国によってパフォーマンスが異なることも多いため、国ごと、あるいは言語ごとに細分化するのも有効です。
逆に、地域密着型のビジネスであれば、州や都市に絞って配信することで効果を高められます。
また、次のような設定も選べます:
- 最近訪れた場所または定住する場所
- 定住する場所
多くの場合、「定住する場所」を選ぶのが無難ですが、例えばサンフランシスコでイベントを展開する企業であれば、「最近サンフランシスコに訪れた」イベントプランナーを狙うといった設定も有効です。
3. 企業情報を活用したターゲティング
LinkedInでは企業に関連する以下の3項目でターゲティングが可能です:
- 企業規模(従業員数)
2. 業種
3. 企業名
1. 企業規模
企業は1人会社から1万人以上の大企業まで、従業員数で分類されています。自社にとって理想的な顧客企業の規模に合わせて絞りましょう。
売上規模でのターゲティングは、LinkedInの標準機能にはありません。担当営業と相談することで、個別対応が可能な場合もあります。
2. 業種
LinkedInの業種カテゴリは比較的ざっくりしており、どの業種に属するか明確でない企業も多く存在します。
もしターゲット企業が明確に特定の業種に属していれば、それを設定して問題ありません。そうでなければ、業種の絞り込みは行わずに進めるのが賢明です。
3. 企業名
1つのキャンペーンで最大200社まで企業名を直接指定可能です。
「200社も入力するのは大変では?」と思われるかもしれませんが、入力を始めるとLinkedInが候補企業名を補完してくれるため、効率的に設定できます。
■ ABM戦略として企業リストをアップロード
あらかじめリストアップした企業群をCSVファイルでアップロードすることで、手入力なしでターゲティング可能です。リストが200社を超える場合にも非常に便利です。
注意点として、指定した企業に勤務するユーザーが300人以上に満たない場合は配信できないため、対象企業の規模と従業員数に注意が必要です。
4. 個人の属性によるターゲティング
LinkedInでは、個人に関する詳細な属性でもターゲティングが可能です。
- 職種(Job Function)
- 職位(Job Title)
- 役職レベル(Seniority)
- 学歴(Education)
- スキル(Skills)
- 所属グループ(Groups)
■ 職種と職位
「営業部長」や「事業開発ディレクター」など、同じ役割でも会社によって職名が異なることがあります。そのため、具体的な職位が明確な場合は「職位」で、そうでない場合は「職種」での設定が推奨されます。
■ 役職レベル
意思決定者へのアプローチが重要な場合、「役職レベル」での絞り込みが非常に有効です。ただし、対象が限られるため、クリック単価(CPC)が高くなる傾向があります。
■ 学歴
「出身校」「専攻分野」「取得学位」などでのターゲティングも可能ですが、入力していないユーザーも多く、オーディエンスが極端に絞られるため、慎重に使いましょう。
■ スキル
プロフィールに記載されたスキルや職歴から自動抽出されたキーワードでの絞り込みが可能です。職種や役職レベルと組み合わせることで、精度の高いターゲティングが可能になります。
■ グループ
LinkedIn上のディスカッション・グループへの参加状況からターゲットを抽出できます。マーケティングやITなど、業界特化型グループの活用が効果的です。
5. 連絡先リストによるターゲティング
既にCRMやメーリングリストをお持ちであれば、その連絡先リスト(メールアドレス)をアップロードして、該当ユーザーに広告を配信できます。最低1万件、最大30万件までアップロード可能です。
6. ターゲットを絞り込みすぎない
精密なターゲティングは効果的ですが、あまりにも絞り込みすぎると広告配信の規模が小さくなりすぎ、CPCが高騰する可能性もあります。
初期キャンペーンでは5万人以上のオーディエンスを目安に設定し、データを収集してから最適化を進めましょう。2万人以下の場合、クリック数が少なく検証しにくくなることがあります。
7. A/Bテストによる最適化
LinkedIn広告では、常にテスト&改善が成功の鍵となります。
例:
- 同一広告で「職位ベース」と「職種+スキルベース」の2パターンをテスト
- 配信期間は最低2週間または200クリックを目安に
テストの履歴と結果を記録し、次のキャンペーンに反映させていくことが重要です。
まとめ:LinkedIn広告は海外展開の強力な武器になる
LinkedInは他のSNSとは一線を画す、ビジネス向けのプラットフォームです。ターゲティングの選択肢が豊富で、精度の高いリード獲得が可能です。
本記事で紹介したターゲティング手法を活用すれば、貴社の製品やサービスに最も関心を持つ、意思決定層に確実にリーチできます。
私たちのような海外展開支援を行う日本のマーケティング会社にとって、LinkedIn広告は最適なB2Bマーケティング手段のひとつです。世界市場への一歩を、LinkedInから始めてみませんか?
※本記事は以下の資料を参考にしています。
https://neilpatel.com/blog/linkedin-ads-prices/#refine-your-targeting
https://www.commonmind.com/blog/linkedin-ads-targeting
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