海外マーケティングブログ

越境ECの関税は誰が払う? DAP・DDPとデミニミス廃止後の値付け・広告

越境ECの関税

執筆者

北村 翔吾

プロフィール詳細

マレーシアに留学後に自動車輸出会社で海外営業担当をしたのち、世界へボカンにジョイン。
広告運用チームでFacebook広告、Google広告、インフルエンサー施策、アフィリエイト施策など幅広いプロジェクトに携わっている。

越境ECを始めるとき、送料や決済、翻訳は調べれば手順が出てきます。ところが関税だけは、調べるほど答えが散らばります。「誰が払うのか」「いくらかかるのか」「価格に入れるのか」に、配送会社とカートのヘルプと制度解説がそれぞれ違う角度から答えていて、結局「あとで考える」になりやすい項目ではないでしょうか。

2025年8月まで、米国向けは関税を後回しにしても問題になりませんでした。800ドル以下の荷物に関税がかからないデミニミス(de minimis・少額免税)があったからです。それが2025年8月29日に止まり、EUも2026年7月から1品目ごとの課金を始めました。日本から米国やEUの個人へ送る小口の荷物には、いま「ほぼ全員に」関税がかかります。

この記事では制度の説明を必要な分にとどめ、「自分のサイトで何を決めるか」の順番で進めます。先に結論を3つ。免税枠が戻る前提で設計しない。売り手が関税を先に払うDDPにするか、買い手が受け取り時に払うDAPのままにするかは、決め方を1つに固定せず、販売のフェーズで決める。広告は関税の扱いを先に見せる設計に直す。順に見ていきます。

デミニミス(de minimis)とは? なぜ越境ECの前提だったのか

デミニミスは、一定金額以下の輸入品について関税と通関手続きを免除する仕組みです。米国は800ドル、EUは150ユーロ、英国は135ポンドが、その線でした。

客単価1〜3万円の商品を1点ずつ海外の個人に送る自社ECは、「買い手に関税の請求が行かない」「通関で止まらない」という2つの前提の上に成り立っていました。日本の販売価格をそのまま海外に見せられたのも、この枠があったからです。関税そのものの定義は「関税とは」の記事に譲ります。

免税枠はどう消えたのか? 米国・EU・英国の時系列

時期

地域

出来事

2025年8月29日

米国

800ドル以下の免税を、全世界・全輸送手段(国際郵便を含む)で停止

2026年2月20日

米国

IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税を否定した最高裁判決を受け、同日の大統領令で免税の停止だけは継続

2026年6月24日

米国

停止を無期限とする規則を官報に掲載

2026年7月1日

EU

150ユーロ以下の免税を終了。1品目あたり3ユーロの暫定関税(2028年7月1日まで)

2026年7月13日

英国

政策文書「遅くとも2028年10月までに免税を撤廃」(法案は草案段階)

2026年7月24日

米国

国際郵便にも通常の関税。日本原産品はMFN(通常関税)と301関税の合計上限12.5%

2026年11月1日(予定)

EU

1品目あたり2ユーロの取扱手数料(欧州委員会の発表。官報掲載は執筆時点で未確認)

2027年7月1日

米国

法律(P.L.119-21)で商業貨物の免税を恒久的に廃止

「いつか戻るのでは」と期待して据え置きたくなる気持ちはよくわかります。ただ、この表は一方通行です。米国は法律で2027年7月の廃止が決まり、EUは3ユーロの暫定関税に加えて、恒久の取扱手数料も予定しています。

いま日本から送ると、関税はいくらかかるのか?

米国。2026年7月24日から、日本原産の商品(日本から送っても原産国が別なら対象外)はMFN(通常の関税率)と301関税(通商法301条に基づく追加関税)の合計に12.5%の上限が置かれています。MFNが12.5%未満の品は合計で12.5%、それ以上の品(綿Tシャツ16.5%、繊維アッパー(甲が布)のスニーカー20%など)はMFNの率のままです。

「日本製品はほぼ12.5%」と言い切れないのはこの為で、鉄鋼・アルミなどの232対象品(通商拡大法232条で別枠の関税がかかる品目)も別枠になります。

米国への郵便。日本郵便は2026年10月15日から、米国宛ての郵便物を原則すべての郵便局で引き受けています。ただし2,500ドル以下の商品は、金額にかかわらずZonosかSafePackage(日本郵便が案内する認定事業者)で事前申告と関税の事前払いが必要です(2,500ドルは郵便で簡易に申告できる上限で、免税枠ではありません)。郵便で商品を送るなら、関税は売り手が先に払うのが標準になった、と理解してください。

EU。7月1日から、150ユーロ以下の荷物に1品目(申告行)あたり3ユーロがかかります。「品目」は関税分類と品名が同じものを1つと数えるので、Tシャツ5枚なら3ユーロ、Tシャツと時計なら6ユーロになります。11月1日からはこれに2ユーロの取扱手数料が乗る予定で、150ユーロ超の注文にもかかり、返金されません。IOSS(VAT=付加価値税の一括納付)を使っていても、この2つは別にかかります。

英国。135ポンド以下は英国VATを売り手が販売時に徴収する、従来どおりの運用です。関税の免除は2028年10月までに撤廃する方針が出ていますが、形はまだ決まっていません。

自分の商品の関税率を5分で調べる手順

「で、うちの商品はいくらなのか」が最初の疑問だと思います。米国向けなら次の4手順で出ます。

  1. 商品のHSコード(世界共通の品目番号・6桁)を確認する。輸出インボイスに書いた番号か、税関の品目分類事例で引けます
  2. 米国の関税率表 HTS(hts.usitc.gov)でその番号を検索し、「General」列の率を見る
  3. その率が12.5%未満なら実効率は12.5%、12.5%以上ならその率(232対象品は別途確認)
  4. EU向けはTARIC(EUの関税率データベース)で同じ手順。ただし150ユーロ以下の通販は率ではなく「3ユーロ+2ユーロ(11月から予定)」の定額

関税を「誰が」「いつ」払うかで、売上はこう変わる

DDPとは? DAP(着払い)との違い

同じ12.5%でも、誰がいつ払うかで買い手の体験と売り手の損失は変わります。用語を2つだけ。DAP(着払い)は、買い手が受け取り時に関税と配送会社の手数料を払う方式です。DDP(関税込み)は、売り手が事前に関税を払い、買い手には配達時の請求が行かない方式です。

ここで、実際にあった話をひとつ。

海外へ商品を販売しているあるクライアントでのことです。着払いで送っていた時期、配送会社によって買い手の体験が違いました。DHLは配達の前か配達時に関税を徴収し、原則として支払いが済むまで荷物を渡しません。FedExは配達後に請求書が届く形が基本で(アカウントのない個人宛てでは配達前に支払いを求められることもあります)、買い手が払わなければ最終的に送り主が負担します。

先方からの質問は「払ってもらえなかった分は、どうなるのでしょうか」でした。約款を確認してお答えしたのは、「どちらの会社でも、売り手に戻ってきます」です。

DHLの約款には、受取人が受け取りや関税の支払いを拒んだ場合、荷物は荷送人の費用で返送され、未払いの関税は荷送人が負担する、と書かれています。FedExの案内も「the shipper is ultimately liable(最終的な責任は荷送人にある)」です。受取拒否が1件出ると、売上の返金、往復の送料、関税と手数料の3つが重なります。

受取拒否に至らなくても、追加費用は離脱の理由の上位にあります。Baymardの最新調査(2025年更新)では、カートを放棄した理由(見ていただけの人を除く)の1位が「追加費用(送料・税・手数料)が高すぎた」で40%でした。関税は買い手にとって便益のない費用で、想定外であるほどこの「追加費用」に数えられやすい項目です。

ではDDPにすればよいのかというと、始めたばかりの事業者には別の答えがあります。

DDPにすべきかは、販売のフェーズで決める

最初からDDPにできれば、買い手の体験としては最も整います。ただ、始めたばかりの段階でDDPにこだわる必要はない、というのが私たちの考えです。検証期は「DDPにしなくても売れるか」を確かめ、売れ始めたらDDPに切り替える。この2段階をおすすめします。

理由は、DDPには準備と、注文ごとの手数料があるからです。全商品に正しいHSコードを付け、DDPラベルに対応した配送業者と契約し、Shopifyの「関税と輸入税」をオンにすると注文ごとに手数料(2025年2月から一時的に0.5%)がかかります。見積もった関税と実額の差は売り手の負担で、返品されても関税は原則戻りません。

売れるかどうかわからない段階でこれを全部そろえるより、まず注文が入るかを見る方が早い、ということです。

なお、DDPとDAPの購入率を比べた公開データは見つかっていません。ここから先は、制度と料金の事実をもとにした実務上の推奨です。

検証期(DDPなし)で守る条件3つ

1つ目は配送手段です。着払いで送れるのは、DHL・FedEx・UPSなどのクーリエ(国際宅配便)です。日本郵便は2,500ドル以下の商品に関税の事前払いを求めるので、EMSで送るなら実質的にDDPになります。

2つ目は、関税がかかることを先に見せることです。商品ページ・カート・注文確認メールに、”Import duties and taxes are not included and will be charged by the carrier on delivery (approx. 12.5% of the item price for US orders).” のような一文を置きます。

先に言っておけば、玄関先の請求は買い手にとって「知っていた費用」になります。

EU向けでは、これは礼儀ではなく義務です。EUの消費者権利指令は域外の売り手に、輸入VAT・関税・通関費用がかかりうることを知らせるよう求めています。知らされなかった費用は消費者が払わなくてよい、とまで書かれています(第6条6項)。

3つ目は、件数が少ないうちに限ることです。着払いの損失は1件ずつ発生するので、月に数件の段階では痛手が限られます。件数が増えれば負担も増えていき、前の節で見た3つの損失が、そのまま切り替えの理由になります。

DDPに切り替えるサイン

何件売れたら、という線は商材と単価で変わるので引きません。代わりに、次のどれかが出たら切り替えどきです。

  • 受取拒否や返送、「関税を請求された」という問い合わせが出始めた
  • Googleショッピング広告やMeta広告を始める(玄関先で失った注文は、広告費まで回収できません)
  • EU向けを足す(3ユーロと、11月から予定の2ユーロの定額は、低単価ほど重くなります)
  • HSコードが全商品にそろった
  • ギフト需要が見えてきた(受取人に請求が行く設計は成り立ちません)

検証期でもDDPを先に入れる商材

表の手数料は、次の節の前提表と同じ仮の値です。

商材

理由

低単価(1点40ドル前後まで)

受取人側の手数料17.50ドルが関税(5ドル)を上回り、買い手が玄関先で見る請求が商品価格の半分を超える

ギフト・高額品

受取人に請求が行く。高額ほど玄関先の請求も大きい

EU向けの多品目注文

3ユーロが申告行ごと。11月からの2ユーロを含めると5品目で25ユーロ

郵便で送る2,500ドル以下の商品

制度上、関税の事前払いが必要

前提表と、3パターンの計算

ここからの計算は、すべて次の前提表を使います。数字は説明のための仮の値で、実際の料金は配送契約と為替で変わります。

項目

値

商品価格

20,000円 ≒ 130ドル(1ドル=154円で換算した例示)

粗利率

55%(粗利 ≒ 71.5ドル)

仕向地・関税

米国・12.5%(≒ 16ドル)

売り手側のDDP手数料

≒ 17ドル/件(配送会社の関税立替・手続き手数料。2026年の公表料金の最低額を参考にした仮の値)

受取人側の手数料

≒ 17.50ドル/件(着払いで配達時に配送会社が買い手に請求。DHL・FedExの2026年の公表料金の最低額を参考にした仮の値)

Shopifyの関税計算手数料

0.5%(≒ 0.65ドル)

関税の16ドルと手数料の17ドルが、ほぼ同額です。これがこの表で最も見てほしい点で、低単価になるほど関税より手数料が効いてきます。

パターン

買い手が払う総額

売り手の粗利率

受取拒否のとき

A 関税込み・価格据え置き

130ドル

約29%(71.5−16−17−0.65 ≒ 38ドル)

返品時も関税は原則戻らない

A 関税込み・価格に転嫁

約169ドル

約42%(粗利額71.5ドルを維持)

同上

B 関税は別行(DDP)

146ドル(130+関税16)

約41%(商品売上130ドルに対して。71.5−17−0.65 ≒ 54ドル)

同上

C 着払い(DAP)

購入時130ドル+配達時約33.50ドル(関税16+手数料17.50)

55%

売上130ドルの返金+往復送料+関税と手数料が売り手に請求

Aで粗利額を保とうとすると、表示価格は約169ドル、3割の値上げになります。関税は12.5%なのに3割上がるのは、上げた価格にも関税がかかり、手数料が固定で乗るからです。Bなら買い手が見る総額は146ドルで、売り手の粗利率は41%に収まります。Cは粗利率を保てますが、受取拒否が1件出ると、往復の送料と関税・手数料が持ち出しになります。

DDPに切り替えたあと、関税込みにすべき商品と別行で見せるべき商品は違う

DDPに切り替えると、次の分かれ道が来ます。関税を価格に含めて見せるか(A)、チェックアウトで別の行として見せるか(B)。Shopifyでは市場ごとに「Duties included in price」と「Show as line item」を選べます。

私たちの既定はBです。理由は3つあります。

1つ目は、総額を最初から見せると購入が減った実験があることです。StubHubが2015年に米国で行った実験では、手数料込みの価格を最初から見せた群は購入率が下がり、チェックアウトで手数料を足した群の方が約21%多く使いました。手数料は価格の約15%、競合は後出しのまま、という条件付きの結果です。

2つ目は、Googleのフィードの価格ルールが関税込みの売価と相性が悪いことです。ヘルプには「輸入費用を価格に入れない」と「ランディングページと一致させる」が並び、関税込みの売価にするとこの2つを同時に満たせません。

3つ目は、別行でもチェックアウトで総額を見せれば、後出しへの不信を避けやすいことです。Bは「価格は据え置き、関税は別の行、商品ページで先に予告」の3点セットで成立します。

関税込み(A)に向く商品の4つの軸

軸

Aが向く

Bが向く

相場が外から見えるか

日本にしかない商品、独自企画品、中古ブランド品のように状態で価格が変わる商品

同じ商品が並行輸入店やeBay・Amazonにも並び、買い手が価格を検索して比べられる商品

ギフト・高額品

向く(受取人に請求が行かない設計を徹底する)

—

返品率

—

衣料・靴など返品が多い商品(「関税は返金しない」を別行で明示しやすい)

仕向地

EU・英国(税込みの総額表示と、輸入費用の事前告知が求められる)

米国(強制なし)

関税額の比率そのものは、判断材料にしません。価格表示の研究をまとめた分析(Abraham & Hamilton 2018)では、上乗せ額の大小よりも「その費用が普通は別建てか」「総額も一緒に示されるか」の方が購入に影響する、と報告されています。

1つ目の軸の「相場が外から見えない商品は、関税込みでも売れる」は、私たちが現場で感じている仮説です。裏付けはGoogleの価格ルールの構造と上の実験の2つで、関税込みと別行を直接比べた検証はまだありません。比較される商品ほどBが安全、という方向で読んでください。

実例を1つ。日本のデニム専門店Denimioは、米国向けを関税込みで運用し、”The price you see at checkout already includes duties and import taxes.” と明示しています。

同じページで “Customs, duties, and taxes are non-refundable.” とも書いていて、関税を返さない方針をAの運用でも先に伝えています。

日本原産の代表カテゴリで見ると

カテゴリ

MFN率

日本原産品の実効率

傾向

判定

緑茶

無税

12.5%

低単価・消耗品・比較相手が少ない

A

醤油・調味料

3% / 6.4%

12.5%

低単価・多品目(EUは行ごとに3ユーロ)

A

化粧品

無税

12.5%

有名ブランド品は並行輸入品と価格を比べられる

B(日本限定品はA)

綿Tシャツ

16.5%

16.5%

返品が多い

B

スニーカー(繊維アッパー・12ドル超)

20%

20%

返品・比較とも多い

B

陶器・磁器

9.8% / 20.8%

12.5% / 20.8%

一点物・ギフト

A

包丁

0.8セント/本+4.6%

12.5%(推定)

高単価・日本ならでは

A

フィギュア

無税

12.5%

同じ商品がeBay・Amazonに並び価格を比べられる

B

ジュエリー(金 / 銀)

5.5% / 5%

12.5%

高単価・ギフト

A

緑茶と包丁は、301関税の除外品や232の派生品に当たるかが未確認のため、率は目安です。陶器・磁器とジュエリーは価格帯やセットの有無で区分が変わるので、自社の商品はHTSで引き直してください。見てほしいのは「傾向」の列です。MFNが低い日本の商品の多くは12.5%に並ぶので、分かれ目は比較されやすさ・単価・ギフト・返品にあります。

EU向けは、もう1つ計算があります。3ユーロと2ユーロ(11月から予定)は1品目ごとの定額なので、1点115ユーロの商品なら商品代金の約4%、15ユーロの調味料5種なら75ユーロに対して25ユーロ、約33%です。低単価の多品目が最も痛く、ここはAで価格に吸収する方が買い手には見やすくなります。

広告側で直す3点

1. Googleショッピング: フィードに関税を入れず、サイトで先に言う

Google Merchant Centerの価格ルールは、「輸入・輸出に関する費用を価格に含めない」「価格はランディングページ・チェックアウトと一致させる」「輸入関連の費用がかかる場合はサイト上で目立つように明記する」の3つです。

Bなら、関税はチェックアウトで別行、サイトに “Duties and taxes are calculated at checkout.” を明記する、でこの3つを同時に満たせます。

Aにすると、フィードの価格を関税込みの販売価格に合わせるしかなく、関税抜きで出す競合より高く並びます。購入が減るかは未検証ですが、Bを既定にするもう1つの理由です。

2. 広告コピー: 「送料無料」より「追加請求なし」

Meta広告や検索広告の関税表示について、公式な要件は今回の調査では見つかりませんでした。ただ、離脱理由の1位が追加費用である以上、”Duties included” や “No surprise fees at delivery” は安心材料になります。DDPに切り替えたタイミングで広告文も変え、検証期(着払い)の間は関税込みと受け取られる表現を避けてください。

3. 目標ROAS・許容CPAの引き直し

前提表のとおり、関税の扱いで粗利率は55%から41%(B)や29%(A・価格据え置き)に変わります。ほかの控除を無視し、粗利率を整数に丸めた概算でも、損益分岐ROASは182%から244%、345%に上がります。

値付けを変えたのにROAS目標を据え置くと、黒字のつもりで赤字の月が出ます。計算の手順は「損益分岐ROAS」の記事にまとめています。

関税分を価格に乗せたあとにCVRが落ちたら、広告の限界と決める前に、AかBかを見直してください。

この計算は、御社の単価・粗利率・配送契約に置き換えると答えが変わります。記事末の無料診断で、御社の数字で一緒に出せます。

公開前のチェックリスト10項目

  1. 主力商品のHSコードを確認し、米国HTSで率を引いた
  2. 「2,500ドル」を免税枠と誤解していない(郵便の簡易申告の上限です)
  3. EUの3ユーロは申告行ごと、11月から予定の2ユーロは品目ごと、IOSSを使っていても別にかかる、と理解している
  4. いまのフェーズが検証期か拡大期かを決めた
  5. 検証期なら、先にDDPを入れる商材に当たらないことを確かめ、配送はクーリエの着払いにしている(郵便は2,500ドル以下の商品なら事前払い)
  6. 商品ページ・カート・注文確認メールに、関税がかかることを英語で明記した
  7. 切り替えのサイン(受取拒否・広告開始・EU追加・HSコード完備・ギフト需要)のどれが出ているか把握している
  8. 関税込み(A)か別行(B)かを、商品ごとに4軸で決めた
  9. 返品ポリシーに「関税・輸入税は返金しない」を書いた
  10. 新しい粗利率で損益分岐ROASと許容CPAを引き直した

まとめ

デミニミスの廃止で変わったのは税率ではなく、「関税を誰がいつ払うか」を売り手が設計する必要が出たことです。検証期は着払いでも構いませんが、関税がかかることは先に言う。売れ始めたらDDPに切り替え、比較される商品は別行、相場の見えない商品やギフトは関税込み。広告はフィードに関税を入れず、ROAS目標を引き直す。この順番で決めれば、関税を「あとで考える」項目にせずに済みます。

DDPに切り替えるタイミングと、自社の商材が関税込み向きか別行向きかは、商品単価・粗利率・仕向地・広告の有無で変わります。ここは一般論より、御社の数字を並べた方が早く決まる部分です。無料診断で、切り替えのサインが出ているか、新しい粗利率で損益分岐ROASがいくらになるかを一緒に見てみませんか。Shopifyの関税設定の相談も、あわせて承ります。

出典と注意点

  • 米国の免税停止と恒久廃止: 大統領令 14324(2025年7月30日)、CBP「E-Commerce FAQs」(2026年9月2日更新)、官報 2026-12669 / 2026-12670(2026年6月24日)、P.L.119-21 Sec.70531
  • 最高裁判決後の継続: 官報 2026-03829(EO 14388・2026年2月25日)
  • 日本原産品の合計上限12.5%: 官報 2026-15181(USTR Section 301・2026年7月28日)
  • 日本郵便の米国宛て取扱い: 日本郵便 2026年7月14日・10月14日のお知らせ
  • 郵便の簡易申告の対象外と期限: 官報 2026-12669、CBP 2026年10月14日発表(期限を2027年1月20日に延期)
  • EUの3ユーロ: 欧州委員会 Access2Markets ニュース、Council Regulation (EU) 2026/382
  • EUの2ユーロ: 委任規則 C(2026) 6694、欧州委員会 EU customs reform ページ(2026年11月1日適用と発表)。官報掲載は執筆時点で未確認
  • IOSSとの関係・返金不可: 欧州委員会ガイダンス(2026年10月5日版)
  • EUの事前告知義務: 消費者権利指令 第6条1項(e)・6項、欧州委員会ガイダンス 2021/C 526/02
  • 英国: gov.uk「VAT and overseas goods sold directly to customers in the UK」、HMRC政策文書(2026年7月13日)
  • Shopifyの関税徴収・表示設定: Shopify ヘルプ「Charging duties and import taxes」「Duties and taxes」、Shopify Changelog(2025年2月)
  • DHLの約款: MyDHL「Terms and Conditions of Carriage」。FedExの案内: fedex.com「Duties and Taxes」
  • 配送会社の手数料: DHL・FedEx・UPSの2026年料金案内(最低額。改定が多いため公開前に料金表で再確認)
  • カート放棄の理由: Baymard Institute「Cart Abandonment Rate Statistics」(2025年9月更新)
  • 総額表示の実験: Blake, Moshary, Sweeney, Tadelis (2021) “Price Salience and Product Choice”, Marketing Science / NBER w25186
  • 分割表示のメタ分析: Abraham & Hamilton (2018) Journal of Marketing Research(抄録と学位論文版を参照)
  • Google Merchant Center 価格ルール: Google Merchant Center ヘルプ「Price [price]」
  • HTSの率: hts.usitc.gov(2026年10月18日時点)
  • Denimioの米国向け運用: denimio.com「US DDP Customs Information」(2025年9月24日更新)

制度と料金は月単位で動いています。この記事は2026年10月時点の公式資料をもとにしています。EUの2ユーロの適用日、米国郵便の期限(2027年1月20日)、日本郵便の案内、配送会社の手数料は改定が入りやすいので、実際に設定する前に各機関の最新の案内で確認してください。

この記事は一般的な情報の整理で、個別の関税・税務の助言ではありません。自社商品のHSコードや税率の確定は、税関の事前教示や通関業者にご確認ください。

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