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越境EC 海外発送方法の徹底比較!

越境ECをいざ始めようと考えた時に、海外への配送はどうするべきか悩まれた事はないでしょうか?
実際、これから始めようと検討されているクライアント様に最も多く質問を頂く質問の一つが海外発送です。海外発送は、日本国内の発送と比べ、選ぶ手段によって発送料もかかる時間も大きく異なり、細かな情報を把握しているか否かでユーザーの満足度に大きく影響を及ぼします。
そこで今回は、海外発送についてまとめました。これから越境ECに取り組む方は必見です。
現役で越境ECに取り組んでいる企業の発送事例を交えながら、海外発送で疑問に陥りがちな業者選び、目的別業者選定方法、税関事例(止まった時の対処法)、梱包についてお伝えしたいと思います。

1.海外発送方法

海外に商品を配送するには、大きく分けて航空便と船便の二種類の方法があります。

航空便

速達便

航空便は1〜3日で世界の至る国に配送できます。最も早く届ける方法であると同時に、最もコストがかかる方法でもあります。
JPなどの郵政事業者も提供していますが、スピードで選ぶのであれば民間業者がベストです。

通常航空便

BtoCの配送では一番スタンダードな配送方法で、JPを始めFedExやUPSなど様々な会社が特徴あるサービスを提供しています。

船便

1〜3ヶ月と一番時間がかかりますが、その分お安い配送方法です。郵政業者の提供しているサービスもありますが、フォーワーダーなど船便の大型貨物専門の配送業者もあります。

2. 海外配送業者リスト

主に4つある海外配送業者の特徴、それぞれのメリット、デメリットをご紹介致します。

JP 日本郵便

JP(日本郵便)はEMS、航空便、船便、エコノミー航空(SAL)便の4つの発送方法があり、配送日数や料金に応じて使い分けます。
参考: 商品・サービス発送方法の比較
それぞれの特徴は下記の通りです。

⑴ EMS (国際スピード郵便)

重量制限がある為、送れるものは限られているが一番早く(発送から2〜4日で現地の国に)届きます。JPが提供してるサービスの中では最速のスピードに加え、損害賠償制度や追跡サービスがあるため、BtoCの越境ECではとてもスタンダードな配送方法です。
万国郵便連合に所属している世界各国の郵便事業体がEMSのサービスを提供しているため、海外のお客様にもとても馴染みが深いです。

⑵ 国際eパケット、国際eパケットライト

国際eパケットについて
国際eパケットライトについて
JPが提供しているサービスで一番最近(2012年)に始まったもので、航空便扱いで書留とする重量が2kg以下の小型包装物が対象です。
基本的にはSAL便に追跡サービスがついたイメージで、特徴としてはオンラインの「国際郵便マイページ」で出荷書類を作成し、専用の透明なパウチに入れて配送する事です。このシステムによって郵便局側の事務作業を減らす事によって、JPが提供しているサービスの中で最安値を提供しています。
パケット、パケットライトの違いとしては

e-パケット
・保証あり
・割引あり(取引量による)
e-パケットライト
・eパケットより安い!(2kg以下の小包では日本最安値。民間業者はどこも勝てない)
・引き渡し証という紙を用意する必要あり(簡単)
・割引なし(すでに最低価格なので)
となります。
アメリカまで1キロ以下の軽いもの(扇子や筆など)を送る際には通常1000円以下で済むのですが配送日数が1〜2週間とEMSと比べて長くなります。EMSではなくeパケット、eパケットライトを適用する場合は、配送期間が一番大きなネックになると思います。
EMSとの大きな違いは以下となります。
・専用のラベル&パウチの使用が必須
・EMSより断然遅い(2-4週間)
・追跡が完璧でない(ほとんどの国で途中で切れる可能性アリ)
EMSより安価なサービスとして eパケット の提供が始まり、より安価なサービスを、という声に答え保証などのサービスを削ぎ落としてさらに安くしたのが eパケット ライトになります。

⑶ 航空便

EMSと比べ、重量制限の幅が広く次に早く(3〜6日で配送国に)届きます。EMSではサイズオーバーになってしまう物で急を要する時に使いますが、料金が高いためお客様と相談し、他のサービスをオススメする事が多いです。

⑷ エコノミー航空(SAL)便

若干、時間を要する(現地の国に届くまで6〜13日)もののリーズナブル。コストを抑えるために大きいハブ空港を経由して目的地まで配送するため、物と地域(ヨーロッパ、ドイツなど)によっては最大3週間かかってしまう事もあります。

⑸ 船便

配送料は安いが時間を要する(現地の国に届くまで1〜3か月)ため、大型貨物で時間がかかったとしてもコストを抑えたいBtoBのお客様に選んで頂く事が多いです。
また、JPの良い点としては、出荷時の書類の簡易さがあります。基本的には送り状1枚のみでインボイスなどの追加書類は不要なので、特に大量の出荷が想定されるBtoCでは非常に助かります。
尚、日本郵便の料金・日数を調べるページの計算機能を使用する事で、それぞれの配送価格や時間の目安を把握する事ができ、とても便利です。

FedEx

世界最大の総合航空貨物輸送会社です。BtoBやBtoCに特化した幅広い配送サービスを提供しています。民間企業なので、比較的契約条件などに融通が効き、出荷実績をベースにした割引も受けられます。大きく分けてスピード優先のプライオリティ、料金を重視したエコノミーの2種類のサービスがあります。
参考: 商品・サービス発送方法の比較

⑴FedExプライオリティ

フェデックス・インターナショナル・ファースト (IF)
FedExが提供する最速のサービス。世界各地へ1〜3営業日で到着します。時間厳守のドア・ツー・ドア・サービスです。
サイズの規制があり、
・幅が274cmを超える、
・箱サイズの合計(縦+横+高さ)が330cmを超える
・68kgを超える
のいずれかを満たすと発送できません。

フェデックス・インターナショナル・プライオリティ (IP)

通常世界各地へ1〜3営業日で到着します。小包の条件としてはファースト(IF)と同じで、アジアからアメリカへ翌営業日、1日で配達されます。

フェデックス・インターナショナル・プライオリティ・フレイト (IPF)

ファースト、プライオリティのサイズ制限に収まらない大型貨物用のサービスです。世界各地に1〜3営業日で届けられます。

フェデックス・インターナショナル・プライオリティ・ダイレクトディストリビューション (IPD)

店舗を国内に複数持っているビジネス向けのサービスで、プライオリティ・フレイトの拡張版です。2〜4営業日での貨物を複数の送り先に届けられます。

⑵ FedExエコノミー

フェデックス・インターナショナル・エコノミー
プライオリティよりは劣るものの、アジア地域には2〜4営業日、米国へは3営業日、ヨーロッパには3−4日で到着する、時間厳守のドア・ツー・ドア・サービスです。
そこまで時間を重視しないECサイトの場合、FedExのサービスの利用はこちらが中心になるかと思います。

フェデックス・インターナショナル・エコノミー・フレイト

大型の貨物向けのエコノミー便で、特に合計が300kg以上の商品の配送には集荷の手配や中身の確認など、事前の予約が必要です。
FedExの出荷書類は多く、送り状が最低でもA4で3枚、インボイスのコピーが3枚、計6枚必要です。複数口の発送の場合、例えば3個口ならインボイス3枚 + 送り状5枚といった形になります。配送量が多いECサイトですと懸念点にはなるかもしれません。
FedExの良さはやはり民間企業ならではの対応の良さにあります。JPの場合は国をまたぐと別の組織の管理に荷物が移ってしまう(アメリカの場合:JP日本郵便→USPSアメリカ郵政公社)ため、配達の遅れについて問い合わせた際に互いの国の担当者にたらい回しにされる事もあったりしますが、FedExは同じ会社なのでそういった問題は発生しない、という安心があります。

UPS

アメリカ発祥の世界最大の輸送会社で、基本の5種類の配送サービスに加え、通知や返品サービスなど、様々なオプションを提供しています。特徴としては、配達完了時間を基準に配送サービスが選べる様になっている事です。
参考: 商品・サービス発送方法の比較

UPSワールドワイド・エクスプレス・プラス

1-3営業日で最速で午前8:00に保証付で配達と、UPS最速のドア・ツー・ドア・サービスです。日本から発送ですと、アジアのほとんどの地域に翌営業日、ヨーロッパへ最短で2営業日、北米と南米には最短で2または3営業日以内に配達されます。サービス対象の国が主要30カ国と限定されます。また、梱包用の資材の提供が無料で受けられます。

UPSワールドワイド・エクスプレス

1-3営業日で通常午前10:30または正午12:00までに配送。配送日数は「エクスプレス・プラス」と変わりません。輸出先が115カ国と多いのが特徴です。

UPSワールドワイド・エクスプレス・フレイト

配送日数は「エクスプレス」と変わらず、合計重量70kgを超える荷物(複数小口の場合も適用)を1-3営業日で終業時間までに配達します。

UPSワールドワイド・エクスプレス・セイバー

1-3営業日で終業時間までに配達できるサービスで、配達日数は変わらず、サービスの輸出先対象の国が215カ国と幅広いのが特徴です。通常のエクスプレスと日数は変わらずより経済的な価格で送る事ができます。

UPSワールドワイド・エクスプレス・エクスペダイテッド

UPSが提供するサービスで最も経済的なオプションで、3-5営業日で220を超える国と地域に配送します。
出荷時の作業はFedExとほぼ同じで、出荷用の送り状書類が3枚、インボイスを同じものを3部用意します。違う点は、専用の書類用パウチを使用する事です。

DHL

ドイツ発祥の会社で、配送のスピードと充実したサービスを提供しています。ただ、業界最大手のUPSやFedExに比べると料金の面で高く、検討には至りませんでした。
参考:国際エクスプレス輸出サービス概要

クロネコヤマト・国際宅急便

クロネコヤマトが提供している世界200を超える国・地域にドア・ツー・ドア輸送を提供しているサービスです。個人宛の荷物ですと書類以外は取り扱いできない国(一例:カナダ)があるなど、他社との併用が必須な事もあり、検討には至りませんでした。
参考:国際宅急便サービス概要

佐川急便・飛脚国際便

佐川急便が提供している世界220を超える国・地域にドア・ツー・ドア輸送を提供しているサービスです。地域別に8地帯に分けられ、0.5kg刻みで分かる細かい料金体系などが特徴ですが、荷物のサイズ(3辺合計260cm)や重量面(50kg以下)での制約が大きく、様々なサイズと重さの物を扱う弊社のサービスとは合わなかった為検討には至りませんでした。
参考:飛脚国際便サービス概要

3. 目的別配送例

⑴とにかく安く送りたい場合

2kg 以下の物でしたら、E-Packet Lightが一番お安く配送できます。アメリカ向けで梱包を含めて900gの物ですと1050円で1週間ほどで送ることが出来ます。

逆に小包の重量が2kg以上あるものをJPを利用して配送する際は、SAL便を使用する事が多いです。後ほどお伝えする関税の問題がある為、JPを指定して頂くお客様もいらっしゃいます。
どちらも配送時間が地域によって1-3週間と、長くかかってしまうので注意が必要です。

⑵できるだけ早く届けたい場合

こちらは主に民間の配送会社がしのぎを削っている分野でもあるので、以下に比較表を作って見ました。
条件としては、
・5kg扱いの小包で、自社で梱包、税関申告金額は2万円。
・弊社の本社鎌倉からアメリカのニューヨークまでの配送。
・月曜日の午前10時までに出荷手配。
・割引などは考慮せず、各社HP状に掲載されている定価での計算。
・通関手続きによる遅れは起きないものとします。
・配送オプションなどはつけず、シンプルな状態
とします。では見ていきましょう。

4. 実録!税関で止まりやすい配送業者、止まりにくい業者

FedExやUPSなど民間業者は関税のチェックが比較的厳しく、逆にJPなどの元国営で運営している運送会社は税関で止まりにくい傾向があります。 これは、FedExは税関を一括して行うのに対し、JPは個別で見ており、取り扱いの量も多いという背景があります。
以前、アメリカのBtoBのお客様向けに食料品を卸した際、ハワイの関税で止まってしまい、きちんとした連絡もないまま、10万円ほどの商品が全て没収された事がありました 。
アメリカは特にFDA(米国食品医療品局)による食料品のチェックが厳しく、日本から輸入する際は現地で代理人か受け入れ会社を立て、申請を通す必要があります。
ハワイのケースも現地の納入先の担当者の方が書類を用意できず、スピード優先で出荷して欲しい、との依頼だったため出荷したのですが、結局取引先がその書類を期限内に用意できず、取り置き期限を過ぎてしまって廃棄になってしまった様です。
なので、特に食品の輸出で気をつけることは
・内容物の明記
・取引先(もしくは現地担当者)に輸入用の書類を全て事前に手配してもらう。
以上2点となります。

5. 配送時の梱包事例

上で紹介した各社は基本的に梱包用の資材を無償で提供してくれます。流用(梱包材を他社の配送に使用)はご法度ですが、各社様々なサイズと形式を用意しているので、利用会社を検討する際は一度確認してみると良いでしょう。弊社では主にFedExを利用しているので、その例で見ていきます。

小サイズ(2kg以下)の場合

各社から提供されている緩衝材付きの大型封筒やサイズのあった小箱に入れて送る事が多いです。

中サイズ以上の物の場合

基本的に、梱包は弊社の物で賄うことが多いです。海外に送る際は輸送サービスに関わらず輸送中のダメージはあるので、大事な商品の場合は二重に梱包し、中箱と外箱の間に緩衝材を入れる必要があります。

  

6. 配送の注意点、失敗事例

配送の送料計算で一番気をつけないといけないのは、必ずしも実重量で送料が計算される訳ではない事です。
例えば先ほどの例に挙げた荷物、梱包済みの実重量が5kgであったとしても、箱のサイズが大きかった場合、サイズを基準に送料が計算されるので、最悪費用が数倍になる事もありえます。各社共通で使われている、サイズを基準とした箱の体積重量の計算方程式をご紹介します。
ディメンション=幅cm x 高さcm x 奥行きcm / 5000
実重量5kg、サイズ(幅30cm、高さ40cm、奥50cm)の荷物の場合
30 x 40 x 50 / 5000 = 12kg
となるので、実際の請求は12キロ、EMSで送っていた場合は実重量の8,700円ではなく、ほぼ倍である16,700円の請求になってしまいます。特に大事な商品の出荷で、緩衝材を多く使う場合はサイズオーバーに気をつけましょう。

まとめ

化粧筆など軽いものを送るなら
弊社で主に軽いものを送る際は、国際eパケット便を使う事が多いです。対象国は限られてますが、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、中近東、南米、アフリカ等、ほとんどの国と地域をカバーしております。追跡サービスが限定的ではありますがついている為、お客様に発送時のお知らせメールで荷物の追跡番号をお知らせしています。
衣類を送るなら
サイズにもよりますが、EMSがオススメです。
大きなものを送るなら
FedExがオススメです。特に重量が100kg以上など、取引として大きくなってくると割引が受けられるので、出荷する前に一度FedExの営業さんに打診して見ましょう。
一番おすすめな配送業者
大手の民間輸送会社は月の取引額によっては定価からかなり良い割引を提供してくれるのですが、取引実績が浅い会社などでは難しい場合が多いです。最初のスタートのし易さや、書類の簡易さ、税関問題の少なさを考えると、JPさんが一番オススメです。

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投稿者: Hiro Kano 加納宏徳
世界へボカン株式会社 コンテンツチーム部長

1994年生まれ。海外Webマーケティングの世界へボカン株式会社にてシニアSEOスペシャリストとして、コンテンツマーケティングの実務を担当。学校への不信感から10年間独学を貫き、英語・フランス語を勉強、通訳として伝統工芸品の海外通販プロジェクトで働きはじめる。のちに当時の部長とMBOで独立、越境EC運営・マーケ施策全般を担当し、約500万の甲冑を売るなど実績を残す。趣味は世界中から応募ある大会でグランプリを受賞した折り紙。Twitterは @hirokano123。ボカンブログ初代編集長。
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