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はじめての越境EC向けFacebook広告 ~基礎知識とマーケティングファネル編~

越境EC向けサイトを立ち上げた!でも集客に困っている・・・そんな時にマーケティングご担当者の皆様は何から始められるでしょうか?
今回は、豊富なユーザーデータから効果的なターゲティングができ、且つ他のどのソーシャルメディアよりも世界で断トツのユーザー数を誇るFacebookとInstagramの広告活用方法について、シンガポールを中心に活躍するコンサルタントのマッカイ英里さんにお話を聞きました。

1.対象国でFacebookはどう使われてる?~まずは利用動向を把握しよう

はじめて越境EC向けにFacebook広告を行う際に、まず把握するべきなのは対象国では誰がどのようにFacebookやInstagramを利用しているのか?ということです。
まずは、グローバルでどれだけの人々に利用されているのかを見てみましょう。
月間アクティブユーザー数は、

・Facebookで約22億7000万人(2018年9月)
・Instagramは約10億人(2018年6月)

と、引き続き伸び続けています。
中でもユーザー数が世界で一番伸びているのは東南アジアです。一方でUSではアンチFacebookの動きとともに一時期ユーザー数が減少しましたが、Instagramのユーザー数は変わらず伸び続けています。そしてEUでは一般データ保護規則(GDPR)の規制によりEU圏内へのターゲティングに一部規制が掛かっている状態です。この影響で2018年7月の発表ではヨーロッパのユーザー数が一部減少したという情報もありますが全体的にはほぼ横這い状態となっています。
またユーザー数の規模だけでなく、ユーザー属性を調べることも大切です。
例えば日本のFacebookユーザーは25-35歳の女性ユーザーが全体の33%と一番多く占める(2018年12月現在)のに対し、インドネシアでは18-24歳の女性ユーザーが全体の41%でトップに来る、といった違いがあります(2018年12月現在)。(ユーザー属性については、Facebook広告マネジャーの「オーディエンスインサイト」機能で確認できます)
そして同様に、ユーザーがFacebook上でどんな行動を行っているかも国ごとに違いがありますので調査しておくことが大切です。
例えばメッセンジャーを例に挙げます。数々のアカウントを管理してきた中での経験上のお話ですが、日本ではEコマースやお店の予約でメッセンジャーを使用しているケースが少ないのに対して、東南アジアでは店の予約だけでなくLIVEコース等での商品購入などにも日常で使用されているほど使いこなされています
Facebook/Instagram広告は、ユーザーベースのターゲティングによりほぼ100%の「人」ターゲティングができるのが大きな強みです。CRMデータなどやウェブページを訪問したユーザーを利用したオーディエンス(カスタムオーディエンス)を作成し、ターゲティング出来ることやそのデータに限りなく近い属性のユーザー(類似オーディエンス)もターゲティングできるのが特徴です。
このようなターゲティングを活かすためにも、まずは対象国におけるFacebookの利用動向は、必ず把握しておきましょう。

2.意外と知らない!越境EC向けFacebookページと広告マネジャーの準備方法

対象国でFacebookが誰にどうやって活用されているか?が把握できたら、次は実際にFacebook広告を始める準備が必要です。
クライアント様でよく質問いただくのは

Facebookページは現地語必須なの?
・いいね!はどれくらいあればOK?
・アカウントは日本向けの広告と別の方がいいの?

といった点です。そこで、ここでは越境EC向けのFacebookページの有効活用法と広告を管理・作成・分析するためのツールである広告マネジャーの扱いについてご説明します。
まずは、Facebookページについてです。越境ECにおいて英語/現地語のページを作成するかどうか、悩まれる事もあるかと思います。Facebookではページへのエンゲージメント(クリック、コメント、シェア、いいね!などのリアクション、Facebookページの閲覧やボタンのクリックなど) 、が高いとページのランキングを上げる効果につながります(ランキングの公表はされていません)。よってターゲットユーザーに一番響く言語や情報でメッセージを発信することは非常に大切です。
国ごとにページを作成するかどうかを決める要素の一つ目は、規模感です。対象国それぞれの規模感が大きい場合は国ごとにページを分けた方が良いでしょう。(グローバルページも作成されるクライアント様もいらっしゃいます。)
二つ目は、商品の嗜好における特性です。例えば人気商品の動向が国によって明らかに異なる場合などは、ページ内でエンゲージメントを最大化させるためにも国および該当する地域で使用されている言語ごとに分けて作ったほうが良いでしょう。またオンライン以外にもオフラインでのイベントが国ごとに発生する場合にも分けたほうが見栄えが良いかと思います。なぜなら、例えばタイでローカルイベントがあるという情報をシンガポールのユーザーが見ても意味をなさないからです。
またページへの「いいね!」数は1つのアカウントあたり1万を超えることを目安に考えると良いでしょう。ファンを増やした上でページへの投稿の頻度を上げると、ページへのエンゲージメントも高くなり、ページのランキングが上がる要素となります。ページへの投稿は少なくても週に1回は挙げると効果的です
次に広告マネジャーについてです。国や地域、言語ごとにターゲットの動向や広告の戦略が異なり、且つそれぞれの広告を頻度高く配信する場合は広告アカウントを分けたほうが管理しやすいでしょう
アカウントを分けるとFacebookピクセルコードも、個々に発行できますが、同じビジネスマネジャーの配下にアカウントがあればオーディンスやピクセルは共有できますので問題はありません。

3.正しく理解できてる?Facebook広告の基本のキ、「マーケティングファネルと「キャンペーン目的」

対象国におけるFacebookの利用動向を把握し、Facebookページと広告マネジャーの準備が出来たら、次はいよいよ広告キャンペーンの設計です。
Facebook広告では各マーケティングファネルのフェーズに合わせて、「キャンペーン目的」と呼ばれるソリューションの種類が設定されています。つまり、認知⇒検討⇒コンバージョン⇒ロイヤリティの4段階に沿って流れの中にキャンペーンが設計されているということです。このマーケティングファネルとキャンペーン目的の仕組みを正しく理解することで広告パフォーマンスは向上するので、確実に理解していきましょう。

3-1「認知なくしてコンバージョンなし!」~急がば回れ、の認知獲得フェーズ

まずは、認知獲得フェーズです。当たり前ですが人は知らない商品は購買しません。日本ではある程度認知されている商品でも海外では馴染みがなく、写真だけでは使用法すら想像できず何の商品か伝わらなかった、といったケースも多々あります
そこで、Facebookで認知獲得のキャンペーン目的を活用すると、ターゲットとする対象国のユーザーが、商品に対してどの程度興味・関心があるかを確認することができます。
そのためには、認知獲得の広告ファネルのトップにある、「ブランドの認知度アップ」を使用します。この広告の目的を使用し広告想起リフトに最適化すると、広告を見てから2日以内に広告を想起すると推定されるユーザーに優先して広告が配信されます。
また「リーチ&フリークエンシー」の購入形式を利用すると、リーチとフリークエンシー(表示回数)を確定させて広告を配信することが出来ますので、ブランディング効果も期待することが出来ます。またこのキャンペーン目的を利用して広告配信すると多くのユーザーにリーチするので、どの国のどの属性のユーザーがどのような商品に興味があるかをテストすることができます。また、この時にクリエイティブも複数の訴求軸のパターンを準備しておき、何の訴求軸が刺さったかも併せて検討できるようにしておくことが大切です。

3‐2「コンバージョンは1日にしてならず」~種から芽を育てる、検討フェーズ

次に、認知獲得で得たキャンペーンの結果からデータを収集・分析し、ユーザー層とクリエイティブの相性が良い組み合わせを元に広告の構成を作り、「トラフィック」目的の広告を作成します。
認知獲得から検討フェーズへの溝を埋めるための対策として、「動画の再生数アップ」のキャンペーン目的の広告もおススメです。(越境ECでは商品の理解が伝わりにくい場合が多いので、視覚のインパクトで訴求できる動画はFacebook広告のクリエイティブとして非常に有効です。)
動画を使う場合、認知フェーズで「ブランドの認知度アップ」のキャンペーン目的で広告のクリエイティブに動画素材を使用した場合、次の検討フェーズではその動画を好んだ属性また動画を再生したユーザー向けにさらにもう一歩深い内容や第二話の続編を見せる「動画の再生数アップ」のキャンペーン目的を使用します。
キャンペーン目的の使い方に慣れることで長期的なROIを上げることが出来、またマーケティング効果も上げることが出来ます。この方法であれば、認知獲得で得たキャンペーンデータをより有効活用してユーザーとのコミュニケーションを深めることができ、その先のコンバージョンにつなげることも可能です。
さらに、もしご予算に余裕がある際はぜひ、反応の高かった投稿へのエンゲージメント広告も併せて利用したいところです。なぜなら海外ではページへエンゲージメントするユーザーも多い他、先にも挙げました通りエンゲージメントが高まるとページのランキングも上がるので広告配信の効果も上がります

3-3「データ量が全てを決める」~獲得・販促フェーズ(コンバージョン)

そして、いよいよお待ちかねの獲得・販促フェーズ(コンバージョン)です。
Facebookでは、Facebookの配信システムである機械学習を活用しコンバージョンしそうなユーザーを見つけて広告を配信していきます。そのため、コンバージョン目的の広告でパフォーマンスを上げるためにもっとも重要なのはコンバージョンしたユーザーのデータをいかにたくさん集めるか、になります。
コンバージョンの広告を始めるのに必要なデータ量として以下の条件があります。

1)過去1か月にウェブサイトで発生したトラフィック数(ピクセルイベント)が10,000件以上あること
2)広告掲載なしで最適化させたいコンバージョンデータが理想的には月に100件以上あること

また広告配信中には、広告に起因するコンバージョンが広告セットごとに週50件以上あることで適切にコンバージョンに最適化されます。
Facebook広告でコンバージョンの効果が出ない、と言われるクライアント様の中には、まだ必要なデータ量に達していないにも関わらずいきなり購入コンバージョンを最適化目的とするキャンペーンを行い成功されていないケースがあります。
まだ上記で上げた1)条件のトラフィック数が必要なデータ量に達していないという場合は、トラフィック数を上げるために認知獲得/検討のキャンペーンをさらに行う必要があります。
トラフィックの数が安定するまではこのコンバージョン以前の段階にある目的の広告でデータを溜めましょう。
一方でトラフィック数は月に10,000件以上あるが2)条件である「購入」コンバージョンデータが足りない場合には、「購入」コンバージョンより前のステップである「カートに追加」などのデータ量が月に100件以上ある場合に「カートに追加」などをコンバージョンとして設定、最適化させることで豊富なデータ量から最適化配信が進みます。(詳しくはこちら

3-4「リピーターなくして越境ECの成功なし!」~リテンション(ロイヤリティ)

越境ECで成功するために特に重要なのは、いかにして一度購買してくれたユーザーをリピーターにつなげるか、です。
Facebookはユーザーの日常に深く入り込んだメディアであるため、エンゲージメントを高めてロイヤリティを形成するには最適です。
リテンション(ロイヤリティ)のフェーズで大切なことは、一度商品を購入したユーザーを飽きさせないためにも、楽しめる工夫をしていくことです。
昨今では、Facebookが企業アカウントの投稿に対してニュースフィードへの表示優先順位を下げるなど、投稿してもファンに届いていないケースが多々見られています。そのため、Facebookページ内で反応のよかった投稿は少額でもいいのでエンゲージメント広告で拡散したり、既存顧客向けにクーポンの広告などを活用すると良いでしょう。(特にブラックフライデーやクリスマスなど購入意欲が上がる期間にはオススメです。)
また、例えばFacebookページ上でショップを作り、メッセンジャーを通じて販売してみたり、商品に関する情報のやり取りをメッセンジャーで対応することが可能な場合は、カスタマー向けへのバーゲンセールのお知らせなどで購買意欲をプッシュすることができます。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?上記でお伝えした内容はすべてのクライアント様に当てはまるわけではありません。商品及び商品の価格帯、知名度やターゲット層などによって戦略を組み立てる必要があります
しかし、Facebookのターゲット国における利用動向や、マーケティングファネルに沿った仕組みを理解することで、越境ECにおいて最も重要である国や地域毎の戦略が格段に立てやすくなります。越境ECでFacebookを最大限活用し、一人でも多くのファンにあなたの商品を届けましょう!

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投稿者: Mackay Eri
オーストラリア、キャンベラ大学にて学士号取得。日本のコンサルティング会社で採用、マーケティングおよび営業の経験をした後、2016年よりシンガポールにてFacebookマーケテングエキスパートして従事。2018年4月にWhetu Digital Pte. Ltd. を設立。東南アジアや日本マーケットを中心としたデジタルマーケティングコンサルティングを提供する。Facebook認証Certified Buying Professional及びCertified Planning Professionalの資格を保持。
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